アンケート結果
参加者235名中、99回答を回収
選択式の質問への回答
フリー回答文より抜粋
建築行政や法はどうあるべきか
- 今の確認行政は伝統木造に限らず、棟梁大工・設計者・構造技術者などの専門家の職能を基準やマニュアルでしばり上げるもので、日本の建築・文化に全くプラスになっていない。建築法体系、行政は抜本的に改められなければならない。
- 法というものの考え方をよく理解し、法の恣意的な曲解ではなく大枠の基本に戻った運用をすべき。「関所」をたくさん作って「関所守」の数を増やすために税金を増やすのは如何なものか?
建築基準法と伝統構法。何が問題?
- 伝統構法が科学的証明をこれまでされていた無かったこと。姉歯問題以降、法改正に木造住宅までまきこまれたこと、そして否を認めつつも緩和される動きがないこと。
- 建築基準法に悩まされ、つねに頭をめぐっているポイントは、足元の緊結、筋交、金物の使用。
石場立てについて思うこと
- 足元を固定しないのが本来の形だと思う。感覚的にはそのほうが強いと思う。現実的には限界耐力設計でないと確認がおろせない。もっと簡単に確実に確認がおりる様になってほしい。自分は大工で手刻み加工で家を建てています。伝統工法は揺れながら(揺れを吸収しながら)もつものだと思う。残していきたい技術です。
- 伝統的建築物(180年)もちろん石場建てに住んでいるので立場ですが伝統構法がつながっていくことで修理や改修もでき、家を次世代に伝えていけると思います。先日、門長屋の敷居を修理しました。戸袋の敷居がはずせるように細工されていて、家は修理しながら住まうものだと再認識しました。
- 環境負荷の少ないということをつきつめると、コンクリートを使わない石場建てにいきつきました。そういう視点からも考えて下さい。法的な整備としてはたとえば「5号物件=(石場建て等簡素な建物)」とかいうのはどうでしょうか。
石場立てが改正基準法以来ピアチェック送りになっていることには?
- 住宅で適合判定を受けなければならない現況には納得できない。
- 適判は面積制限して小規模木造住宅は必要なしとすべきと思います。
- たまたま適判に入ってしまったことでこの状況を招いていることに対し、法の改正も含めて考えていくべき。
三カ年事業には期待できるか?
- 三ヶ年の設計法確立事業がどの様に使われる様になったか、まだまだ不明確な印象です。できた設計法が本当に我々の使える様な(使いやすく、大工の知恵を生かす様なもの)適用にもっていってほしいと思います。後世に残せるような(ほこれる様な)木造文化をつくっていきたいですね。
- 大橋先生が行われている事業には、ほとんど期待できない・・・という印象です。これも税金のムダ使いに思います。
- 3ヶ年事業で伝統構法を残すためのものが出来ると思うが、携わっている方のうまくいっていないというお話しを聞くと、それが逆に伝統構法をなくしてしまうものにならないでほしいと思いました。
- この事業には、2つの期待をいだいていた。1つは軸組、貫を評価して耐力壁にたよらない形を作る事。1つは石場建てを評価して足元を固めない形をつくる事。それをあきらめて何を作ろうとしているのかわからないが、出来た物が我々の求めるものではないのは確か。ハウスメーカーが伝統木造住宅をうたって(変に利用して)変なものを作っていかないかということが一番こわいことです。
三年間では伝統構法を解明できない?
- 100年も200年も建ち続けてきたものに対して3年では少なすぎるように思います。現状についても改善しつつ、もっと研究して欲しいと思います。
- 伝統工法の解明は今回をきっかけに長い目で取り組んで行くことが必要ということがわかりました。
- 歴史を科学で証明できるほど現在の構造手法は進んでいない。神秘(日本の建築技術)には、敬意を表す気持ちを持たねば。層間変形角1/120を1/60(文化財レベル)にするだけで、多くの伝統工法が確認可となりますよ。この改正が急務です。
- 歴史的な検証の中で唯一その長寿命性が実証されている多くの伝統的建築物があるのだから、その個別例の詳細な内容解明と情報公開を進めてほしい。(価値づけできる実例の調査積上げ一各地方から情報を集めて)
- 伝統は歴史が証明してくれる。あわてるな!!よい物は必ず残る。
今後に向けて
- 伝統工法に伴う特殊性や技術の伝承を公開してデータを共有化していくことが大切であると考える。
- 伝統工法の限界耐力設計により確認がおりた事例を共有化できないか。地盤の状態、施工者の仕口の作り方、納め方によっても変わると思うが、目安となるデータが共有できれば、耐力壁の配置と構造での参考になり、基本プランの段階で構造計画が楽になると思います。
- 向こう三軒両隣に最小限迷惑をかけない程度のルールがあれば自己責任においてできるだけ自由に住まえるように規制を抑えるべきである。
- 各地域に残る伝統的建物を調査分類して、それに基づいて風土的特長、地域文化を勘案して地域標準をつくっては。
- 現在村おこしをしておりますが、人口1600人の村の中に30名程の大工職人がいます。その大工を活かした家づくりをめざすために伝統構法は不可欠だと思っています。その中でこれからの動きを注視していきたいと思います。
- 本物の大工さんが現役でいる間に伝統の家づくりを継承できるようにしなければならない。長寿命が実証されている伝統工法が解析できないから建てられないことにならないよう、これからもご尽力をお願いします。追伸:現状では、技術データではなく“人間(大工技術者、左官技術者)”を認定する方法の方が現実的では。
大工の想い
- 宮内寿和氏の話はスルッと入ってきて解り易かったです。ストレートな心の内が出ていてもどかしいと思っている感覚が伝統構法を思う職人さんたちの心を代弁している気がしました。
- 死活問題だということ。申請中に時間やお金が掛かりすぎることが、足かせになるのではないかということ。
- もっと大工や職人の苦しみなどを知ってほしかった。
- 宮内さんの意見に対する越海さんや大橋さんの明確な答えや方針が欲しかった。
- それでも伝統構法で家づくりをしていきたい。