改正省エネ法についてのパブリックコメントを出そう!


1/6(火)の〆切は過ぎました。リアクションを待ちましょう。

断熱化と高効率省エネ機器による、外界を遮断して、冬は20℃夏は27℃の室内環境をつくり出すことを義務化する動きにギモンがあれば、パブコメを出しましょう。あとから「ああ、あの時、ちゃんと言っておけばよかった」とならないために。

5日でパブコメ応募100をめざしましょう。

改正省エネ法:平成25年基準義務化に向けての骨子案についてのパブコメを募集しています。〆切は1/6(火)。正月休み明けすぐ、あっという間です。

パブコメで意見を募集している「骨子案」って?

なぜ新築建物に平成25年度省エネ基準をもうけているのか、この基準をどのようにして義務化していこうとしているのかが書かれています。義務化と推奨法とを分け、ゆるやかな感じで義務化していくとあり、問題がないように読める文章です。しかし、義務化に向かう基準そのものが「高気密高断熱・全館冷暖房の住宅」を射程に入れたものであり、ゆるやかに外界とつながって自然な暮らしをしようという木と土の家は、基準にはそぐわない、あてはまらないものとなってしまいそうです。推奨法ならよいかもしれませんが、これで義務化となると・・・家づくりの自由、暮らしの自由がせばめられないか心配です。

なお、全文を読んでみたい人は6ページあります。こちらでどうぞ。
http://www.mlit.go.jp/common/001064006.pdf

パブコメに応募する文案集をつくりました!

改正省エネ法コンテンツには大きな反響がありました。「こういう暮らしができなくなるのは、おかしいな」と感じている方が少なくないのです。しかし、省エネ基準を義務化することについて、国民に問うパブコメは、年末の慌ただしい時期に募集が開始され、〆切が1/6と、かなり急な展開となりました。

自力で意見を書いて出すのは、限られた時間の中では、なかなか難しいことです。

そこで、コンテンツで紹介した内容を、パブコメに寄せる意見に落とし込んだ「文案集」をつくりました。読んでみて「自分の言いたいことは、これに近いかな」という項目をベースに、ご自身の言葉でパブコメを書いていただければ幸いです。

また、パブコメを寄せるにあたって「この案についての意見です」と特定しないと、意見としてカウントされないそうなので「○○○についての意見」と明記しておきました。そこは抜かさないようにしてください。

意見が集まらなければ「国民の理解を得られた」ということで、次のステップへと進んでいしまいます。ぜひ応募してくださいね。

パブリックコメント:「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について(第一次報告)」(骨子案)に関する意見の募集について 案件番号:155140725
問合せ先(所管府省・部局名等):国土交通省住宅局住宅生産課
Tel:03-5253-8111(内線 39-465)
締切日:2015年01月06日
パブリックコメントの提出先:http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155140725&Mode=0

  • ※ 1回の提出=2000字まで
  • ※ 意見の冒頭に、各案の数字のあとにつけた[・・・についての意見]を必ずつけて提出してください

「○○○○に関する意見」と具体的にコメントする箇所を書かなければ、せっかく意見を出してもカウントされないそうです。そこで、今回意見を募集している元となる「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について(第一次報告)」(骨子案)の中から、気になるところを抜き書きしてみました。

1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(1)建築物及び省エネ基準の特性に応じた規制的手法のあり方

p2 2行目 [新築の際の基準適合義務化]

建築物の省エネルギー性能を確保する際には、新築時に外皮・設備等に関し必要な対応を講じることが効果的・効率的である。このため、建築物におけるエネルギー使用の合理化に向け、居住、執務等のために必要な屋内環境を維持するため長期間にわたり相当のエネルギー量を使用することとなる建築物を新築する際に省エネ基準に適合させることを求め、省エネルギー性能の確保を図る方向で検討を行う。

p2 14行目[伝統的構法の扱い]

・地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物など、地域として継承・保全する必要性が高いと認められる建築物の継承を可能とする仕組みについても検討する必要がある。

(2) 段階的な基準適合義務化のあり方

1)当初義務化する際の対応関連

p3 8行目[新築時の対応の確保]

・基準に適合せずに建築・使用開始された建築物を後から基準に適合するよう改修することはコストや物理上の制約が大きいことから、新築工事の段階を捉えて対応させることが費用負担や工事の容易さの点で合理的である。このため、新築時に基準に適合して建築される仕組みとする必要がある。

2)義務化対象範囲の拡大に向けた対応関連

p3 下から9行目 基準への適合性をチェックするプログラム等の使い勝手の改善について

・設計者、中小工務店等の負担を軽減し規制への対応を円滑化するため、基準への適合性をチェックする際に用いるプログラム等の使い勝手の改善等を図る。

p3 下から7行目 小規模建築物における義務化において、建築主の特性に応じた規制のあり方について

・さらに、新築される件数が極めて多く、一般消費者が建築主となることが多い小規模建築物について将来義務化する際には、資格者の関与による手続きの合理化等、供給側・規制制度執行側の負担軽減方策や建築主の特性に応じた規制のあり方に関しても検討していく必要がある。

以下、木の家ネットで考えた、意見の文案集です。参考にして出してみてください!

使い方:全部で23項目あります。ざっと読んで「あ、これ言いたいな」という項目があれば、参考にして、自分の言葉で書いてみてください。時間がなくて「とにかく土壁のことだけは」という人は8番。土壁の家の住まい手にも、この項目はおすすめ。

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[意見募集〆切] についての意見

パブコメ募集期間の延長を要望します。

今回のパブリックコメントの意見募集に先駆けて、12/18に開催された国土交通省社会資本整備審議会 建築環境部会が開催されました。配布資料3の工程表では、12月末〜1月中旬のパブコメ募集とありますが、実際の意見募集は、委員会のあったのと同日の12/18から始まりました。かなり急な展開で、日経ホームビルダーでさえも、部会のあった翌日の12/19に、すでにパブコメ募集が始まっている中で「省エネ基準義務化へ、骨子案を今月末にもパブコメに」と報道したほどです。年度末までに形を、という行政の立場もあるでしょうが、行政主導でどんどん進めるのでなく、部会での議論や、パブコメでの国民からの意見を十分に反映させながら、進めていただきたいと思います。

年末近くのもっとも慌ただしい時期であり、募集の〆切が1/6とあっては、落ち着いて考えて意見を書く間もありません。官庁は12/27〜1/4までが公休日であり、今回の募集期間の12/18〜1/6うち、平日はたったの8日間しかありません。年末年始をはさんだこの時期に「国民の意見を広く問う」には、あまりに短すぎ、募集件数が少なくなる結果を招きます。 募集期間の延長を望みます。

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[新築の際の基準適合義務化] についての意見

業務・家庭部門での増大分を削減するには、暖房エネルギー以前に、家電エネルギーに手をつけるべき

エネルギー消費量が実際に増加しているところの削減を考えないといけないのでは? 省エネ基準(1次エネルギー消費量)の規制基準では、家電エネルギー消費量はほぼ「21GJ」となっていて、多く使っても削減努力をしても、反映されません。家電エネルギー消費量削減の指針を追加すべきです。家電に手をつけないのは、家電の消費を落とさないようにという経産省からの圧力なのでしょうか?

出所:「家庭用エネルギー統計年報2012年版」,住環境計画研究所
出所:「家庭用エネルギー統計年報2012年版」,住環境計画研究所

参考コメント
日本の電力消費 - 電力事情について

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[新築の際の基準適合義務化] についての意見

温暖地では、部分間欠暖冷房の家や採暖・採涼の家を前提にした基準にしてほしい。

「新築時に外皮・設備等に効果的な対策を講じる」とあるが、室内の温熱環境は、新築時につくりつける冷暖房設備だけではなく、あとから購入する、採涼採暖系の冷暖房機器でも調整が可能である。新築時にビルトインされる冷暖房設備についてエネルギー量が把握しやすいということは理解できるが、省エネが最終目的であるならば、冷暖房設備も機器も評価できるしくみを考えるべき。(現状では、新築時にビルトインされるFF式暖房は一次エネルギー消費量の計算にのるが、ファンヒーターはのらない)

全館暖冷房の家では、断熱・気密化し外皮性能を上げればエネルギー消費量は削減できるが、部分間欠暖冷房の家や採暖・採涼の家は外皮性能をあげても効果は少ない。むしろ、すべての家を全館暖冷房化すればトータルエネルギー消費量は増えると指摘する学者は多い。目的が省エネにあるのに、義務化によってエネルギー消費量が増えては、本末顛倒。寒冷地で全館暖冷房を進めるのはよいとしても、温暖地では採暖採涼を薦める基準を造るべきだ。

北海道ならば、外皮性能を高め、新築時につくりつける冷暖房設備で全館暖房する方が省エネかもしれないが、関東以南では、人が居る周囲だけをあたためる部分暖房が主流である。たとえば、資源エネルギー庁では「上手な省エネ方法」として、エアコンばかりではなく「布団は厚く。温度は低く」とこたつ利用の推奨もしている。省エネ法においても「新築時に外皮・設備等」以外の温熱環境調整手法にも目を向けるべきでは?

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[新築の際の基準適合義務化] についての意見

温暖地(気候区分 6・7)では外皮性能基準ははずすか、あるいは実情に合った形に基準値にしてほしい。

平成25年省エネ基準は、どちらかというとドイツに倣い、北海道に適合する基準のようだ。しかし、日本は南北に長い。北海道ではそれでよくても、九州にはそぐわない。北では外皮性能をあげることが、南では夏の熱射を室内に入れないことが、省エネにつながる。よって、省エネに結びつく熱性能基準としては、寒冷地では外皮熱還流率(UA値)基準は必要だろうが、温暖地(6・7)ではUA値を廃止して冷房期の平均熱射取得率基準のみでよいのではないだろうか。

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[新築の際の基準適合義務化] についての意見

日本ならでは風景や暮らし文化を守れる基準でなくてはならない。

平成25年省エネ基準は、断熱・気密を基本にした住宅には合致するが、日本の家(和のすまい)には合わない。オリンピックに向けて、国をあげて日本ならでは風景や暮らし文化をもりあげていかなければならない中、平成25年省エネ基準を義務化すれば日本から「和のすまい」が無くなってしまう。「暖房時の室温は「20℃(Q値2.7 UA 0.87相当)を担保すべし」という平成25年省エネ基準ではなく、「16℃(Q値5.3 UA 1.5相当)」の旧省エネ基準でよいことにすれば「和のすまい」と省エネ法は両立できる。「和のすまい」のような家の外皮性能は、旧省エネ基準を満たせばよいとすべきだ。

温暖地(6,7)では、全館暖冷房のすまいは少なく、採暖・採涼のすまいが多い。エネルギー使用量は少ないので外皮規制は掛けるべきではない。

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[新築の際の基準適合義務化] についての意見

住宅の快適な温熱環境は、室内気温だけでなく、輻射や蓄熱、通風に負うところも大きい。

平成25年省エネ基準では「暖房時の室温20℃」を条件としているが、輻射系・蓄熱系暖房では室温が20℃までいかなくても(16℃ぐらいでも)、身体があたったり、接していたりする面があたたまっていれば、十分にあたたかいと感じている。床暖房でも「頭寒足熱」床上15センチぐらいがあたたまっていれば温熱感としては満足が得られるので、地上1.5mの室温を20℃にあげるまでの必要はない。このように、どのような暖房方法を採用するかで、温熱感は異なるので「暖房時に室温20℃」は必ずしも省エネのための必要条件とはいえない。それよりも低い室温で満足感が得られ、それ以上にエネルギーを消費しないのであれば、省エネという目的は達成されるはずである。推奨法であればともかく、この基準を義務化していく方向であれば、家のつくりと暖房方法と住んでいる人の温熱感との相関関係を、より実態に即した形で調査するべきである。

夏の生活のしかたには「窓をあけて、通風を確保し、扇風機をまわす(外界をうまく室内にとりこむ)」方法もあれば、「窓を閉めて、エアコンを効率的に運転する(外界と室内を遮断して、内部を機械空調する)」方法もある。どちらを採用するかは、立地条件、住まい手の暮らし方などによるものであり、住まい手が自由に選択してよいはず。日本の温暖地では、むしろ前者の暮らし方の方が主流である。冷房エネルギー消費量でいえば、間歇利用する扇風機は、エアコンよりさらにエネルギー消費量は少なく、環境省の「家庭エコ診断」でも推奨されている。省エネ基準でも仕組みを加えるべきだ。

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[新築の際の基準適合義務化] についての意見

バイオマスエネルギーの評価を

この骨子案の「はじめに」にも書かれている化石資源から再生可能エネルギーへのシフト、CO2削減という文脈から、太陽光発電を採用する場合、一次消費エネルギー量の計算における設計一次消費エネルギー量から、発電量相当分を控除することが認められている。暖房における薪利用も、同様の主旨である評価を与えられてしかるべきであろう。暖房への薪利用は、太陽光による発電とは違って直接的にエネルギーを生み出すものではないが、せめて、薪ストーブ利用について、エネルギー消費量を「0」とカウントしてよいのではないか。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

工程表に伝統的構法の扱いを明記してほしい。

伝統的構法の継承を可能とする仕組みについて、骨子案に言及されているが、参考資料の工程表に掲載がない。以前の工程表には「伝統的住宅は専門的見地より・・・」という但し書きが存在していた。今回の工程表に復活させてほしい。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

土壁仕様ができなくなると、日本の建築文化を絶やすことになる。伝統的木造住宅について、外皮性能に関する規定をはずしてほしい。

土壁は、柱と柱の間に貫と竹などで格子状の「小舞」をつくり、そこに発酵した藁と土とを混ぜた壁土を塗る壁です。土壁の施工では、小舞に直接土をつけた「荒壁」の上に中塗り、仕上げ塗りと土を塗り重ねていきます。室内外の両面を土で仕上げる「真壁」つくり、室内側の表面は土や漆喰塗りで仕上げ、荒壁の外側を塗り壁にせずに、板を張るのを「大壁」づくりと言います。まず「真壁」では、断熱材はどこにも入らないので、外皮性能基準を満たすことは無理です。外側を板張り仕上げにする「大壁」づくりの場合も、断熱材を入れようとすれば、荒壁面と柱面の表面との20-30ミリの間に入れることになりますが、現代の外皮性能基準を満たすだけの外皮性能には達しません。もちろん、柱よりも外側にさらに、断熱材の入った壁をまわせば、外皮性能基準を満たすことはできますが、そこまでの断熱性能がなければ省エネを達成できないのかというと、はなはだ疑問です。実際に土壁の家に生活する人の実態を見れば、土壁の家で同じような広さの家に求められる一次消費エネルギーより低いエヘルギー消費で暮らしている例がたくさんあるからです。真壁づくりにせよ、大壁づくりにせよ「寒いのを我慢して暮らしている」のでもなく「エネルギーを過剰に無駄遣いしてなんとか暮らしている」のでもなく、むしろ「低いエネルギーで満ち足りて暮らしている」のであれば、それ以上に断熱材を入れる必要はないのではないでしょうか? そもそも、外皮性能基準が、開口部を小さくし、断熱材で家を魔法瓶のようにくるんだような「高気密高断熱」の家を前提にして作られたものです。それを土壁を使った家には、本質的に合わない基準なのです。合わない基準に無理矢理土壁を合わせようとする必要はないはずです。この法律の目的が「省エネ」であって、日本の住まいや暮らし方を否定することであるわけでないと理解しています。となれば、高気密高断熱」の家については、この外皮性能基準を適用しない別の省エネ達成の道筋を考えるべきではないでしょうか。

伝統木造建築の壁で板壁でないものは、ほぼ土壁です。日本建築とよばれる民家も町家も、数寄家も茶室も、社寺建築も、土壁がなければ、なりたちません、土壁は伝統木造に必須の要素です。外皮性能規定は「断熱材を入れる」ことを前提としています。断熱材の入らない土壁ができなくなる基準が新築住宅すべてにかかるようになれば、日本の建築文化は滅びます。平成の時代に省エネのために日本の建築文化を絶やすことがあってはなりません。

(住まい手向けバージョンの例)私は土壁の家に住んでいます。義務化されようとしている平成25年基準の外皮性能基準が適用となれば、私の住んでいるような家では省エネが達成できないから作れなくなるということですが、私の家では、エネルギーを無駄遣いすることなく、気持ちよく暮らしています。実際に消費しているエネルギーを調べていただければ、そのことは分かっていただけるはずです。また、家でつくるエネルギーのほかにも、土という身近にある自然な材料で作ること、職人技術を継承することなど、土壁には、環境的文化的にすぐれた特質をたくさんもっています。そのようなすばらしい土壁の家が、「省エネ」な生活も実現できているのに、「省エネのために」作れなくなるなんて、おかしなことだと思います。

2013年3月27日 第183回 通常国会 経済産業委員会で、塩川鉄也委員から「湿気の多い日本の気候風土に適合した木造伝統工法住宅では、土壁やしっくいによる温度調整や、風通しを考えた家づくりが行われてきている。断熱性能の向上は、住宅や建築物の省エネ化にもつながるものではあるが、高気密、高断熱という省エネ法に基づく住宅、建築物の省エネ基準では、伝統工法が生かされないのでは?」との質問に、国土交通省鶴保副大臣は「伝統的木造住宅の特性を踏まえた省エネルギー性能の評価方法の検討を行う」と答弁しています。断熱性能を評価する外皮基準において平成25年省エネ基準にのらなくても、日本の気候風土に合った、エネルギーを無駄に消費しない家づくりが認められる道筋を作ってください。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

伝統木造の実務者もいれた検討委員会を

伝統木造の継承を可能とする仕組みをつくると決めても、伝統的構法の中身が分かる人が居なければ、仕組みはできていかない。大学教育では伝統木造を教えず、政策を立案する官僚も、立案に関与する専門家とよばれる温熱系の研究者たちも伝統木造をよく知らないのが現実である。伝統木造に携わる実務者もいれた検討委員会をつくらなければ、せっかくのこの方針が絵に描いた餅に終わる。実務者を入れて、施工方法、家のつくりと夏冬の温熱環境調整の方法、住まい手の生活実態などについて、詳しく検討をすべきであろう。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

住まい手の一次消費エネルギー使用量の調査を実施して、計算プログラムの改善を。

JIA環境行動部会では、伝統木造住人の生活実態調査を実施している。たとえば、伝統木造の土壁の家では、外皮性能が低いため、平成25年省エネ基準の一次消費エネルギーを計算するプログラムで「設計一次消費エネルギー量」を求めると、「基準一次消費エネルギー量」を大きく上回り「省エネ基準には不適合」という悪い結果が出ることが多い。しかし、水道光熱費のレシートから実際の一次消費エネルギーの統計をとってみると、「設計一次消費エネルギー量」を大きく下回るばかりか、「基準一次消費エネルギー量」をも下回り「省エネが実現できている」という評価の家も少なくない。こうした、設計一次エネルギー量の計算と生活実態との間の乖離がなぜ生じるのか? ということを詳しく調査し、計算方法が未成熟な部分を修正していく必要がある。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

所轄行政庁での指導案づくりに実務者の関与を

義務化する場合、例外が設けられた。「例外3」の「地域の気候風土に応じた住まいづくりは所轄行政庁が認める場合」は所轄行政庁で指導案づくりがなされると思う。その時には、実務者を加えて欲しい。

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[採暖、採涼] についての意見

伝統的木造住宅の基準においては、暖冷房ではなく採暖、採涼の考え方を追加してほしい。

伝統的木造住宅では、外界と室内とを遮断して全館暖冷房をするのでなく、外界とゆるやかにつながりながら、通風、陽射しなどを取り込んだ暮らしを展開しつつ、採暖、採涼で過ごしがたい寒さや暑さについては、補ってきました。このような自然との関わりのあり方は、ドイツの建築家 ブルーノ・タウトから「パッシブ建築」として高く評価されてきたものです。現行の平成25年度基準には採暖、採涼を評価する軸がないので、考え方を追加していただきたい。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

「和のすまい」の考えかたを充分考慮してほしい。

先般、文化庁、農林水産省、林野庁、経済産業省、国土交通省、観光庁により構成される「和の住まい推進関係省庁連絡会議」が発足。2013年10「和の住まいのすすめ」では、「我が国の伝統的な住まいには、瓦、土壁、縁側、続き間、畳、襖をはじめ地域の気候・風土・文化に根ざした空間・意匠、構法・材料などの住まいづくりの知恵が息づいていますが、近年はこうした伝統的な住まいづくりとともに、そこから生み出された暮らしの文化も失われつつあります。このような状況の下、和の住まいや住文化の良さの再認識、伝統技能の継承と育成、伝統産業の振興・活性化等を図っていくことがますます重要となっております」と明記されています。このような考えが実践に結びついていくために、省エネ基準も考慮していただきたいと考えます。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

LCA サイクルも含んだエネルギー消費量の補正値を加えて欲しい。

建築物の製造、使用、廃棄、再使用(リユース)・再利用(リサイクル)されるまでの全段階を通じて、環境にどのような影響を与えるかを総合的に考える環境評価手法である「LCAサイクル」の考え方を、省エネ基準にもぜひ反映させていただきたいと思います。身近にある自然素材である木や土、竹、紙などを材料に、地元の職人が作る伝統的木造住宅は、建物の外皮性能は低くても、LCAサイクルの評価は高いはずです。外皮性能だけで見れば省エネが達成されないという不本意な評価伝統的木造住宅も、LCAサイクル等の評価軸の導入により、正当に評価できるようになると考えます。

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[伝統的構法の扱い] についての意見

土壁に断熱材を入れることは、マイナスにはたらく

土壁に断熱が入らないことについて「構造的に断熱材を入れられない」のではなく、土壁の特性から「入れない」ことを選んでいることをご理解いただきたい。土壁は、水を吸ったり吐き出したりする性質により、室内の湿度調節に役立っている。断熱材で覆うことは、こうした性質を発揮できないばかりか、土壁の中に結露を生じる原因を作ることになりかねない。「外皮性能がよすぎない」ことが「濡れても乾く」ことに、住宅の長寿命性につながることをご理解いただきたい。

この骨子案の前半の規制的手法のあり方の(検討趣旨)に、省エネ基準の義務化がむずかしい建物として「省エネルギー化が困難な構造方法・建築材料を採用せざるを得ない建築物」をあげているのは、土壁のことを指していると思われますが、土壁では、土という建築材料や、塗り壁という壁の構造方法を「採用せざるを得ない」と消極的にとらえていることではありません。断熱材を「入れることができない」から入れないのではなく、「入れないつくり」だということです。「入れないつくり」で得られる室内環境の家において、一次エネルギー消費量が国で想定する基準より低いレベルでの暮らしが実現されていれば、「省エネ」という本来の目的を達成できていればそれでいいのではないでしょうか。「採用せざるを得ない建築物」という表現は、この法律の目的が「断熱材を入れること」にあるかのように受け取られかねませんので「断熱材を入れないつくり」と表現をあらためてください。

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[新築時の対応の確保] についての意見

伝統的木造住宅の可変性

伝統的木造住宅においては、新築時にすべてを完成させないという考え方がある。たとえば、内外真壁の家では、断熱材の入れようがない。新築当初は、断熱材の入らない内外真壁の温熱性能で満足できていたのが、経年変化とともに、断熱性能をあげる必要が出てきた場合には、土壁の周囲に外断熱を施すことも可能である。後からの基準への対応が可能であるならば、新築当初に住まい手が必要としない性能は採用せず、必要となった時に、付加するという考え方の方が自然ではないか?

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[基準への適合性をチェックするプログラム等の使い勝手の改善] についての意見

設計値と実態値との間に開きが出るプログラムの改善を。

プログラムで設計一次エネルギー消費量を計算すると、エアコン全館常時暖冷房の家では、生活実態と適合するようだが、伝統木造住宅の例では、生活実態と3倍くらいの開きが出ると例が少なくない。これは、計算そのものがエアコン全館常時暖冷房の家を前提としているからにほかならない。全館常時暖冷房以外の住宅が正当に評価されるようなプログラムの改善が図られるべきである。

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[基準への適合性をチェックするプログラム等の使い勝手の改善]についての意見

基準の適合性をチェックするプログラムの偏りを修正してほしい。

プログラムでは、冷暖房機器としてこたつ、薪ストーブ、囲炉裏、ペチカ、扇風機など、採暖・採涼機器を選ぶことができないので、選べるようにし、それなりの数値を付与してほしい。家電についても、エネルギー消費量を実態値に近く増減できるしくみを作っていただきたい。

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[小規模建築物における義務化において、建築主の特性に応じた規制のあり方] についての意見

住まい手自らが建築主である場合は、暮らしを自ら選択する自由を認めるべき

事業主判断基準においては、住まい手は建築主である事業主に対して、どのような暮らしを実現したいかを求めることができないので、安全側の基準が採用されることは理解できる。しかし、つくり手と住まい手とが、建築の計画当初からともに家づくりをするケースにおいては、住まい手に暮らしを選択する自由があってしかるべき。ならば、住まい手が建築主となり、その建築物の温熱環境に関するクライテリアを設定できるケースにおいては、外皮性能基準はあえてもうけず、そのクライテリアをを実現する責任をつくり手が負うことにすればよい。直接の関係性の中で、双方が合意し、納得して家づくりを進めることができるようであれば、省エネ達成については、1次エネルギー消費量だけの規制基準にすべきではないだろうか。

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[小規模建築物における義務化において、建築主の特性に応じた規制のあり方] についての意見

暮らし方の多様性をカバーできるように

世間の大多数の新築住宅は、高気密高断熱タイプであるから、平成25年基準は、ほとんどの新築住宅については、省エネ性能を確保するのに合った基準であるかもしれない。しかし、そのような家が「ほとんど」ではあっても「すべて」ではないとすれば、「ほとんど」に適合する基準を「おしなべて」適用するのは、少数派の基本的人権の侵害になりかねない。全館暖冷房もあるし部分暖冷房もあるし、採暖採涼もある。建築主が幅広い生活をする自由を奪ってはならない。

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[小規模建築物における義務化において、建築主の特性に応じた規制のあり方] についての意見

ひとり住まいや二世帯の場合、実態と合っていないのではないか。

建築主の生活実態として「ひとり住まい」や「二世帯同居」という場合などがあるが、現行の次エネルギー消費量計算プログラムでは、それが反映されない。(ひとり住まいなのに過度に暖房を求められる、二世帯同居で主たる居室が二つあるなど)生活実態に近くなるよう、反映できるしくみにしてほしい。

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[小規模建築物における義務化において、建築主の特性に応じた規制のあり方] についての意見

断熱化の義務化は、財産権の侵害では?

「我慢は良くない、家の断熱性能を上げるべき」と温熱学者や断熱メーカーがいい、必要がないと建築主が言っても、基準で定める外皮性能を満たすよう要求される。それが120万円のコストアップとなっても、今は補助金でまかなわれるが、義務化となれば、補助金は無くなる。必要ないものにお金をかけることを強要されるのは、財産権の侵害にあたるのではないか?

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[小規模建築物における義務化において、建築主の特性に応じた規制のあり方] についての意見

地域性を考慮し、UA 値かηA 値か、どちらか一方で。

UA値とηA値の計算には、非常な労力を要します。設計者だけでなく審査員、検査員にも過大な負担がかかります。効率的・効果的を目指すなら、北の地域はUA値だけ、南の地域はηA値だけなどと、それぞれ計算はどちらか片方にしてはどうか。

  

「これは国に言っておきたいな」という意見がありましたら、ぜひ、パブリックコメントを!

こちらのページからリンクしているフォームから寄せることができます。

パブリックコメントの提出先:http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155140725&Mode=0

この「パブコメ対策」コンテンツの公開からまる5日後が、パブコメの〆切となります。5日間で100のパブコメを集めたいと思っています。

今回、急いでこのコンテンツを公開したことがどのような広がりが生まれるのか、どこまで効を奏するか、まったく未知数です。この短期決戦の作戦のゆくえを把握するために、下記のアンケート(無記名)にお答えいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。