左/印半纏に染め抜いた「と」は、トトロの「と」右/映画でおなじみのサツキとメイの家
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五月組:あのサツキとメイの家を建てる


若い大工のパワーが結集した 建前を見学

「サツキとメイの家」は。愛・地球博の森林体感ゾーンの中にある。

2005年春開催の「愛・地球博」では、映画「となりのトトロ」にでてくる「サツキとメイの家」を実際につくる企画が進行中です。木の家ネットメンバー数名が中心の「五月工務店」が施工を受け持っており、今回の現場レポートは、6月18日に行われた建前の模様をお伝えします。

「となりのトトロ」の舞台となった昭和初期の家を再現

手前に突き出た洋館の屋根組は木組では無理。ボルトを使用している。当時の洋館建築にも使っていたという。

映画の冒頭でサツキとメイがトラックに乗って引っ越してくるその家は、同じ映画にでてくる「カンタとばあちゃん」らが住む農家のようなシンプルなつくりの家ではない。都心に住む人が療養のために建てた別荘で、正面には、相当な屋根勾配のある洋館まで突きだしている。ジブリ側は「この家が建てられた昭和初期の技術で再現できる大工」を探し、木の家ネットのメンバーの大工、中村さんに白羽の矢が立った。30代の若手大工を中心に「五月工務店」というこのプロジェクトのためのチームを作って請けることにした。

刻みに入る前には、夜な夜な集まって、木組みを検討。左から増田さん、栓山さん、北山さん、設計士の山田さん。

図面は設計士がジブリ側と打ち合わせを重ねて引いたが、木と木をどう組むかは、五月組の裁量に任された。中村さんはじめ、墨付けを担当する増田さん、のみをふるって刻む北山さん・栓山さんの4人で、模型をつくったり、CGでパースを描いたりしながら、この謎解きに挑んだ。

刻んだ材がいよいよ、組みあがっていく!

栓山さん作成の「立体板図CG Tシャツ」。「ちょっとじっとしてて!」前の人の背中を見れば、一目瞭然!?

木組みの家づくりでは、基本的に釘や金物に頼らず、木と木の接合部をのみやのこぎりで加工し「仕口」という凹凸をつくり、それを現場でぴったりとはめていく。材の寸法より長さが必要になるところは「継手」で足す。仕口・継手には多くの種類があり、どこにどれを用いるかは、強度、納まりなどを考えながら判断する。

母屋の棟木を掛け矢でたたきこんで、おさめる。左から、増田さん、吾朗さん、中村さん。

アタマの中で解いたパズルの答どおりに、まっさらな材木に墨を打ち、組んだ時に一分のすきもないよう、正確に刻んでいく。ここまでは、作業場でのコツコツとした地道な仕事だ。4月の2週目から約2ヶ月間かかった。

ところが、それを現場に持ち込んで組み上げる建前は、たったの2日間。一気に、大勢でかかる。中村さんが仲間の大工たちに応援を頼み、各地からこの建前のために馳せ参じてきた。おまつりのようでもある。


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五月組の建前は助っ人部隊を入れて19人。左端は前回登場の田上さん。中村さんのインタビュー「旅する大工、つながる大工」も読んでね!