新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり、木の家ネットの会員の2018年にベストショットをお送りします。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
2018年9月〜10月、2回、のべ2週間にわたって、岡山県総社市での板倉構法による仮設住宅建設現場に応援大工として参加した宮内さん。その現場での大工たちの記念写真を、次のようなコメントを添えて送ってくれました。「これに尽きるでしょう! 色々と考えさせられたり、忘れていた大工のイケイケ魂を思い出さしてくれた現場でした。」
年末には、板倉仮設 移設ものがたり part1 概要編、part2 実録編、part3 大工の声&今後の展望編 3部作を公開しました。ぜひ読んでくださいね。
杉原 敬さん
瑞(みつ)Sugihara Takashi woodworking and building
12月20日に東京八王子にある多摩美術大学建築学科で行った木造建築の講義の様子です。毎年この時期に集中講義をしていて、18年目になリますが、昨夏、Facebookで岡山県総社市の仮設住宅建築工事応援大工募集を呼びかけたのを見て、18年前に教え始めた頃の学生だった長橋君が現場にも現れてくれて、嬉しかったです。せっかくの縁なので年末の講義にも来ていただきました。そのときに彼が撮ってくれた写真です。
2018年10月の職人がつくる木の家ネット鶴岡総会での一コマ。「下向き加減からゆっくりと顔を上げてまずペロリ!」二日目の見学先の松ヶ丘開墾場で宮村さんが「ソフトクリームの正しい食べ方」を、高知の沖野誠一棟梁とその弟子の須賀大輔さんに伝授しているシーンです。沖野さん曰く「カツオ(=須賀さんのあだ名)に『お父ちゃん、顔の上げ方がちくと早いで‼︎』と叱られたき」と。舐め方にも男の流儀あり(≧∀≦)。
岡崎製材所の持ち山の天然林で、お施主様が大黒柱として選んでくださった檜を、目の前で伐採し、そのまま山に置いて葉枯らし乾燥し、昨年5月、ついに製材しました。施主様ご家族も工場に来られて、見学。しっかりと目に焼き付け、カメラにもおさめられました。その一枚です。
家づくりの第一歩。「ずっと思い出に残る」とおっしゃり、すごく感動されたご様子。施主様が喜んでいる顔を見て、こちらもうれしくなりました。今後も変わらず、近くの山の木をふんだんに使った家づくりを進めてまいります。この大黒柱を中心に据えた家は、春には竣工予定です。
「気候風土適応住宅」のモデルとして、サステナブル建築物等先導事業に採択された、川越の家での完成見学会で、くむんだー®︎イベントをしました。家は街なかに立つ石場建ての家。庭も将来この通りの雑木林となるように計画しています。植栽ができ、木々が育ってくれば、都会の中に自然景観をつくりだすような家になることでしょう。
、家も、ジャングルジムくむんだーも、伝統構法の核をなす木組みと石場建て。その両方を一緒に楽しめるイベントでした。より多くの方に木組みの知恵と楽しさを知ってもらいたい。今年もそんな活動を続けていきたいと思います。
職人がつくる木の家ネット鶴岡総会。13日の見学ツアーで訪れた「致道博物館」は、かつての鶴ヶ岡城の三の丸に、庄内地方独特の民家や明治期の洋風建築を復元再生した建築群を巡ることのできる、野外博物館です。特に田麦保の民家はの層屋根は、当時盛んだった養蚕のために、通風口を工夫しての形とのこと。興味深かったです。
続く松ヶ岡開墾場の見学では、どの建物を観る時でも、外周をウロウロしては、かがんで床下を偵察する大工たちの姿があちこちに・・・「覗きに興味あり!?」・・いやいや、大工の習性ですね。昔の職人さんの仕事を見たい心が湧いてくるのです。ちなみに、田麦俣民家の石場建ての床下は「足固め」ではなく、梁間方向だけに入っている厚めの貫にネダがかかっていました。地方によってさまざまな特徴があるのですね。勉強になりました。
サステナブル気候風土型先導住宅に採択された『土間と風の家』に、ワシントン・ボセル大学の工学部の学生さんたちが見学に来られた時の写真です。和紙ひとつ、土壁ひとつにおいても使い終わったからと言って「捨てる」「ゴミにする」という発想はなかったという話、長く物を大切に使っていくための知恵や技術の話をさせていただくと、かなり驚いておられました。
移動や移住が多いアメリカでは「家を長くもたせる」という発想があまり無いようで、『土間と風の家』は持続循環型の省エネルギーハウスとして関心をもたれたようです。資源を無駄にしない持続循環型の昔ながらの日本の家のつくりや伝統文化が、彼らにとってヒントとなり、良い影響をあたえてくれることを期待します。
版築(はんちく)とは、少しずつ入れた土を強く突き固めてはまた土を入れ、徐々に高くしていくことで、堅固な土壁や建築の基礎部分を構築する工法のこと。岡崎市の松應寺で、家康の父の松平広忠廟の土塀を版築で復元するので、その練習を愛知産業大学の学生さんたちとしました。写真はその時のものです。今年2019年には、いよいよ復元工事が始まります。
土壁石場建ての保育園を作っています。外壁は耐久性がよく、塗料いらずの焼杉仕上げ。黒光りするかっこいい壁になります。工事費削減のために、理事長と事務長と私、3人で、270枚の一寸厚の杉板をバーナーで焼きました、子供達が触って煤だらけになるといけないのでタオルで拭き取る作業をしたら・・・こんな顔になっちゃいました〜
障子のない家も増えていますが、この保育園では、障子をたくさん使っています。その良さと共に、乱暴に扱うと破れることや、破れた時の直し方を教えたいという園の方針と私の思いが、重なりました。
宮城県石巻市北上町十三浜で、ワカメ養殖など海の仕事を生業とする家に生まれ育ちました。東京で建築を学んでUターン。故郷を拠点に設計の仕事をしていますが、漁業権は家督として親から受け継いでいます。これは地元に籍を置き、養殖のほかアワビやウニが採れる開口の日※ に参加する意思のある人にのみ認められる権利で、他所に籍を置いてる部外者では駄目。
アワビは11月〜2月、ウニは5月〜8月で、海の状態の良い日が開口となります。人間の都合でなく、天気や海の状態で決まり、前日に漁業組合の有線放送で告知されます。しかも、漁ができるのは、指定された日の夜明けから10時まで。私のように本業の打合せや役所立合い、現場の配筋検査等いろいろあると、開口の日が日曜日やスケジュールの調整がきく日に当たる時にしか参加出来ません。
潜って採るのでなく船の上から箱メガネで見て、竿の先に取り付けたS字型の金物で引っ掛けて採るので、腕の差は歴然。仕事でストレスがたまっていても、この時ばかりは海の底を探して夢中になって採るので、昔のままの自分に戻れるような感じがして、気分転換に最高です。
写真は、昨年、唯一出漁できた12月のアワビの開口の時、目当ての場所まで漕ぎ出して様子をうかがっている夜明け過ぎに、船の上から撮ったもの。自分にとっては一番好きな十三浜の海の光景のワンショットです。
※開口(かいこう)とは、磯漁や地先漁業で海草類や魚貝類などを共同採取する場合、日を定めておいていっせいに採取することをいう漁業用語です
地震で被災された、うちの建具を作ってくれているきやま木工さんの、およそ100坪の工場を新築した建て方の時の一枚です。奥に写ってるのは、僕の長男です。夕日が映りこんだ木材、背景の山並みが綺麗だったので投稿させていただきました。
築86年の家を、昭和7年に新築された当時の姿に修復する仕事を請けた際、矩折り(かねおり)についた肘掛窓の外側にたてるスギの雨戸のために施工した「雨戸の戸回し」の写真です。
雨戸というのは、戸袋から一本の溝で引き出しますよね?その雨戸が、直行する二つの面に廻ってている場合に、両面の開口分の雨戸のすべてを、片方の戸袋に収納したいことがあります。そんな時には、雨戸が走る二本の溝が交わる「角」の部分に「戸回し金具」を取り付け、引き出した雨戸をそこでくるっと90度回して、戸袋に納める工夫をしたものです。昔はよくありましたが、近年ではめっきり見なくなりました。
今回のこの戸回し金具は、古材店で探しました。希少品なだけにお施主さんには大変喜ばれました。ゆくゆくは、今ではアルミ製になっている縁側の雨戸も、障子と木製の内回し雨戸に取り替える予定です。
亀屋工務店の工事記録ブログの記事「築86年 木と土の家」を見る
パッと見は何ということないサンルームですが、伝統構法の建物に伝統構法で物干し室を増築しました。
板壁の下は土壁で、屋根は強化合わせガラス。もちろん建築確認と適判にも合格しています。伝統構法は現行の建築基準法では合法的には建てられないと思われていますが、限界耐力計算をつかえば、大抵のことは可能になるんですよ!
曹洞宗の寺院境内に建てさせていただいた薬師堂です。旧お堂は茅葺きで、屋根等が老朽化していたため建て替えとなりました。
解体時に虹梁を受ける肘木の上面に墨書を発見。内容はまだ解読中ですが「元禄七年」の文字から324年前の建立であろうことが推測されます。装飾的には比較的簡素だったため、彫刻は木彫家である妻が全て担当。軒反り部や升組部に苦労しつつも、完成をみました。
今年も「現代版結」のしくみでの竹小舞の作業が続きました。写真は、埼玉県の古民家改修にて。みんなが無心に楽しそうに壁と向き合う姿を思い浮かべながら、この美しい夜景をしばし眺めました。
みんなありがとう!おかげでたくさん楽しませていただきました。そして今年もよろしくお願いします。
奥さんを亡くされたご主人と晩秋の庭を見る
杉板は鉋を研いでも研いでも粉をふき、額には拭いても拭いても汗がふきます。スギは、やわらかい木です。ヒノキが皮ジャンだとすると、フリースぐらいな感じ。加工はしやすいんだけれど、鉋はかけにくい。しかも、油分がないから。鉋の刃がキレッキレに研げてないと、刃が白い粉をふいちゃうんです。
輝く平滑な面を出すために、鉋仕事をする以前に刃をよく研いで台につけたのをいくつも用意しておいて、ちょっとでも切れ味が甘くなったらすぐに取り替えながら削ります。仕事以前の準備にめちゃくちゃ時間かかるんです。刃物は切れて当たり前、仕事のうちに入らんって、昔の人は言いますけどね。
粗く表面をならしていくときはそうでもないですが、最後に仕上げるときは、板の長さのストローク分をスーーッと引きます。吹き出る汗は、緊張の汗です。木のいい香りがしますよ。施主さんちのテーブルになリます。
昨年は、くむんだー公演が通算100回を超え、101回目は日本橋で行いました。もう「くむんだー」の活動無しには、私の人生は語れなくなってしまいました。
写真は、近江八幡市の小学校での取り組み。保護者会はもちろんですが、地域の健康推進委員・日赤・PTA等沢山の活動母体がひとつになり、子供達を見守っておられました。少し感動しました。この日は、NHK大津の取材もありました。今年もこの取り組みを通して、日本の木の良さや、木組みの家の良さをますます発信していきたいです。
去年の11月に、今年竣工する自宅のリビングの吹き抜けの階段にシンボル的に使う磨き丸太にする檜を選びに、八百津の山に妻と一緒に行って来ました。山に入ると「どれでもいいのを」と言われ、最初はどうやって選べばいいんだろう?と思ったのですが、二人で「この木がいいね」と直感的に選んだ一本を伐採してもらい、トラックに積んで帰ってきました。
持ち帰った檜は、皮を剥いて、砂で磨きました。仕事仲間や友達がちょっとずつ来て磨いてくれたのも一生の思い出になります。この木は、後からヒビが入ってもいいから、背割れは入れず、まあるいまんま、抱きつけるような感じに使おうと思います。
自宅は木の家ネットの仲間の丹羽さんに設計をお願いし、岡崎さんのところの山の木を組み、丹羽さんがいつも頼んでいる左官さんに土壁を塗ってもらいます。関東では土壁の家づくりの新築がほぼ途絶えているので、自分も学びたいという気持ちもあってお願いしました。見学会などもするつもりです。木の家ネットのイベント欄でおしらせしますので、ぜひいらしてください!
2018年もたくさんの住まい手と一緒に『日本の山とつながる家づくり』ができました。ここは毎年春に植樹体験ツアーをしている岐阜県八百津の山。『家づくり』は親子で楽しめるものにしたいですね!
この日、一緒に出かけたのは四家族、子供は中学1年生からおなかの中の赤ちゃんまで総勢13名。このひとつ前の投稿をしてくださっている袋田さんもいますよ!伐採した後、森の中に立ちこめる東濃桧の香りを堪能致しました。
この家は名古屋にあるシュタイナー芸術教室の家づくり講座で、立木伐倒から始まり、掘建て柱に藁縄で横架材と垂木を結び付けた上に茅葺き屋根を載せています。小学3、4年生10人と造りました。
ちなみに、手前に立っているのはうちの次男なのですが、この建設には参加してません。ボーイスカウト帰りに一緒に寄って見たところです。