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サツキとメイと私の家 : 愛・地球博レポート


思わず「ぼろーっ!」とゆすりたくなる柱。けど、残念ながら安全のため動きません。

2005年の3月25日から9月25日まで、愛知県で開催されている「愛・地球博」。その中でもとりわけ人気が高いのが「サツキとメイの家」で、映画「となりのトトロ」に登場する家を再現した建物です。けれどもそれは、映画のセットのようなハリボテではなく「となりのトトロ」にきっかけをもらって作られた「本物の家」です。2004年6月の現場報告でもお伝えしましたが、「サツキとメイが暮らしていた時代の大工技術で作ってほしい」という大きな課題をスタジオジブリが依頼したのが、木の家ネットにも加盟している中京地区の若い大工たちでした。

大学で考古学を教えているお父さんの書斎。机の上に並んでいる文房具も当時のものばかり。写真をクリックすると大きくなるので、じっくりと見てみてください。(クリックすると拡大します)

昭和10年代に建てられ、30年代に草壁家が引っ越してきたという設定のこの家には、洋館こそついてはいますが、基本的には戦前ではあたりまえにつくられていた昔ながらの家、今では伝統的構法とよばれる木組の家です。いまや日本でいちばん注目されている「木組の家」ともいえるこの「サツキとメイの家」の本当の魅力を、一般公開前に取材することできた木の家ネットが4ページにわたってお届けします。

無造作に並べられた研究書。どうやらサツキとメイのお父さんは、整理整頓があまり得意ではないようです。本の一冊一冊もこだわって選んであるので、ぜひクリックして見てください。(クリックすると拡大します)

最後まで読んでいただければ、「サツキとメイの家」は、あなたにとってぐっと身近なものとなるにちがいありません!

あれは本当に住める家なのです。

「サツキとメイの家」は、古く見せるために「エイジング」といって、わざと古びた色をつけたり、汚しているところがあります。が、書斎の床は本物の古い家からもらってきたもの。元々の傷を生かしたかったので、板の並び順を記録して、そのとおりに組み上げたそうです。

「サツキとメイの家」を初めて見た時に、多くの人が最初に口にする言葉は「映画とそっくり!」でしょう。確かに、映画のイメージを損なわないように「サツキとメイの家」は念入りにつくられていますが、それは表面だけでなく、床下から天井裏といった目に見えないところまで、ちゃんとした工法でしっかりつくられています。

書斎脇の階段を登り、マックロクロスケが逃げ込んだ二階に向かいます。果たしてマックロクロスケは今でもいるでしょうか? 愛・地球博では、二階には行けないので、幸運にも入場券を手にいれても、この先は見ることができません。

だから本当に住めるんです。今でも。あなたでも。自分がその暮らしの中に身を置いた時のことを思い浮かべて「いいなぁ」「こんな家に住めたらなぁ」と思う人も大勢いるのではないでしょうか。

階段を登りきって振り返ったところの壁。板と板の隙間が広く空いているところがあります。何かが動いたような気が?

いま 「サツキとメイの家」のような家に住んでいる人は少ないと思います。ある程度以上の年齢の人ならば、「子どもの頃はそうだった」「いなかのおじいちゃんの家がそうだった」という記憶がある人もめずらしくないでしょう。「こんな家に住んだことはないのに、なぜか懐かしい」という人も多いようです。では、その感じがどこから来るのか、次のページで探ってみましょう。

これがその隙間のアップ。指一本なら入れられます。実際に入れてみると、指先がマックロになりました。さては、さっきまでいたな!

一旦外に出て、縁側から居間へ。ガラスに映った風景がゆらゆらしているのがわかるでしょうか。これは昔の波打ったガラスを使っているからで、製法が違うので今の工場では作れないそうです。だから、古い建物が解体されると聞くと、とんで行って、ゆずりうけるということの連続でした。


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