Q&A 暑さ寒さ篇
家は、365日、私たちの生活を守ってくれるシェルターです。 高温多湿な夏と寒い冬とがある日本に暮らすにあたって、 季節とどうつきあっていくかは大事な問題。 「夏暑すぎず、冬寒すぎない家に住みたい」 誰しもそう思うものです。 住宅の温熱系に着目したいろいろなシステムができていて メーカーでは「一年中同じ気温室温で、いつも快適に」を 売りにしているところも多いようですが、 伝統的な構法による木組みの家では 「自然な温熱環境」を大切にします。 寒さ・暑さをしのげる家であることを前提に、 季節に合った住まい方をする。 それが、木の家づくりのスタンスです。
Q1.高気密・高断熱が注目されていますが、木組みの家は高気密・高断熱ですか?
木の家ネットのつくり手がつくる家では 暑さ、寒さをしのげる家を考えるにあたって、 断熱性を高めることによって性能を上げる、 というのがおよそ共通の基本姿勢です。 気密性ということでいえば、日本の昔の木の家の 一つの悪いイメージとして定着している 「すきま風で、冬、寒い」という点は、 たしかに解決が必要です。 しかひすきま風はシャットアウトしながらも、 高温多湿な夏がある日本では、 通気性の確保も重要なことです。 外気が流通できるような 風通しのよいプラン、 壁に結露させないために 真壁にすること、 住まい手の健康のためにも 適度に空気を入れ換えることなどが大事です。
Q2. 木の家だと夏、暑かったり、冬、寒かったりしませんか?
まず、素材が木や土といった 呼吸する自然な材料であることが、 季節をしのぐ助けをしてくれます。 まず、無垢の(塗装をしていない)木や土壁は呼吸するため、 温度や湿度を適度に保つという すばらしいはたらきをもっています。 4寸角の無垢の柱一本でビール瓶1本分の水分を 吸ったり吐いたりするはたらきをもつといいます。 外気が湿っていれば吸収してくれ、 乾燥していれば水分を放出してくれます。 そのため、じめじめした梅雨から夏にも結露が起きにくく、 そして冬は冬で、空気がカラカラになることがないのです。 また、無垢の床板は、冬でも素足に冷たくないもの。 サーモグラフで板の表面を測ってみれば 塗装したフローリングの床と大した差はないのですが、 実際に歩いてみると、体感温度が全くちがうのにおどろきます。 特に針葉樹の木肌は たくさんの細胞の穴があいた「ポーラス空隙」という、 多孔質の状態になっているため、人間の足の温度を反射してくれ、 それで、とてもあたたかいのです。 冬の日射しが無垢の床板にあたるようにするとなおいいですね。 これは冷たい空気の遮断・断熱ではなく、蓄熱の効果です。 ある程度の厚板でないとこうしたはたらきは発揮されません。 例えば、室内真壁、外大壁、壁内に断熱用の空気層をつくった家で、 屋内外の温度を測定してみたところ、 冬の外気温が-10度の時でも 室内は10度前後で快適でした。