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Q&A:暑さ寒さ篇


Q3. 夏涼しく、冬あたたかい家づくりのために先人から伝えられてきた知恵について教えてください。

Q3. 夏涼しく、冬あたたかい家づくりのために先人から伝えられてきた知恵について教えてください。

昔ながらの木の家づくりに学ぶといっても、 世の中や生活感覚が昔のままではないのですから、 改善すべき点はたくさんあるでしょう。 たとえばクーラーの排気熱による暑さや、 涼しさをつくってくれる木陰や緑のなさ、 CO2の排出による温暖化など、 昔にはなかったような問題も山積みですし、 生活水準が全体的にあがって、 何もかもが便利になっている中で、 寒さ・暑さは「我慢すればいい」と 言い切れるものでもありません。 ただし、先人の長年してきた家づくりや住まい方の中には、 これから未来にわたっても示唆に富んだ工夫が たくさんあります。 それを3つのポイントに整理してみました。

1. 無垢の木や土壁の厚みで自然の呼吸作用を取り入れる

2. 風通しと日当たりに配慮したプラン

3. 日常生活の中でできる季節ごとの住まい方

1. の木や土の呼吸作用や蓄熱作用については前項で述べました。

2. の間取りについては、 まず、通気性、つまり風通しがいい家を考えることが第一です。 腐ることもなく、耐久性よく長持ちします。 床下への配慮も忘れてはなりません。 風が通らず、雨もたまるような構造では、 土台から腐ってしまいます。 次に、夏の強い日射しをシャットアウトしながら、 冬の低い日射しはなるべく取り込むこと。 昔からの長い軒の民家は、うまくそれができています。 敷地がせまいところでも 風の道や日当たりのための空間を残すことを考えましょう。 欲張って敷地いっぱいに建てたり、 あとからの付け足しの増築で 風の通り道や日当たりを犠牲にしてしまうと、 壁や床、瓦裏などに結露するといった 厄介な問題が起きやすいのです。

3. の生活の知恵では、 たとえば歳時記を読むといろいろでてきますよ。 夏座敷、風鈴、打ち水、よしず、すだれ、植木など 心の面の演出だけではなく、 実際に蒸し暑い夏を涼しく過ごすための知恵です。 冬でいえば、Tシャツ一枚で快適に、とまで言わずに 重ね着をする、炬燵に集まって団らんする という暖の取り方もいいのではないでしょうか。

暑さ寒さを最終的に機械で調節してしまって 一年中同じ温度で受動的に過ごすよりも、 先人の知恵から生かせるものは取り入れつつ、 さらに今の暮らしにあった季節のしのぎ方&楽しみ方を 自ら積極的に創造していくことは、 「豊かな生活」ではないでしょうか?


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