木の家ネットのサイトでは、1/3の朝から〆切の1/6まで、正味4日間の呼びかけでしたが、「省エネ基準の義務化」について、数多くのパブリックコメントが国交省に送られたようです。木の家ネットのつくり手が送ったパブコメを、テーマ別に閲覧できるようにしましたので、ご覧ください!
- 01 意見募集の告知・時期・期間について
- 02 (骨子案の) はじめに について
- 03 【新築の際の基準適合義務化】 について
- 04 【特例的扱いの対象】 について
- 05 【伝統的構法の扱い】 について
- 06 (2)段階的な基準適合義務化のあり方 について
- 07 【新築時の対応の確保】 について
- 08 【民間機関活用の必要性】 について
- 09 【基準への適合性をチェックするプログラム等の改善】について
- 10 【建築主の特性に応じた規制のあり方について】について
- 11 省エネ誘導法施策について
- 02 (骨子案の) はじめに について
パブリックコメント:「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について(第一次報告)」(骨子案)に関する意見の募集について
案件番号:155140725 問合せ先(所管府省・部局名等):国土交通省住宅局住宅生産課 Tel:03-5253-8111(内線 39-465) 開始日:2014年12月18日 締切日:2015年01月06日 パブリックコメントの提出先:http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155140725&Mode=0
01【意見募集の告知・時期・期間】について
和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)
せめて1ヶ月程度の期間の募集を
募集要項には「広く国民の皆様から、ご意見を募集」とありますが、「広く」という割には、募集期間や要項の告知がある頁がわかり辛いです。 せめて経済産業省のHP程度に、わかりやすくなるよう改善していただけないでしょうか。 募集開始日が、平成26年12月18日(木)14:30〜16:30に開催された第12回建築環境部会開催と同日で、国民からすれば「不意打ち」「唐突」感は否めません。当日の会議での配布資料3「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方の検討スケジュール(案)」でも意見募集は「12月下旬から1月中旬」となっており、実際の「12月18日から1月6日」とは大幅に異なります。 期間も、その他の多くの案件(任意の意見募集を含む)が概ね1ヶ月であるのに対して、土日年末年始の官公庁休日を除くと実質的に10日にも満たず、現在募集中の案件中では最も短く、参考資料を含めて骨子(案)を読み解き意見を出すには短すぎます。 「広く国民の皆様から、ご意見を募集」するのならば、せめて1ヶ月程度の期間、募集をお願いいたします。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
今回の意見募集の時期と期間に関して無理があるのでは?
建築の省エネルギーに関することは、専門家のみならず一般生活者に関しても大変関心の大きい事柄です。まして金銭の負担や建築の仕様見直しを伴う内容だけに、混乱の起こらぬ様に多くの国民から意見を集める事が大切では無いかと考えております。 しかしながら、私自身がこのパブリックコメントの存在を知ったのは数日前。年末年始の多忙な時期を挟んでの意見のとりまとめに予定を変更しての対応となっております。パブコメ募集の趣旨から考えますと、時期と期間に関して無理があるのではないでしょうか。出来る事ならば期間の延長を望むところであります。延長をする事によって、内容をさらに拡充させる建設的な良い意見が集まるのではないかと考えております。丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)
期間の延長を
今回のパブリックコメント募集は12月18日から1月6日の20日間しか有りません。パブリックコメントを募集する本来の主旨からすると、国民が最も多忙の年末年始の短期間にあてることが不適切であることは明らかです。期間の延長を強く要求致します。長谷川 順一 住まい空間研究所(新潟県)
年末年始の繁忙期の募集では、国民的議論は高められない
別紙P.2意見募集期間 〇平成26年12月18日(木)〜平成27年1月6日(火)必着という公募期間の設定は、年末年始の繁忙期にかかるほか、行政手続法§39条の3(意見公募手続)に定める、「第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。」に抵触するのではないかと懸念します。意見を広く求めるにふさわしい期間設定をお願いすると共に、必要に応じてはメディアを通じた告知の徹底をもって、国民的議論を高めるべきと思います。田口 太 土壁の家工房(熊本県)
パブコメの意見募集の期間延長を
国民それぞれが日頃の生業で忙しい中に考える時間を取って意見するのです。もう少し慎重に進めていかなければ、国交省でも推奨している和のすまいや日本の建築文化を失うことにもなりかねません。はじめに
・ 我が国はエネルギー源の中心となっている化石燃料に乏しく、その大宗を海外からの輸入に頼る根本的脆弱性を抱えており、国民生活と産業活動の血脈となるエネルギーの安定的確保は常に大きな課題であり続けている。 ・ 特に東日本大震災以降、電力の供給力が低下する中で、エネルギーの需給構造の早期安定化が不可欠となっており、エネルギーの安定的供給構造の確立とともに徹底した省エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの導入加速化、燃料電池・蓄電池技術等による分散型エネルギーシステムの普及拡大等を推進することが強く求められている。 ・ 一般に業務・家庭部門として分類される建築物で消費されるエネルギー量は、我が国の最終エネルギー消費の約3分の1を占め、他分野に比べ過去からの増加が顕著であることから、当該分野におけるエネルギー使用の合理化を図ることが、省エネルギー社会の確立、ひいては安定的なエネルギー需給構造を構築していく上での喫緊の課題となっている。 ・ このため、本報告においては、今後、関係者の共通認識と協力の下で関連施策が推進されるよう、建築物における省エネルギー化に向けた規制的措置や誘導的措置などを推進していく上での方向性を整理するものである。
02【はじめに】 について
林 美樹 ストゥディオ・プラナ(東京都)
日本の暮らしは自然に寄り添う「採暖、採涼」が基本
日本は南北に細長く、日本海側と太平洋側では、あるいは海側、山側では気候が違いますが、関東より南は概ね温暖な地域です。また、もともと日本の暮らしは「採暖、採涼」が基本でした。しかし、現在の省エネのための基準は、北方欧米系の思想でつくられています。建物をしっかりした壁で囲い、室内環境を全てコントロールするのが前提です。自然と寄り添ってきた日本人らしい暮らしを否定するような、一律的な基準の義務化には疑問を感じます。「室温と外皮」だけで室内環境をはかるのは一面的
一次エネルギー消費を減らすことには賛成ですが、今回の基準が室温と外皮性能だけでつくられていることに疑問を感じます。人が快適に感じる室内環境には、輻射や対流、湿度なども関係してくるはずです。それらも考慮にいれないのは片手落ちではないでしょうか。森林国日本はバイオマスエネルギーに力を入れるべき
現在、創エネとしては太陽光発電ばかりがもてはやされていますが、森林国日本としては、もっと木質系バイオマスエネルギーに力を入れるべきではないでしょうか?現在、困窮している林業の現場にもっと手厚くサポートし、眠っているすぐれた資源が有効に活用できるような施策を望みます。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
自然エネルギーやバイオマスエネルギーへのシフトを
化石燃料をエネルギーの中心ととらえるのではなく、自然エネルギーやバイオマスエネルギーにシフトしていく事も考慮するべきではないでしょうか。特に国土の70%弱を森林に持つ国として、住宅・建築のエネルギー源を見直す時期にさしかかっていると考えております。東日本大震災以降は、電力が断たれたときでも、室内の一定の快適性が保たれる事が重要であることがわかりました。技術革新は必要である反面、通風や日射、素材による快適性の確保などもう一つの方向性を見定める必要があります。多くの家電を持たず、低エネルギーで暮らすライフスタイルを推奨してほしい
また、増加の顕著な家庭部門のエネルギーという表記に関して、昨年12/18に開催された社会資本整備審議会 建築分科会 第12回建築環境部会での配布資料家庭用エネルギー消費量に関するデータ(参考資料2)を拝見しますと、照明・家電・他に関する項目にて近年のエネルギー消費の伸びが突出しており、横ばいの暖房よりも早急な対策が望まれます。現実には多くの家電を持たず、低エネルギーで暮らしているライフスタイルも存在しており、これらを推奨する事の方が、よほど省エネルギーには貢献出来るのではないかと考えております。ご一考頂けます様お願いいたします。川端 眞 川端建築計画(滋賀県)
エネルギーの需給構造の早期安定化と省エネとのどちらを目標に?あるいは両方?その比率は?
「特に東日本大震災以降、電力の供給力が低下する中で」とあり、エネルギーの需給構造の早期安定化を目指すのか、省エネルギー化を目指すのか、その両方なのか不明です。両方なのであれば、その比率をどのように設定するのか、目標を提示してください。山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)
業務用の建築と住宅建築とは、性格が違うので、分けて議論すべき
「業務家庭部門」は、建築物として同列で扱っているが、業務用の建築と住宅建築とではその性格や社会的位置づけは全く異なる。 業務用建築はある特定の役割を果たすことが目的であるから、その建物の物理的性能をあげ規制することは理にかなっている。一方、住宅の省エネ性をも推進することにはもとより同意だが、「省エネ性」、特に「外皮性能」という単一な切り口の基準だけをもうけることで、住宅建築がもつ「多様な価値」がないがしろにされる結果になってしまっては本末転倒である。 議論のなかで、住宅建築とその他の建築は明確にわけて議論すべきであり、省エネ性の規定だけで、日本の建築文化が駆逐されることのないよう、精緻で丁寧な議論を望む。外皮性能以外のルートの評価方法も確保すべきである。丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)
業務と家庭とをひとくくりにしないでほしい
「業務・家庭部門」と有るが、機能性優先の業務用建築と多様な生活の器である家庭部門建築は、建築物としては全く別のもです。しかし、それを一括りにして、「我が国の最終エネルギー消費の3分の1を占める」とする前置きはあまりにも雑駁すぎるのではないですか。多様な気候風土に根ざした多様な生活が左右される問題です。短気に駆け込むように進めるのではなく、きめ細かく、もっと丁寧に検討を進めることが必要だと思います。家庭部門でのエネルギー使用量は、暖房・冷房は横ばい。抑えるべきは家電と給湯
家庭部門では、「原子力・エネルギー」図面集2012 1-2-12 の家庭部門用途別エネルギー消費量のグラフを見ると、1970年以降で明らかにエネルギー消費が増えているものは「家電」と「給湯」であることがわかります。一方、暖房・冷房についてはほぼ横這いです。「・・・喫緊の課題」とは、これ以上の建物の断熱性UPではなく、『家電』と『給湯』のエネルギー消費を抑える手だてを講じることではないかと思います。寺川 千佳子 一級建築士事務所 恒河舎(愛知県)
暖房よりも家電製品の規制をした方が省エネのためになる
業務・家庭部門など建築物において、居室、執務室のために消費されるエネル ギー量は、他分野に比べ増大傾向が顕著であり、・・・と、書いてありますが、 昨年12/18に開催された社会資本整備審議会 建築分科会 第12回建築環境部会で の配布資料家庭用エネルギー消費量に関するデータ(参考資料2)では、照明・ 家電・他に関する項目のエネルギー消費の伸びが突出しています。省エネルギー の為には、暖房よりも家電製品の規制をすることが効果的だと思います。『快適な温度』の押し付けはやめてほしい
更に、 暖房は地域差や個人差が大きく、『快適な温度』の押し付けは、精神的にも身体 的にも自由の束縛です。どのような手段でどの位冷暖房するかは地域と個人差が 大きいので、一律に規制することは自由の侵害です。日高 保 きらくなたてものや(神奈川県)
なぜ、いつ、暖房エネルギーが増大したかを丁寧に分析してほしい
「居住・執務等のために消費されるエネルギー量は、他分野に比べ増大傾向が顕著であり」,とありますが、居住のために消費されるエネルギー量のうち約1/3を占める暖房エネルギーについて、ここ50年間の一戸当たりの消費量の推移を調べてみました。1965年から1973年の間、つまり高度成長期に一気に1.68倍に膨れ上がり、それ以降は現在に至るまで、ほぼ横ばいまたは漸増傾向にあります。 一気に増加した1965年から1973年にかけては、こじつけかもしれませんが、土壁が衰退し、現代的な乾式工法の黎明期と一致します。つまり伝統的な工法を手放し、現代的な豊かに見える生活を手に入れた結果、暖房コストがわずか10年足らずで1.68倍も増えました。 さらに、いささか皮肉的に捉えると、30〜40年前は断熱材がほとんど入っていなかったのに対し、ここ十数年は「省エネ」の概念が浸透してほぼ必ず断熱材を入れていますが、暖房エネルギー量は減るどころか、少し増えています。いずれにしても、以上のことを含め、もしエネルギー消費量の増大が顕著だとすれば、どの分野の増大が顕著か、詳しい分析を行う必要があるように思います。省エネに効果がありそうな、国がとれる別の方法があるのでは?
私たちが目ざすべきは、あくまでも「省エネルギー」です。外皮性能の向上だけが着目されていますが、無駄な物的消費を抑える、エネルギーに対する課税を強化する、などといった、他に効果のありそうな方策にも着目すべきです。実際、「省エネルギー化」を図るために、今すぐに取り組むことのできない建築物の改善よりも、暮らし方を見直すことにより解決しようとする国民が少しずつ増えてきている実感があります。またその暮らし方を見直す契機づくりを、国が行うべきと考えます。増田 拓史 muku建築舎(三重県)
寒冷地以外では、給湯や照明家電のエネルギーの方が暖房より大きい
「地域別用途別エネルギー消費原単位」(出所:家庭用エネルギー統計年報2012年版、住環境計画研究所)を見ると、北海道・東北・北陸の寒冷地域以外では、暖房よりも、給湯や、照明家電に要するエネルギーのほうが相当に大きいことがわかります。現在、太陽光電池パネルによる発電が、一般にも広く普及していますが、給湯に特化した、太陽熱給湯設備の普及に力を入れることが、既存建築物への対応の容易さも含めて、非常に効果的だと思われます。古川 保 古川設計室(熊本県)
使わない家電の削減指数を追加すべき
業務・家庭部門などの建築物はエネルギー使用量が他分野に比べ増大したのは、家電エネルギー消費量である。経産省主導で家電が売れなくなると困るからという発想ではないのか。省エネ基準(1次エネルギー消費量)の規制基準に一番多い家電エネルギー消費量の削減指数を追加するよう骨子に書いてほしい。「和のすまい」を守るためにも、エネルギー消費量削減だけの規制に
25年省エネ基準は、断熱・気密を基本にした住宅には合致する。国土交通省も参加しておしすすめている「和のすまい」と対立するものが多い。義務化すれば日本から「和のすまい」が無くなる。「和のすまい」を守るために「伝統的構法の扱い」に限らず、外皮の規制強化を図るべきではない。エネルギー消費量削減だけの規制にすべきと骨子に書いてほしい。温暖地では採暖・採涼を薦める別の基準を造るべき
省エネ基準(外皮・1次エネルギー消費量)は暖冷房をした家が基準で、断熱・気密化し外皮性能を上げればエネルギー消費量は削減できる。しかし、採暖・採涼の家は外皮性能をあげても効果は少ない。これらを全館暖冷房化すれば総エネルギー消費量は増える。部屋を締切ってエアコンを可動するより、窓を開けて扇風機を廻す方が極端に消費量は少ない。温暖地では暖冷房化した指数だけではなく、採暖・採涼を薦める別の基準を造るべき。と骨子に書いてほしい。温暖地には全館暖冷房ではなく、採暖・採涼のすまいが多い
温暖地(6,7)では、全館暖冷房のすまいは少なく、採暖・採涼のすまいが多い。よって、エネルギー使用量は少ないのである。外皮規制は掛けるべきではない。ヒートショック論への疑問
断熱・気密の研究は東京を中心に寒冷地は進んでいる。温暖地では、温熱学者さんが少ない。ヒートショック論が全国的にまかり通っている。(ノンエネジーベネフィツト論)4℃の部屋と10℃の浴室を例にあげて25年省エネ基準を推し進める。外皮性能向上とエネルギー消費量削は必要十分条件ではない。省エネ法は生活改善向上法ではないはず。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(1)建築物及び省エネ基準の特性に応じた規制的手法のあり方[新築の際の基準適合義務化]
建築物の省エネルギー性能を確保する際には、新築時に外皮・設備等に関し必要な対応を講じることが効果的・効率的である。このため、建築物におけるエネルギー使用の合理化に向け、居住、執務等のために必要な屋内環境を維持するため長期間にわたり相当のエネルギー量を使用することとなる建築物を新築する際に省エネ基準に適合させることを求め、省エネルギー性能の確保を図る方向で検討を行う。
03【新築の際の基準適合義務化】 について
和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)
冷房なしなのに「居室のみ冷暖房」と同じ扱い?
建築物の省エネルギー性能を確保する事は重要課題だと思います。建築研究所が公開されているプログラムを試用したところ、細かく分類がされていて驚きました。 ところが、冷暖房設備を設置しない場合でも「居室のみ冷暖房設備」を設置するのと同じ消費エネルギーが計上されます。シックハウス法で「新築時にはなくても後から加えるかもしれない」という論理だと想像しますが、暮らしの主義として冷暖房設備を持たない、又は必要としない場合でも「居室のみ冷暖房」と同じ扱いになるのは、納得できません。シックハウス法のような不手際を繰り返さないで下さい。「なし」の場合は「ゼロ」にしていただきたいと思います。家電の使用量は実態に沿った数値で
家電によるエネルギー消費量は「その他設備」に含まれているのだと思いますが、中上委員が参考資料2として提出された「家庭用エネルギー消費量に関するデータ」(「家庭用エネルギー統計年報2012年版」,住環境計画研究所)でも、2010年以降は給湯や暖房より家電・照明・他(以下、家電等)の方が高くなっています。試算でも給湯設備同等の数値が出ました。省エネ化を実現するには、家電の消費エネルギーも看過できないのがわかります。 しかし、家電消費エネルギーを床面積に面積区分による係数を掛ける方法で評価するのは、その他では細かい区分がされているだけに、乱暴な気がします。算定式から30平方メートルで12GJ、90平方メートルで20GJ、120平方メートル以上は一律21GJです。現実には、小規模住宅に住む単身者も多くの家電エネルギーを消費しているのではないでしょうか。家電の使用量は床面積より暮らし方に依る幅が大きいと思われます。電気回路数に比例するような基準にすれば、新築時に定量的に測れ、公平である程度実態に沿う基準になると思います。是非、ご検討をいただきたいと思います。 *資料番号:平成26年12月18日(木)第12回建築環境部会に於ける配布資料「ライフサイクルを通じた」エネルギー使用量を考慮してほしい
平成24年の10月から11月に行われた「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準案に関する意見の募集」では、「建築物内における運用時のエネルギー消費量ではなく、その建築物について、製造・運搬・燃料確保の段階および廃棄物の処理の段階までトータルでのエネルギー消費量を評価すべきではないか」という意見に対して、「ご指摘のとおり、住宅・建築物のライフサイクルを通じたエネルギー消費量やCO2排出量の削減は重要な課題と認識しております。今後のデータや知見の蓄積を踏まえ、将来的に検討を進めていくべき課題であると考えております」とご回答をいただきました。 しかし、今回の骨子案を拝見する限りでは1(1)(検討趣旨)に「ライフサイクルを通じた」という文言があるものの、具体的には製造・運搬・燃料確保の段階および廃棄物の処理の段階までトータルでのエネルギー消費量は、反映されていないようです。住宅・建築物のライフサイクルを通じたエネルギー消費量やCO2排出量を考慮した検討を進めていただきたいと思います。地域特性に合わせ、温暖地は外皮性能でなく、日射熱取得率のみの基準に
「建築物の省エネルギー性能を確保する際には、新築時に外皮・設備等に関し必要な対応を講じることが効果的・効率的である」ことは理解できます。しかし、新築時に外皮・設備等に関し基準を設けることが効果的・効率的であるという理由で、個人の暮らし方を限定し、外皮・設備費増大分の負担を強いるばかりが省エネルギーに繋がる道ではありません。義務化の際には、一律の基準ではなく、建築主の特性に合ったあらゆる選択肢をお願いいたします。 私は温暖な地域(区分6)に住んでいますが、この基準は都市部や寒冷な地域を標準として定められていると感じます。温暖な地方の農村部では、新築でも広縁や大きな掃出し窓で「内と外が緩やかに繋がる」要素を積極的に取り入れ、地域のコミュニケーション作りに一役買っています。こういった「和の住まい」が建てられなくなる事を危惧します。温暖な地域(6、7、8)では、断熱性能を上げるために窓を小さくすると、大きく開け放した窓からの通風が望めなくなり、夏はエアコンで涼を取ることになるでしょう。それは即ちエネルギー消費増大に繋がり本末転倒です。地域特性に合わせて、温暖な地域では日射熱取得率のみの基準にしていただきたいと思います。杉原 敬 大工のマイケル(宮城県)
住宅の快適な温熱環境は、室内気温だけでなく、輻射や蓄熱、通風に負うところも大きい。
平成25年省エネ基準では「暖房時の室温20℃」を条件としているが、輻射系・蓄熱系暖房では室温が20℃までいかなくても(16℃ぐらいでも)、身体があたったり、接していたりする面があたたまっていれば、十分にあたたかいと感じている。床暖房でも「頭寒足熱」床上15センチぐらいがあたたまっていれば温熱感としては満足が得られるので、地上1.5mの室温を20℃にあげるまでの必要はない。このように、どのような暖房方法を採用するかで、温熱感は異なるので「暖房時に室温20℃」は必ずしも省エネのための必要条件とはいえない。それよりも低い室温で満足感が得られ、それ以上にエネルギーを消費しないのであれば、省エネという目的は達成されるはずである。推奨法であればともかく、この基準を義務化していく方向であれば、家のつくりと暖房方法と住んでいる人の温熱感との相関関係を、より実態に即した形で調査するべきである。 夏の生活のしかたには「窓をあけて、通風を確保し、扇風機をまわす(外界をうまく室内にとりこむ)」方法もあれば、「窓を閉めて、エアコンを効率的に運転する(外界と室内を遮断して、内部を機械空調する)」方法もある。どちらを採用するかは、立地条件、住まい手の暮らし方などによるものであり、住まい手が自由に選択してよいはず。日本の温暖地では、むしろ前者の暮らし方の方が主流である。冷房エネルギー消費量でいえば、間歇利用する扇風機は、エアコンよりさらにエネルギー消費量は少なく、環境省の「家庭エコ診断」でも推奨されている。省エネ基準でも仕組みを加えるべきだ。バイオマスエネルギーの評価を
この骨子案の「はじめに」にも書かれている化石資源から再生可能エネルギーへのシフト、CO2削減という文脈から、太陽光発電を採用する場合、一次消費エネルギー量の計算における設計一次消費エネルギー量から、発電量相当分を控除することが認められている。暖房における薪利用も、同様の主旨である評価を与えられてしかるべきであろう。暖房への薪利用は、太陽光による発電とは違って直接的にエネルギーを生み出すものではないが、せめて、薪ストーブ利用について、エネルギー消費量を「0」とカウントしてよいのではないか。川端 眞 川端建築計画(滋賀県)
都市部や地方の開発地限定の規制に
建築物で消費されるエネルギー量の増大が喫緊の課題であると、らしい文言が書かれていますが、エネルギー使用の合理化を本気で考えるのであれば、まず、自動車の生産制限など、大量生産・大量消費から脱却する政策が第一です。また、建築物を規制するのであれば、集積度の高い都心部のみの規制で充分効果があると思います。ディーゼル規制と同じく、都市部のみ、地方であっても開発地に限るなど、効果的な規制のかけかたが大切です。何百年に亘って続いてきた安定した地域の暮らしを、薄っぺらで画一的な規制で壊してしまっていいわけがありません。省エネは使用者の意識に負うところが大きい。外皮性能を上げても省エネには結びつかない
骨子案ではやたらと外皮の性能確保を重要視しています。しかし、一般的な建築物の使い方では床面積に占める居住室(空調を行う室)の割合は大きくありません。また、エネルギーの消費量のうち空調の占める割合も大きくありません。つまり、建築物にかかるエネルギー消費量は使用者の意識に負うところが大きく、外皮性能を上げることと省エネは直接結び付くことはありません。 基準適合義務化のあり方において、建築物の用途(住宅・非住宅)と書かれていますが、住宅のなかでも、持ち家と借家の違いは重要です。建築が住まい手の想いや建築家の自由な発想で造れなくなることは、建築文化の衰退に繋がり、絶対に避けなければなりません。断熱性能は、義務化ではなく、性能表示制度でよい
基準に適合させる時期は新築時が望ましいとありますが、建築物の長寿命化の方法としてスケルトンインフィルといった概念が浸透しています。やはり断熱性能は一律に規制するものではなく、供給側がきちんと説明するといった性能表示制度とすべきだと思います。山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)
住宅建築においては、外皮性能をあげることがエネルギー使用量の削減につながらない。別の評価軸の検討を!
以下、「業務家庭部門」のうち、「家庭部門」=住宅建築について言及。 住宅建築におけるエネルギーの増大、は主に家電製品の量的増加(一人一台)や単身世帯の増加によるところが大きい。実は単位あたりの暖房エネルギーの増加はそれほど大きくはない。よって、規制の検討のプロセスとしては、建物の外皮のみならず、社会的背景を俯瞰した上で、建物ハードの物理的性能のみに省エネの役割を担わせるのは順序が適当ではないと考える。 今回の規制は「外皮性能」+「一次消費エネルギー」の二本立てを検討されているが、外皮性能は主に暖冷房エネルギーの規制にかかわってくる。 暖冷房エネルギーを低減させる、という趣旨には賛成だが、外皮性能だけにその役割を担わせていることには疑問がある。全国の使用エネルギーのうち、住宅部門の暖房エネルギーの割合は5%程度であろう。外皮性能をあげることでその効果(恐らく1、2%程度)を考えるとき、メリット(暖房エネルギー削減)とデメリット(建築コストアップの住まい手負担増、単純な規制による建築文化破壊など)のバランスを丁寧に検討するべきである。省エネはしないよりしたほうがよいのは当たり前だが、大きなメリットが見込めない以上は、その他の価値を大事にするのは当たり前である。 業務用建築は、室内気候をある一定の温度湿度に管理する性格をもっているので、建物の性能として「外皮」や「設備」が重要になってくる。一方で、住宅建築については、外皮の性能も大事だが、その他の評価項目が多々ある。外皮性能だけで単純に基準がつくられてしまうと、多様な価値をもつ住宅建築が破壊されかねない。諸々のバランスのなかで、ある程度外皮性能も大事にしながら、その他の評価軸も丁寧に時間をかけて検討していただきたい。 評価の検討には住宅建築の現場と実際を知らない「学識経験者」だけではなく、「実務者」を中心とした検討をお願いしたい。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
自然と呼応した日本の住まい方を望む人は、屋外と屋内を隔てる全館冷暖房は選択しない
日本列島はアジアモンスーン地域の一部であり、本州を中心としたその多くは温暖湿潤気候に分類されていますが、このような環境における暮らし方として、断熱性の高い外皮や高性能な設備が備わっていなくとも、これまで間取り上の知恵や仕様上の知恵により克服してきました。夏場の開放的な暮らしと冬場のこじんまりとした暮らし方は、屋外との繋がりを保ちながらも上手く自然環境や近隣環境と適切な距離感を持って暮らしてきた未来へ引き継ぐべき大切な知恵であると考えております。今回の省エネルギー法の基準に関しては、このような日本型の暮らし方を継続出来る様に配慮頂けます様お願いいたします。 具体的には、縁側やサンルームなど主たる居室の外側に配置される空間に関しては、日射を直接得る事が必要であり、全面的に窓が配置される事が通例です。これにより庭木の葉音や鳥のさえずりまでも屋内に取り込み、夏や冬においても、緩衝帯として屋外と近しき関係を持つことが出来ます。また、納戸や収納に関しては、屋外とのバッファーゾーンとして配置したり、敢えて屋外的環境に配置したい事もあります。 このように自然と呼応した日本型の住まい方を望む方にとっては、屋外と屋内を隔ててしまう恐れのある、全館冷暖房は選択肢には入らず、部分間欠暖房や空調機器を用いない採暖採涼型の家が必要となってまいります。エアコンは設けず、扇風機や可搬型の暖房機器、こたつなどが主要な冷暖房機器になってまいります。断熱材でくるむ考え方の家がある一方で、同じ省エネルギーを目指す方法として、四季に呼応し感性を育む事も大切にした日本型住まいの基準づくりも併せてお願いいたします。丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)
寒冷地か温暖地か、都市部か地方か。地域性に合った基準を
「新築時に外皮・設備等に効果的な対策を講じる」とあるが、寒冷地域から温暖地域まで、地域の気候特性と実状に沿ったきめ細かい基準の作成をお願いします。寒冷地では外皮性能を上げた全館冷暖房が是であっても、温暖地ではむしろ採涼採暖を進めるべきです。窓を締めきって機械制御する東京都市部とは大きく違って、通風や陽射しを取り入れたり遮断することでしのぐ地方の生活の実状に沿った家づくりも十分に評価されなくてはいけません。改正省エネ法で「和の住まいのすすめ」はどうなる?
諸省庁が合同で出された「和の住まいのすすめ」は記憶に新しいところですが、「日本の町並み」や「日本人の暮らし」「暮らしの文化」がこの改正省エネ法によってどのように変わってしまうのかどうか。そのことも十分視野に入れた基準作成を望みます。LCAサイクル評価を
「新築時に外皮・設備に関し・・・」とありますが、もっと幅広く、製造から使用、廃棄までを総合的に評価する観点も重要だと思います。木や土、竹などの身近に有る自然素材を、地元の職人で造る家づくりは、製造時のエネルギーも低く、廃棄時の環境負荷も低いことは明らかです。いわゆる「LCAサイクル」と同じような評価軸の導入も必要だと考えます。寺川 千佳子 一級建築士事務所 恒河舎(愛知県)
外皮・設備の向上以上に、解体、処分の際の地球への負担を考慮すべき
新築時に外皮・設備等に関し必要な対応を講じることが効果的、効率的である。 と記載があるが、それ以上に、解体、処分の際の地球への負担を考慮すべきと考えます。自然戻る材料での断熱材を推進すべきです。長谷川 順一 住まい空間研究所(新潟県)
全館暖房を前提とした外皮性能だけによる省エネ基準は、かえって省エネに逆行する状況も生み出す
生活上の工夫、通風のよい住まいづくり、パッシブ・クーリングなど、様々な選択肢を柔軟に使うなかで、エネルギー消費総量をおさえるように方向付けにはできないものか。全館暖房を前提としたような外皮性能を求めることで、独り暮らしの場合など却って省エネに逆行する状況を生み出すことにならないか? 省エネのために義務化するコア部分と、ある程度依頼主のライフスタイルを踏まえ、施工者の選択に委ねて努力指標にとどめる周辺部分とを設けることで、より実効性の高い省エネ策が実現できるのではないだろうかと思案する。給湯や家電を含んだエネルギー消費量を根拠に建物の外皮性能をあげるべきとするのは、乱暴な論理
骨子参考資料1の4ページ、住宅・非住宅に係るエネルギー消費量で住宅・非住宅部門+33、7%(住宅+23、7%、非住宅+41、9%)1990/2012とあるが、これを論拠にして建物の外皮性能を上げればよしとするのは、いささか乱暴なロジックではあるまいか。 冷暖温熱設備機器に関連したものと、そうでないもの(とくに給湯、その他家電)の峻別をしたグラフなくして、外皮性能の義務化を訴えたとしても、識者ならずともその脆弱な論拠を看破してしまうであろう。外皮・設備等によらない 通風採光による温熱対応もある
「新築時に外皮・設備等に関し必要な対応を講じることが効果的・効率的である」とあるが、これまでの事例をみるに、建築当初から全ての冷暖房設備を装備することは、コスト負担上からも現実的ではない場合が多い。法規制や義務化によるばかりではなく、通風採光に考慮しつつ設計し現場を納めることを常に心がける建築関係者の五感と想像力を萎えさせないための配慮も必要であると考える。夏の暑熱対策が優先する南西日本にも外皮性能を求める?
本骨子では詳述されていないが、南西日本などとくに夏の暑熱対策が求められる中で、外皮性能に重きを置いた結果、窓を小さくしたり、バッファゾーンとしての縁側を設けた場合、UA値において不利になることも、不可解かつ不可思議な状況であると言わざるを得ない。長谷川 順一 住まい空間研究所(新潟県)
住宅の外皮性能については、義務化ではなく指標でとどめるべき
省エネを実現させるためには、建物の断熱化はひとつの方法であって、生活の仕方などにより様々な方法を認めるべきであろう。 省エネルギーを目指すことは是としつつ、外皮や断熱性能に頼らない方法を、耐久性、耐用性、伝統文化、意匠性、LCA分析を加えつつ比較検討すべきである。局所暖房を指向する所有者、住まい手の選択肢を奪うべきではない。本骨子のままで進めば、建物の取得コスト、ランニングコストの上昇につながり、いわゆる「飴の銭より笹の銭」的な事態を招来させる重大懸念がある。 外皮性能・シェル機能を重視する帰結として、空調機によって室内空気質を管理する期間が長期化することとなり、その結果ぜんそくなどのアレルギー疾患患者や化学物質過敏症の患者を増やす懸念がありうることも付加し、検討課題とすべきであろう。 もとより、住宅の外皮性能については、義務化ではなく指標でとどめるべきとの声は依然として強いことも、具体的検討の中で引き続き思慮いただきたいところではある。田口 太 土壁の家工房(熊本県)
省エネの方法を選択できる基準を
住宅の快適な温熱環境は、外皮・設備等に頼る室内気温によらない、ほかの選択肢によってつくる方法もあります。省エネ基準適合の義務化ではなく省エネの観点から選択できる基準でなければならないと思います。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
バイオマス利用となる薪の暖房杞憂等器具を、積極的に評価してほしい
世界的に見ても森林比率の多い日本において、バイオマスエネルギーを利用する事はごく自然であると考えております。 今回の基準に関して、薪ストーブやペレットストーブ、薪ボイラーに関しては、暖房装置として位置づけられていない様ですが、是非ともそれぞれに消費エネルギーを算出され、選択出来る様になる事を願っております。 現在近場の山では、切り捨て伐採が行なわれ荒れております。成長に伴う備蓄量も年々増えております。有効に利用出来るものが山に存在し、それを使いたい人がいる。あとは基準が出来れば山の活性の一助になるものと考えられます。バイオマスは太陽光発電の様に直接的にエネルギーを発生させる訳ではありませんが、間接的に多くの関連業種のを活性化させ、CO2を吸収しながら成長を続けることも評価していただき、持続可能なエネルギー源としての活路を見出していただければと考えております。特に放射暖房系の薪ストーブなどはほどほどの外皮性能でも快適に使用出来るため、エアコンなどの空気暖房が不得意な方でも採用が可能で、低い室温で快適に暮らされています。杉岡 世邦 杉岡製材(福岡県)
省エネ基準の義務化は憲法違反
憲法第13条 幸福追求権を侵害している。一定の外皮性能を保ってないと認定された家が、公共の福祉に反しているのか。 憲法第19条 精神的自由権を侵害している。住まいは、思想の表れである。理論上の数値によって、自分の思想を現実化した住まいを事実上禁止されることは許されない。 生命の危険などを冒す要素でもない外皮性能が、なぜ義務化となるのか。まったく理解できない。強く抗議します。日高 保 きらくなたてものや(神奈川県)
暖冷房を手厚くすると、温度変化に対応でいる身体能力が低下するのでは?
日本建築家協会(JIA)が建築の外皮性能とエネルギー消費量の相関関係の調査を行い、その調査に関わらせていただきましたが、外皮性能とエネルギー消費量が比例的な関係にあるとはいえず、むしろ住まい手の過去の生活履歴や暮らしの哲学にかなり影響されると私は推測します。 確かに外皮性能を上げれば、一時的に現在よりも消費エネルギーが低減する傾向にあると思うのですが、しばらくして外皮性能の高い居住環境に慣れてしまえば、再びエネルギー消費量は増え始め、あるいは私たちの温度変化に対する適応力がますます劣っていくのではないかという懸念を抱いています。 事実、数十年前までは夏季にエアコンがないのは当たり前でしたが、現在ではなくては暮らしていけないと考えている方が多いのではないでしょうか。またエアコンの普及率と熱中症による死亡者数の相関関係を調べてみると、ここ数十年の間、逆比例関係にあるどころか、比例関係にあります。袋田 琢巳 FUKURODA工舎(神奈川県)
画一的な省エネ基準をあてはめるのは無理がある
日本は地域によって気候差も大きく、その土地土地による風土や暮らし方も様々ですので画一的な規格に当てはめようとするのは無理があると思います。 ・省エネルギーが空調設備の効率を上げることのみを目的に議論され、それにより住宅のあり方を変えるのには反対です。自然の力を借りながら、風土に合った家造りをする事が一番の省エネルギーになると思います。 ・共働き世帯の増加で在宅時間の減少もあり、一戸建て住宅における省エネルギー効果を望むよりも大規模施設での省エネ効果を狙った方が効率がいいのではないか? ・家の建て替えサイクルが短くなっている中、建て替えによるエネルギーコストや資源の無駄使いが省エネルギーにはつながらないのでは? また、いわゆる高気密住宅ではアレルギー等の健康障害などとのつながりも否定できず、住宅のあり方が「省エネルギー」という観点のみで変えられてしまう事に強い不安を感じます。健康や環境、建築など、もっと幅広い分野でのさらなる議論・検討を求めます。江口 合資会社 江口材木店(愛知県)
温熱環境調整手法の多様性を
多様な部分冷暖房、採暖、採涼の方法を望みます。加藤由里子 かとう建築事務所(愛知県)
日本人の自然を受け入れて生きてきた日本人の暮らし、地域性を考慮した法を
日本の風土、環境があってこそ体と精神、心が養われ日本人としての特質が出来ているといわれます。夏の蒸し暑さ、冬の寒さ、四季折々の変化に対応する為に能力(体の機能も含め)、知恵がうまれます。それに加え南北に細長い地形だからこそ、その地域の条件にあった建物が造られてきました。そしてこの様な多様な条件下においては気候がシンプルなヨーロッパ等のように自然を単純に読み取り、自然を克服する事が困難な為に自然を受け入れ、いかしながら知恵を使った生活をし、住空間を造り、体を変化に対応させる能力を付けてきたとおもいます。 その様な日本の住宅に全国一律、単純なエアコンで空調管理、気密化発想での家つくりは省エネにもならない上、体は室内でのエアコン依存を助長し、室外での対応能力を失います。もちろん、快適性を否定をするつもりも有りませんが、汗をかくこと、窓を開け放つ、扇風機、エアコンを使う事は個々人の体が選ぶ事です。もう単純に温度だけの快適性を求める時代ではありません、自分の体と相談しながら折り合いを付けて行く時代と思います。家は一生ものです、これからの暮らし方を考えた上での融通が効き、地域性を考慮に入れた法が必要です。増田 拓史 muku建築舎(三重県)
すべての地域の新築住宅に欧米並みのUA値基準をあてはめることは疑問
「家庭における用途別世帯あたりエネルギー消費量の欧米諸国との比較」(出所:住環境計画研究所)の資料をみると、日本は欧米諸国と比べて、エネルギー消費量、特に暖房のエネルギー消費量が、既に低いことがわかります。これは、日本が日本が低緯度地域にあって、高緯度地域にある欧米諸国とは、気候条件が大きく違っていることを示しています。 また、「地域別用途別エネルギー消費原単位」(出所:家庭用エネルギー統計年報2012年版、住環境計画研究所)の資料では、全国の中では、北海道・東北・北陸の暖房エネルギーが突出して高く、国内においても、気候条件の違いが大きい事を示しています。 日本の国土は南北に長く、その土地に適した建築方法がその土地の風景を形作り、日本の文化を育て、それがある意味では、国内観光の対象にもなってきました。日本の気候風土を考えると、得られる省エネの効果と、日本の生活習慣・文化に与える大きな影響を考えて、バランス良く省エネ基準を設定する事が必要と思われます。日本のすべての地域の新築住宅に、欧米並みのUA値基準を当てはめる事は、その点から、疑問を生じるものです。現在の数値基準を、改めて見直し、更にバランスの良い基準に改善していくことが必要と思われます。池山 琢馬 一峯建築(三重県)
性能表示の義務化なら分かるが、基準そのものを義務化するのは憲法違反である
人の住まいというものは、住まい手が、心地よいと感ずれば、それが一番よい。あるいは、もし行き届かない場合であっても、初期投資が難しかったりして、それでもその中で精一杯自分が住む家を作るわけであって、法的に「こういう条件の家に住みなさい」と定めることは、基本的人権の侵害そのものであって、憲法に確実に違反すると考えます。 性能表示の義務化というのであれば、意味はまだ理解できます。 どうぞ、人間が人間らしく、自分で自分の住まい方くらい考えられる脳みそを維持できるよう、はやまった法制化をしないでいただきたい。大都会の経済社会の論理を、田舎の片隅の「庶民の住まい」まで適合させるような驕りはやめていただきたい。 もう一度、繰り返します。強制的な規制は、憲法違反です。大江 忍 ナチュラルパートナーズ(愛知県)
温暖地では部分間欠暖冷房や採暖・採涼の住宅を基準にすべき
温暖地においては、部分間欠暖冷房の住宅や採暖・採涼の住宅を基準にすべきである。空調機によって、室内の温度を管理することは、空気質に対するぜんそくなどのアレルギー患者や化学物質過敏症の患者にとっては、全部屋を汚染しかねない、とんでもないことであり、住まいを原因とする病を助長しかねないので、個人の判断として、部分的な採暖・採涼を個人にあった仕方でできるようにすべきである。「和の住まい」の外皮性能は旧省エネ基準を満たせば十分
現在、国が提唱する「和の住まい」においては、今回の省エネ基準を満たすことは、難しく、本来の日本が培ってきた、木造建築技術だけでなく住まい方まで変更せざるを得ないことになるので、外皮性能は、旧省エネ基準を満たせば十分である。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(1)建築物及び省エネ基準の特性に応じた規制的手法のあり方[特例的扱いの対象]
・文化財を再現する建築物等、省エネルギー化が困難な構造方法・建築材料を使用せざるを得ない建築物、災害時の応急対応や工事施工のために建築される仮設建築物等存続期間が短い建築物、屋外駐車場、畜舎等屋内的環境を維持する必要がなく空調設備等によるエネルギー消費量が極めて少ない建築物等に関しては、基準適合を整備の際に求めた場合、規制を課す目的・手段と政策効果・規制の合理性との間のバランスを欠くおそれがあるため、特例的な扱いを検討する。
04【特例的扱いの対象】について
和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)
真壁造は、断熱材を入れないことを「敢えて選択」している
「省エネルギー化が困難な構造方法・建築材料を使用せざるを得ない建築物」として想定されている建築物に、真壁造も含まれますか。真壁造りの多くは「使用せざるを得ない」のではなく、意匠や暮らし方の希望を考えて「敢えて選択」します。住宅は性能や効率だけを満足すればよいというものではなく、意匠、使い勝手、住み心地、構造等あらゆる面からの総合的な判断に基づき設計します。高気密高断熱を是とした基準の省エネルギー化を果たすために、その他の面が果たせない残念な家しか建てられないという事態を招かぬよう、ご配慮をお願いいたします。寺川 千佳子 一級建築士事務所 恒河舎(愛知県)
文化財だけでなく、今、建てられている伝統木造建築も特例に
木造建築の魅力を作り出す、土壁、木製建具、障子、コタツ等が今回のエネルギー使用量計算の中では評価が低くなり、木造建築を建てられなくなることを懸念しています。文化財的な建築だけでなく、今まで造り続けられている木造建築も「特例的な扱いを検討する」対象に入れて頂けることを、大いに期待しています。古川 保 古川設計室(熊本県)
庫裡やアイススケートリンクまで規制対象になっているのはおかしい
省エネルギー化が困難な建築について特殊扱いにすべきだということだということだが、既に省エネ法の対象建築物に寺の庫裡やアイススケートリンクが入っている。全館暖冷房の庫裡があるかもしれないが、ほとんどは採暖である。かもしれないと網をかけるのは過剰で費用対効果は全くない。寺の庫裡は規制対象から外すべきだ。高橋 昌巳 シティ環境建築設計(東京都)
線引きするなら建物の規模で。特例的扱いの対象での線引きは不可能
講ずべき施策の方向の一つとして、特例的扱いの対象を検討するとあるが、明確な線引きとおそらく不可能であり、文化財・仮設建物・畜舎・倉庫・屋外車庫等の用途で分類するのではなく、一定規模以下は一律適用外とする施策の方が無理がない。将来に文化財となる価値のある建物 いずれ本設扱いとなる仮設住居 空調設備を設けた畜舎等、その取扱いについてそもそも判断ができない場合が多いことが予想される。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(1)建築物及び省エネ基準の特性に応じた規制的手法のあり方[伝統的構法の扱い]
・地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物など、地域として継承・保全する必要性が高いと認められる建築物の継承を可能とする仕組みについても検討する必要がある。
05 【伝統的構法の扱い】 について
畔上 順平 けやき建築設計・欅組(埼玉県)
基準義務づけで日本建築を絶滅させてはならない
未だ劣悪な性能の建売住宅等の販売が横行し、何も知らない消費者が犠牲になっている状況の中で、省エネルギー化を一定の基準で進めていくことは、全体の底上げになることは間違いないことであるが、その基準を義務付けすることで日本建築を限りなく絶滅危惧種に指定することがあってはならない。土壁に断熱は特殊解に過ぎない
軸組に「木」壁に「土」という要素が複合して初めて伝統的な建築物が成立する。土は耐力要素でもあるため、断熱材にすり替える事は決して出来ない。壁には十分な土壁がありきである。もちろん付加断熱として外壁面に断熱材を入れる事は技術的には可能であるし、数値を満足させることもやる気になれば出来る。ただ、それには驚くほどの予算や時間をさくことでもあり、特殊中の特殊解であることを認識する必要があるし、これまでの日本建築とは明らかに違うものである。これまで1000年以上つくる事が出来たものが2020年につくれなくなる事は、日本の住宅史の汚点と考えていただきたい。和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)
外皮性能に頼らずとも省エネルギー化が可能な「和の住まい」は、高断熱・高気密を是とする基準での外皮性能は問わないでいただきたい
国土交通省が「和の住まいの推進」で提唱されているように「和の住まいや住文化の良さの再認識、伝統技能の継承と育成、伝統産業の振興・活性化等を図っていくことがますます重要」だと思います。もう一方で、建築物における省エネルギー化も重要な課題だと思いますが、この項の「伝統的構法の継承を可能とする仕組みを検討する必要がある」というのは、大いに賛成です。 平成 25 年経済産業省・国土交通省告示第1号「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」第2,1-2(3)では、真壁(土壁)の住宅も想定されていると思いますが、「所管行政庁が適切と認めた場合」に限られるので、各行政庁への適切なご指導をお願いいたします。 和の住まいや伝統的構法は、通風を重視し、深い庇、縁側、障子といった古くから日本で用いられてきた省エネルギーに貢献する要素が多くあります。そういう住宅の住まい手の多くは、化石燃料や建材、機械設備に頼らない省エネルギーな暮らしを希望するが故に伝統的構法を選択するのではないでしょうか。調査をしていただければ、伝統的構法には不向きな「全館冷暖房」より「必要箇所のみの局所冷暖房」や「採暖・採涼」を行っている実態が多く見られると思います。生産時消費エネルギーや廃棄時消費エネルギーについても、高断熱・高気密を実現するための建材を多用する住宅と比較すれば、格段に少ないはずです。 ただ単に「地域の気候及び風土に応じた住まいづくり」であるので外皮性能を問わないだけではなく、「外皮性能に頼らずとも省エネルギー化が可能」であるため、「高断熱・高気密を是とする基準での外皮性能は問わない」という道筋も作っていただきたいと願います。義務化のあり方検討、解説書等、所管行政庁への指導にあたっては、実務者の意見を反映してほしい
平成24年の10月から11月に行われた「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準案に関する意見の募集」では、「伝統的木造住宅の省エネ基準の義務化のあり方については実務者の意見も聞いて検討を進めるべき」という意見に対し、「ご指摘も踏まえ、実務者の方々の意見も伺いながら、伝統的木造住宅の省エネ基準の義務化のあり方について検討を進めていく予定です」とご回答をいただきました。 また「土壁住宅などの伝統的木造住宅においては、断熱材を入れることが難しいため、外皮基準を除外する項目を明示すべきではないか」という意見に対し「『地域の気候及び風土に応じた住まい』には、土壁住宅などの伝統的木造住宅が含まれるものと考えており、解説書等において、その旨を明示していく予定です」とご回答をいただきました。実際、平成25年経済産業省・国土交通省告示第1号「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」第2,1-2(3)に、「所管行政庁が地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切と認めた場合」は外壁、窓等に関しての除外規定が設けられています。 義務化のあり方検討、解説書等、所管行政庁への指導を、説得力と実効性があるものにするために、伝統的木造住宅の実践を行っている実務者の意見を反映できる仕組みを作って下さい。山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)
外皮性能で一律に評価すると、伝統的構法がもつ多様な価値はないがしろになる
住宅建築の伝統的構法は、温熱環境的に弱い部分は今後も知見を積み重ねて改良していく余地があると思われるが、どうしても外皮性能という一律的な評価だけだと、伝統的構法がもつ多様な価値がないがしろになる。検討には十分な時間と議論を重ねて欲しい。丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)
土壁ができなくなれば、日本の建築文化は滅びる
土壁は伝統木造に必須の要素です。外皮性能規定は「断熱材を入れる」ことを前提としています。断熱材の入らない土壁ができなくなる基準がすべてにかかるようになれば、日本の建築文化は滅びます。平成の時代に省エネのために日本の建築文化を絶やすことがあってはなりません。伝統工法に携わる実務者も入れた検討委員会を
「伝統構法の継承を可能とする仕組みについても検討する」と有りますが、そこには是非、伝統工法に携わる実務者も入れた検討委員会をつくって下さい。伝統工法には千年を超える実績が有りますが、しかし、まだ学術的に確立されていないなかで、官僚や一部の研究者だけで議論が尽くせるものではないと思われます。佐藤 恵子 佐藤建築企画設計(徳島県)
「伝統の知恵と工夫」を学ぶべき時代では?
化石エネルギーを使わなかった時代と化石エネルギー使用を減らそうという共通性の中で「伝統の知恵と工夫」を学ぶ時代ではないでしょうか。土壁の持つ、熱容量と湿気容量の大きさを利用した温熱環境のあり方(暖房方式を含む)や、そもそも身近にある材料で廃棄にもエネルギーが少ない構法、地震動に対しても有効な土壁に対し、より積極的な活用を考えるべきだと思います。伊藤 淳 スタジオA.I.A(三重県)
家に呼吸させるために断熱材を入れないのです
伝統的構法で建てる家では、家自体にも呼吸させることも構法の一部であり、断熱材を入れないことが一般です。断熱材は家自体吸放湿も妨げてしまい、家の寿命も縮みます。旧来の伝統的な家には断熱材はもちろん入っておりません。私はそういう造りの家を何軒も手がけておりますが、完成後に伺っても断熱材で囲われた家と暖房の仕方はなんらかわりません。「和の住まい」にある文言を守るための適用除外項目を
また関係諸庁により構成される「和の住まい推進関係省庁連絡会議」より出版された「和の住まいのすすめ」にある「日本の伝統的住まいには、地域の気候・風土・文化 に根ざした空間・意匠、構法・材料などの住まいづくりの知恵が、近年は伝統的な住まいづくりとともに、そこから生み出された暮らしの文化も失われつつあり、和の住まいや住文化の良さの再認識、伝統技能の継承と育成、伝統産業の振興・活性化等を図ることが重要となっている」とあるように、それを守っていくためにも、本法の適用の除外項目を設けてください。高橋 昌巳 シティ環境建築設計(東京都)
伝統的構法では外皮で包む工法は短命化につながる
伝統的構法の扱いを検討するとあるが、その構法的な特性ことが長寿命を支えてきたことを考えれば、外皮性能を向上させるために分厚い断熱材や土に還らない石油製品で建物全体を包むような工法は、建物の短命化につながり、国が進めてきたストックとしての住宅を増やすという施策と矛盾することになる多様性が伝統的な構法の特質。例外規定に収まるかの判定は困難だろう
例外規定にも盛り込まれた「地域として継承・保全する必要が高いと認められる建築物」についても、その判定は困難だと考える。なぜなら、多様性こそが伝統的な構法の一番の特質であり、定義づけも含め一定の枠内に収まる特性を備えた建物のみを例外扱いすることは、決してこの国の文化の発展に寄与しないひことは明白だからである。審査官の作業性や判断の容易性のみを優先してことを急いではならない。沖野 誠一 沖野建築(高知県)
高知県の建築様式である「土佐漆喰壁」が出来なくなるのでは?と危惧します
土壁の建築を行っている大工です。職人になって40年になりました。この規制が実施されれば土壁が出来くなる心配しています。内外真壁はできませんし、20mm30mmの断熱材では基準を満たしません。外断熱にすればと思われますが、高知県ではそれほど必用ないと思います。どの様な断熱を行うかは建築主さんの自由で良いのではと思います。魔法瓶の様な家には住みたく無いと言う方も多いので、そこまで国が規制しなくともよいのではないでしょうか。 日本の家屋はその地域の建築様式、伝統文化、風土との関係性を多少なりとも表現してきました。欧州と比べて伝統的建築物や職人文化に対して国は保護よりも高度成長支援を続けウサギ小屋と揶揄されるようになりましたが、家屋は完成された独自の文化であり、ウサギ小屋と呼ばれる工業規格品ではありません。 高知県の建築様式の特徴は暴風と強い日差しに強い土佐漆喰壁です。真壁仕様で竹を編んで下地に使います。日本の家屋は土と木で出来ているといっても過言ではないです、土壁は断熱効果はあまり無いようですが、調湿、蓄熱には優れているのに化学製品で包んでしまえば素晴らしその効果が無くなってしまいます。 そうした技術を残し継承していこうと地元の若い大工が仕事を終えて集まり合い、遅くまで頑張って土壁の強度実験などを行って来ました。それが使えなくなるのは辛いですです。 このままでは日本の建築文化や技術を持った職人が無くなるのではと危惧します。どうかそのような事は止めて頂きたいです。また、どんな材料で建てたかも分からない化学物質を大量に使用した住宅が現代人の健康を脅かしています。無垢材なのか集成材なのか区別がつかない。生まれた時から高気密高断熱の家に住み続ける環境は将来どんな影響を与えるのか。こんなことも検証すべきだと思います。 エネルギーの消費の削減は必要だと思いますが、家電とか他にも見直すべきものが有る様に思われます。この意見の提出期間も、年末、年始のこのような時期に短期間では何か作為を感じます。期間の延長をお願いします。ぜひとも、十分な時間をかけて検討してください。宇野 勇治 宇野総合計画事務所(愛知県)
[伝統的構法の扱い]の文言が抽象的。より踏み込んだ実施性のある表現を!
「地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物など、地域として継承・保全する必要性が高いと認められる建築物の継承を可能とする仕組みについても検討する必要がある」との記述について述べさせていだいきます。 我が国の住文化、建築技術を継承する上で重要な要素であり、多くの人が賛同できる文章です。しかしながら、「地域の気候風土」、「伝統的構法」、「地域として継承・保全する必要性か?高いと認められる建築物」など、とても抽象的な用語が用いられており、定義不能なために具体化が困難となる恐れがあります。これまでにも、様々な協議の場で、これらの定義づけをめぐって堂々巡りを繰り返してきました。すでに行われてきた検討材料を踏まえ、具体的な表現としてくださるようお願いします。 [伝統的構法の扱い]の文言で、実施を担保すべきではないかと考えます。「・・・建築物の継承を可能とする仕組みについても検討する必要か?ある。」ではなく、「・・・建築物の継承を可能とする仕組みを整備する必要か?ある。」と、修正をいただきたい。 原案は抽象的であることから、「我が国の建築技法、建築要素を継承しやすい評価方法を整備し、必要に応じて緩和措置を講ずる」など、踏み込んだ記述としていただきたい。寺川 千佳子 一級建築士事務所 恒河舎(愛知県)
住みたい家に住む自由を守ってほしい
地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物など、地域として継承・保全する必要性が高いと認められる建築物の継承を可能とする仕組みについても検討する必要がある・・・と書いてあるが、継承保全する価値があるかどうかの判断は誰がするのだろうか?住みたい家に住む権利を国は守るべきです。住みたい家に住む自由を守ってほしい
「はじめに」の欄に書いてあるように、省エネルギー社会の実現と、再生可能エネルギーの導入の加速化、分散型エネルギーシステムの推進拡大は、エネルギーの安定的供給構造の確立の際に、二酸化炭素以上に危険な放射能放出の危険性がある原発を廃棄する為に、大変重要なことだと思います。 そもそもの省エネルギーの目的は二酸化炭素の削減の筈ですので、暮らしの中で暖房に使う電気を削減する事だけを目標にせず、長い目で二酸化炭素の発生を減少させる為に何が出来るかをも考えることも大切だと考えます。その為には、建物の寿命を長くして、焼却処分量を減少させることは、非常に効果があると考えます。プレハブ住宅が壊される平均寿命に比べると、伝統的木造建築の寿命はとても長いので、その点一つだけとっても、地球環境に寄与していると言えます。長谷川 順一 住まい空間研究所(新潟県)
左官の土壁技術をしっかり評価してほしい!
伝統的構法のなかでも左官(土壁)技術に関しては、文化財のみならず、西日本から東日本南部を中心に今も普及しているなかで、しっかり評価しなくてはなりません。 土壁は湿度調整を通じて温度調整をする、大容量のバッファー(動力を使用しない自然エネルギー機能)でもあります。つまり調湿機能、蓄熱(温度を一定に保つ)機能やまた湿気を放出するときに気化熱を奪うことで、冷涼感をもたらす(冷輻射)機能のほか、ライフサイクル・コスト(LCC)に優れた素材でもあるのです。 また左官職人の育成も技術の継承は、伝統的構法による建造物と同等に日本の受け継いできた大切な文化そのものでもある。伝統的な文化財未満の住宅においてその工法を否定することがあるとするなら、それは日本の伝統住文化の否定につながります。 夏を旨とすべしとして、躯体をすっぽり覆うことなく建物永く持たせ、躯体の生物劣化など健康状況をも容易に目視できる、両面真壁の呼吸する建物をどう評価して、次世代に継承していくかを、伝統建築実務者、文化財保全技術者を交えて具体的に詰めていく必要性を強く感じます。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
伝統的構法について議論することを、工程表に明記してほしい
伝統的構法は我が国の歴史を語る上できわめて重要です。未来に受け継いで行く必要があり、取り扱いにあたっては充分な議論が必要であると考えております。そのためにも参考資料の工程表に掲載を希望いたします。 以前の工程表には、「伝統的住宅は専門的見地より、、、」という但し書きが記載されておりましたので、取り扱いが明確でしたが、工程表だけ一人歩きという事も考えられるため、混乱を防ぐためにも是非掲載をお願いいたします。省資源、低エネルぎーな伝統的構法が建てやすい基準に!
伝統木造にはその本質として、省資源、低エネルギーで造り、暮らせる為の工夫が内在されています。日射や通風の利用、素材の肌触りや調湿機能を利用し気温や湿度の変化に対応することなど、設備に頼らずとも一定の快適さをもたらしたい人になじみよい性能を持っています。 自然環境の変化を感じながら、夏は広がりを持って開放的に暮らし、冬はこじんまりと暮らす為の仕掛けや知恵は未来へ引き継ぐ大切な要素です。また、長寿命型の建物である事により町並みを中心とした文化の形成に繋がる利点も併せ持っています。是非これからの建築として建て易い基準の整備をお願いいたします。 また、平成25年10月に和の住まい推進関係省庁連絡会議から発行された「和の住まいのすすめ」に掲載されている住まい方の装置や知恵は、省エネルギー型の住宅を考える上で我が国にとってきわめて重要な要素であり、外皮や設備を重装備化する事とは別の視点で適切に評価するべき選択肢であると考えております。真壁が基本の伝統的構法と断熱との関係について情報提供
架構に下地の構造貫を組み合わせることで、木のめり込みを活かした変形性能の高い構造をつくり、貫の両面に土壁などをつけ真壁とする事によって、初期剛性を高めた構造です。壁はインセットで施工される事により、効率的に剪断要素として機能します。また、木と土などで構成された構造体は、表面が露出または壁内気流によって気乾状態を保つ事により、腐朽しにくい特徴を持ち、維持管理が容易な点も特徴の一つです。さらに、修繕や模様替えにおいてもゴミの発生は大変少なく、環境に対して優れた構法であり、居住者の健康維持にも有利な構法です。 尚、安全性を担保するため木造伝統構法に必要とされる主な構造要素は次の通りです。 ・架構:柱、足固め、梁などのフレーム要素 ・壁:土壁、板壁などの面要素 ・下地:構造貫(15~)24~30ミリ ・水平面:木組み そして、真壁の仕様としては次のものが考えられます。 <土塗り仕様> ・内外真壁 :構造貫及び無垢の土壁厚さ70~90ミリ(1.5倍の耐力壁としては最低70ミリ) ・内部のみ真壁 :内外真壁+保守を考慮した外部保護板 (外部保護板は、基本的に真壁を雨水から保護する為に用いられる。隙間通気はする) <木摺り仕様> ・内外真壁 :屋内木摺り漆喰など+構造貫+屋外木摺りモルタル漆喰塗り ・内部のみ真壁:内外真壁+保守を考慮した外部保護板 次に断熱の可能性について考えてみます。 土塗り仕様では、内外真壁は無断熱、内部のみ真壁は間柱間に15~30ミリ厚ほどの断熱材 木摺り仕様では、内外真壁は貫の厚み分24~30ミリ厚程の断熱材、内部のみ真壁は45ミリ程の断熱材(貫間に入れると45+24~30ミリ) また、外張り付加断熱により更なる断熱化は不可能ではないですが、内断熱、外張り断熱共にコストや耐久性重視など設計条件によっては選択出来ない場合があります。 このように伝統構法の木造には物理的に多少の断熱材設置は可能ですが、土壁は常に水分を蓄えておく性質を考慮する必要があり、伝統構法木造の特徴である、長耐久性、長耐用性、維持管理性能の低下を招く様な安易な断熱化は、本来の姿では無いと考えられます。「濡れても乾く」ということに重点を置いた無断熱を選択する事を含め、事例に応じた対応が必須であり、伝統構法木造の本質である環境負荷の少ないことを適切に評価し、省エネルギーの選択肢の一つとして伝統構法木造が位置づけされることが望ましいと考えています。宮本 繁雄 建築工房 悠山想(福岡県)
土壁に学ぶものは大きい
化石エネルギーを使わなかった時代と化石エネルギー使用を減らそうという共通性の中で「伝統の知恵と工夫」を学ぶ時代ではないでしょうか。土壁の持つ、熱容量と湿気容量の大きさを利用した温熱環境のあり方(暖房方式を含む)や、そもそも身近にある材料で廃棄にもエネルギーが少ない構法、地震動に対しても有効な土壁に対し、より積極的な活用を考えるべきだと思います。奥隅 俊男 千尋建築事務所(埼玉県)
日本の美しい建築や街並を継承できるように検討してほしい
日本の伝統的構法による建築や街並みはとても美しいものです。日本人である私たちが考えるだけでなく世界的に見ても貴重な文化的財産です。それゆえにこれらは将来にもわたって大切に継承していくべきものです。 今回の住宅・建築物の省エネルギー対策案は、伝統的構法に適用することが大変難しいことが予想されますので対象外とされなければならないと考えます。伝統的構法は過去の建築だけでなく今も継承されて新しく建築され続けています。この日本の素晴らしい文化・技術を絶やすことが無いように十分な検討をすることが本当に必要なことであると考えます。加藤由里子 かとう建築事務所(愛知県)
自然を受け入れるのか、シャットアウトするのか。どちらも選べる省エネ基準を
伝統工法は日本のモンスーン気候と多様な条件下において克服する事ができずに自然を活かしながら知恵を使ってまとめ上げられたもの。現在の省エネ法案は温度のみを対象とた断熱、高気密化によりいかに少ないエネルギーで室内空間の快適性を克服するかをめざしたもの。 この違いをどの様に取り扱っていただくか、自然を受け入れながら補足的に足す暖冷室内環境と自然をシャットアウトしての空調管理した室内環境、これは地域性でもあり、個人の選択と思いますので、選択の余地と双方の違いを踏まえた省エネ基準の有り方を考えて頂きたいとおもいます。増田 拓史 muku建築舎(三重県)
新築において何が「地域として継承すべき建築であるか」を考えるにあたっ多様性に留意してほしい
既存の建築物ではなく、新築の一般住宅が、「地域として継承・保全する必要性が高いと認められる建築物」であるかを判断するのは、非常に困難と考えられます。ある決まった形式を持っていれば伝統的と定義するのであれば、伝統はその縛りから逃れる事ができなくなり、同時に進化の機会を失い、衰退していきます。過去において、先人が工夫を凝らしてきた、その建築の多様性こそが、伝統と言えるのではないでしょうか。伝統的構法を継承する道を模索するのであれば、ライフサイクルエネルギーや温熱環境について更なる検討を重ね、建築の多様性を評価する方法を確立すべきと考えます。大江 忍 ナチュラルパートナーズ(愛知県)
現場でものづくりをする者の意見を聞くべき
伝統的構法の定義づけを明確化することも必要であり、地域特性を分析し、学者ではなく、また、国交省の下請けを専門に行っているコンサルタントのように実務を知らない民間業者ではなく、現場でものづくりをしている実績のある者を委員として意見を聞くべきである。土壁の住宅を配慮すべき
また、いわゆる在来工法の住宅においても、土壁を使用している場合が、地方では多く継承されているので、そういった構法の住宅においても同様に配慮すべきである。地域で育まれ、継承されてきた技術を損なってしまうようなことがないように検討すべきである。資料にあるような図面は、一般的な木造住宅の例ではなく、土壁を使用した大壁の例など、検討するディテールは多く存在することを認知すべきである。土という素材を断熱性だけで評価するのは片手落ち
そもそも、日本の伝統的建築は、木造というより、重量でいえば、土の家といっても過言ではなく、屋根、壁に多くの土が使用されてきています。断熱という一つの切り口で判断することで、土は断熱性能の評価が低くなりますが、防火や遮音、調湿、蓄熱性能、製造エネルギー負荷がないなど多くの特性を持った優れた材料です。この材料が評価されないことは、非常に残念なことであり、日本の文化を否定することにもなります。この世界に類のない総合的な木造建築技術を否定してしまうような法律をつくることでよいのでしょうか。工程表に「伝統構法」の文言の復活を
また、工程表から消えた「伝統的構法の扱い」を再度、明記すべきである。林 美樹 ストゥディオ・プラナ(東京都)
呼吸する木や土は、分厚い断熱材でくるむべきではない
伝統的木造住宅の設計に携わっていますが、その理由は環境負荷の小さい暮らしを実現したいからです。日本の伝統的木組み土壁の家は、構造材も土壁材も再利用することができ、その他の自然素材も土に還るものばかりです。現在の家作りでは基礎にコンンクリート、そして設備の面では産業廃棄物となる素材も使わざるを得ませんが、せめてそれ以外の部分はゴミにならないものにしたいと考えています。これはまさにLCAサイクルの考え方そのものです。 しかしこのような土壁のつくりでは、断熱材は入れられても柱が4寸の場合40、50ミリが限度です。今回、日本建築家協会環境行動ラボで伝統的構法の住宅の温熱調査をしたところ、H25省エネ基準をクリアできたのは22件中1件のみでした。しかも、それは土壁の外にダブルで断熱材をいれたものでした。住まい手の聞き取り調査からも、暖房時室温(16度〜18度)状態で十分過せていることも確認できています。木も土壁も呼吸する素材であり、これらを分厚い断熱材で包むのは、素材の特性を十分に活かすことが出来ません。特に透湿性のない石油化学系の断熱材で包むのはもってのほかです。伝統的構法への扱いではこれらの実態を十分に考慮して欲しいと思います。伝統木造の実務者を検討の場に参加させてほしい
委員会のメンバーの顔ぶれをみると、学者さんばかりで実務者が全く含まれていないようです。これで本当に実態にあった、あるいは住む人の実情にあった基準がつくれるのでしょうか?特に伝統的木造に関しては、実際にこれらの仕事に関わっている人を必ず検討する場に参加させて頂きたいと思います。伝統木造住宅における一次エネルギー消費量の実態調査を!
省エネの最終目的が一次エネルギー使用量の削減だとすれば、まずはその実態調査が必要でなないでしょうか?特に伝統的木造住宅の場合、外皮性能は劣っても、一次エネルギーはあまり使わずに暮らせればそれもありではないですか?現在の計算プログラムでは、デフォルトでエアコンが入ってしまう等、納得できない部分が多すぎます。「和の住まい」にある軒や縁側を評価してほしい
「和のすまい」にもあるように、日本家屋は元来「夏を旨とし」深い軒、縁側という外部と内部を曖昧につなげるバッファゾーンがありました。それによって、夏は内部に風を呼び込み、冬は小さく区切って採暖することで、少ないエネルギーの暮らしが成り立っていたとも言えます。今回の外皮性能と一次エネルギーによる省エネ基準義務化では、そのような家作りが出来なくなります。省エネ基準義務化による建築や暮らしの画一化は「日本文化の危機」
省エネ基準義務化によって、住宅のつくりも暮らしもかなり一律的なものになるのではないかと危惧しております。建築も暮らしも、私は日本の文化の一部であると考えます。それが「省エネ」という名の下に制限され、自由に選択できなくなるとすれば、これは「日本文化の危機」といっても過言ではありません。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連 (2)段階的な基準適合義務化のあり方 (検討趣旨) 基準適合義務化を具体的にどのように段階的に進めていくかについては、公共の福祉を実現するために財産権に対する必要かつ合理的な範囲内での制約となるよう、建築物の規模、用途(住宅・非住宅等)ごとの特性(エネルギー消費量、設計・施工等の供給体制、現に建築されている建物の品質)、実効性を担保するために執行側に求められる体制整備等を踏まえて検討する必要があり、効果・対応可能性等を踏まえて当初の義務化の対象及び仕組みを検討した上で、その後の義務化対象の拡大に向け講じておくべき対策についても検討しておく必要がある。
06 (2)段階的な基準適合義務化のあり方 について
山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)
住宅については、義務化でなく、性能表示で
住宅建築については、「義務化」ありきの議論はしないでほしい。誘導策としては、「性能表示」だけでよい。あとは市場と住まい手と社会価値観が判断する。増田 拓史 muku建築舎(三重県)
めざすのは省エネルギーであり、高気密・高断熱化そのものではないはず。早急な義務化には危惧を抱く
本案で目指すのは、あくまでも省エネルギーであり、高気密・高断熱化そのものではないはずです。外皮性能を高めることだけが、快適性に結びつくわけではありません。省エネルギーを実現する方法は多方面にわたっており、それらの全てにおいて充分な検討を重ねた段階ではない状態で、早急に義務化を行うことは、わが国の誇る日本建築の多様性を失う事につながると危惧しております。小規模建築物については、建築主の意思を尊重し、適用除外の手続きを可能にする道を残してくださるよう、お願いいたします。藤田 大 淡路工舎(兵庫県)
価値観の違い、多様性を無視した義務化をしてよいものか?
今回の骨子案について意見させていただきます。このような省エネに関する義務化と云うのは、一体誰が望んでいることなんでしょうか。そもそもこういう話があること自体知られていない方が多いと思われます。 家というものが何か。自分達が住みたい家を作る。それがこの義務化によって作れなくなる現実を国としてしてしまって善いのかを切に考えて欲しいです。例えば、化学製品によるアレルギー体質のある方にしても、この義務化によって、国から見放される事と同じだと思います。 昔ながらの家を望む方も、希にいるかと思います。実際に今でもいらっしゃいます。それが作れなくなるための義務化を国がする必要があるのかが疑問でしょうがないです。 日本という国は、諸外国からみても木の文化が素晴らしいと思われてると思います。でも、それはあくまでも全国各地にある、数々の素晴らしい木造建築であって、近代にみる日本の木の文化は、本当に粗悪なものだともおもいます。それも、戦後の復旧の為に建てられた建物、高度経済成長と一緒に建てられていった建物、工業製品に成り下がった建物、そのすべてが経済の為、国の為、政治家の献金の為に利用されていってるのだと思います。 一個人として、今現在でも人それぞれ物の価値観は違うと思います。一昔では当たり前だった事、現在に至ってはそれが当たり前では無くなっている。時代の流れだからしょうがないことだとしても、個性として考えてもらえるようなあたたかい国であってほしいです。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(2)段階的な基準適合義務化のあり方
1)当初義務化する際の対応関連[新築時の対応の確保]
・基準に適合せずに建築・使用開始された建築物を後から基準に適合するよう改修することはコストや物理上の制約が大きいことから、新築工事の段階を捉えて対応させることが費用負担や工事の容易さの点で合理的である。このため、新築時に基準に適合して建築される仕組みとする必要がある。 ・基準に適合せずに建築・使用開始された建築物を後から基準に適合するよう改修することはコストや物理上の制約が大きいことから、新築工事の段階を捉えて対応させることが費用負担や工事の容易さの点で合理的である。このため、新築時に基準に適合して建築される仕組みとする必要がある。
07 [新築時の対応の確保】について
綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
伝統構法木造住宅は生活の変化や住まい手に応じた可変性をもつ。新築時でなければ基準に適合できないわけではない
伝統構法木造住宅では、長期にわたり段階的につくっていく建設方法があります。架構はそのままに、壁の仕上げや間仕切り壁の施工は後回しとする方法で、イニシャルコストが限られている場合や、セルフビルドの場合などに採用されています。住んでから造っていくため、生活の変化に応じた最小限の施工が可能で、省資源住宅のひとつの手法です。 伝統構法木造は構造体の基本を真壁としているためもっともシンプルな構成は、架構にインセットで壁が塗られた内外真壁の仕様です。精度の高い施工が求められるものの歴史的にみても耐久性に実績のある方法です。土壁の場合、断熱材はそのままでは設置不可ですが、必要に応じ将来間柱を設け大壁化する事や断熱改修することも比較的容易です。その際捨てるゴミが発生しにくく無駄なエネルギーを使わないことは、省エネルギー的に見ても利点です。 基準は時代とともに変化していくものです。数十年先や遠い将来の基準が新たな基準に置き換わっていくことを考えると、その時求められる暮らし方に応じた仕様にする事の方が合理的であり、エネルギー的にも最適ではないかと考えられます。住まい手のライフスタイルが変わったり、世代交代などで住まい手が変わった場合に備えて新築時に仕様を決めるのは省資源や省エネルギーという視点に立って考えると無駄が多すぎるのではないでしょうか。高橋 昌巳 シティ環境建築設計(東京都)
温熱環境の向上については、施工方法の選択の自由を残すべき
新築時の対応の確保という発想は、検討趣旨の中で述べている「公共の福祉を実現するために財産権に対する必要かつ合理的な範囲内での適応となるよう検討する必要がある。」という趣旨には矛盾する一面を含んでいる。 経済的な理由が一番であるが、段階的に性能を上げるという方法もあり、建物の安全性に直結する構造的な特性とは異なり、温熱環境の向上については可能な範囲でとする施工方法の選択を残すべきと考える。特に、住宅については、すべての建物の新築時の義務化は憲法違反に近い内容であり、住み手がその家の性能を選べるようにするにとどめる必要がある。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(2)段階的な基準適合義務化のあり方
1)当初義務化する際の対応関連[民間機関活用の必要性]
・・省エネ法に基づく現行の届出は行政庁が一元的に対応している一方で、省エネ基準への適合性 の判定には専門知識が求められること、行政庁は違反是正等にも対応していく必要があること 等を考慮し、現在の届出制度を運営している所管行政庁に加え、省エネ性能に関する審査体制 を整備した民間機関を活用することにより、行政庁の負担を軽減する仕組みについて検討する 必要がある
08【民間機関活用の必要性】 について
高橋 昌巳 シティ環境建築設計(東京都)
新たな審査機関を増やすのはナンセンス
民間機関活用の必要性について、「省エネ基準への適合判断が専門知識を必要とすることを理由に、また新たな審査機関を増やすという」意見は、発想そのものが公務員の仕事を増やすために考えられた公務員的愚直な考えである。いったい、国の補助金頼みの機関をいくつ増やせば気が済むのだろう。国民の大半が公務員となって破綻した欧州の国をよく見る必要がある。 専門的な知識を一般にも無理がない程度にわかりやすく整えて交付するのは、本来国が行うべき仕事であろう。難しすぎて広まらないのは、まだまだ無理があるからと考えてほしい。 また、伝統的に構法の実際を全く知らない学者や官僚が審査機関員となるのは、判断がゆがめらる危険性が大いにある。学会等の会議に出席して感ずることは、学者の間でこねくりまわした案は使えないということである。土壁の表面と裏の間に高性能の断面材を詰め込めば真壁も可能だ、とする意見を最近も高名な学者の意見として聞いたがあきれてものが言えない。このような乱暴に発想の方だけではない、民間で実務を続けいる人間を今後の審査に加える必要があることを強く望みたい。寺川 千佳子 一級建築士事務所 恒河舎(愛知県)
省エネ対策に、確認申請に、これ以上余分な出費はご免です!
省エネ基準への適合性の判定には専門知識が求められること、・・・省エネ性能に関する審査体制を整備した民間機関を活喩する・・・とあるが、省エネ対策で不必要な出費を求められた上に、確認申請でも余分な出費になるのは御免被りたい。行政庁の負担を軽減することを考える前に、国民の負担を増やさないことを検討すべきだと思う。よって、省エネ基準義務化を反対します。池山 琢馬 一峯建築(三重県)
法制化すれば、建築確認の提出書類の増加、検査機関の混乱が起きる。
もし、こういうことが法制化された場合、建築確認にあたって、提出する書類がますます複雑になり、さらに、検査機関側も、大変混乱するのではないかと思います。家電リサイクル法のときの混乱を教訓に、もう少し慎重に考えていただきたい。意見公募の期間も、もう少し猶予をもつべきです。大江 忍 ナチュラルパートナーズ(愛知県)
新しい天下り先?
民間機関を活用することは、また官僚のための「新しい天下り先」を作ることになるのではないか。また、四号建築において、これ以上、煩雑な法律を作り、許可対象としていくことで、そこに利害が生まれそれを利益とする機関を生むことは、官僚としては、喜ばしいことであろうが、建築する側やその費用を負担する消費者にとっては、不必要なことである。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(2)段階的な基準適合義務化のあり方
2)義務化対象範囲の拡大に向けた対応関連基準への適合性をチェックするプログラム等の使い勝手の改善について
・設計者、中小工務店等の負担を軽減し規制への対応を円滑化するため、基準への適合性をチェックする際に用いるプログラム等の使い勝手の改善等を図る。
09【基準への適合性をチェックするプログラム等の改善】について
丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)
エアコンを使わない家庭、薪ストーブを選ぶ家庭に、正当な評価を
「基準への適合性をチェックするプログラム等の使い勝手の改善を図る」とありますが、扇風機を選択し、エアコンは使用しない家庭もかなりの割合で存在します。また、薪ストーブを選ぶ家庭も増えています。住まい手は、省エネの観点からそれらを選択し、また、生理的にそれらを好んでもいます。しかし、今出されているプログラムでは、それらが正当に評価されていません。この点は是非改善するべきです。高橋 昌巳 シティ環境建築設計(東京都)
プログラムが開放的な建物の存在を全く考えていない。見直しが必要
義務化対象範囲の拡大に向けた対応の一つとして、「基準への適合性をチェックする際に用いるプログラム等の改善を図る。」とあるが、このプログラム自体が、開放的な建物の存在を全く考えない北方地域に向いた内容であることを直してほしい。伝統的構法の建物への配慮すると述べる一方で、このプロクラムを使用してみると、一時エネルギーの消費量計算結果が、実消費値が基準値よりはるかに高い設計値になるという大きな矛盾(欠陥)をふくんでいる。 日本建築家協会の環境会議で実施した調査によれば、伝統的な構法(土壁)に生活するほとんどの家族が一時消費エネルギー消費量の基準値をすでに達成する生活をしているという結果がみられる。化石燃料の使用を抑制する省エネが本来の目的であれば、すでに問題のない生活をしていることになる。 おそらく、土壁等の自然素材に囲まれた家に住むことを希望する住み手の多くは、その生活スタイルそのものが省エネを心掛けたものになっていることを、20年間で80棟以上の土壁住宅を作れ続けてきた設計者として、自信をもっていうこができる。エアコンを使うかもしれないから始めから使うことを前提にしたプログラム自体を見直す必要がある。 このプログラムが使用される限り、義務化が行われると真壁構造の住宅はこの国からまったく建てられないことになる。一国の文化を消し去る権利は誰にもない。もう一度時間をかけて南方系の住宅に適したプログラムの開発を強く望む。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
計算プログラムの改善または、伝統構法には別プログラムを
JIA環境行動部会では、伝統木造住人の生活実態調査を実施しています。たとえば、伝統木造の土壁の家では、外皮断熱性能が低いため、平成25年省エネ基準の一次消費エネルギーを計算するプログラムで「設計一次消費エネルギー量」を求めると、「基準一次消費エネルギー量」を大きく上回り「省エネ基準には不適合」という悪い結果が出ることが多いです。 しかし、水道光熱費のレシートから実際の一次消費エネルギーの統計をとってみると、「設計一次消費エネルギー量」を大きく下回るばかりか、「基準一次消費エネルギー量」をも下回り「省エネが実現できている」という評価の家も少なくありません。 こうした、設計一次エネルギー量の計算と生活実態との間の乖離がなぜ生じるのか? ということを詳しく調査し、計算方法が未成熟な部分を見直していく必要があると考えています。JIAの調査事例では、テレビも電子レンジもエアコンも無い家がそれで満ち足りているにもかかわらず、家電を使う事を前提に計算する事は実態に合わないばかりか、土に還る素材の中でシンプルに慎ましやかに暮らす本来のライフスタイルから外れ、本末転倒となりかねない内容であり改善を求めます。1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(2)段階的な基準適合義務化のあり方
2)義務化対象範囲の拡大に向けた対応関連建築主の特性に応じた規制のあり方について
・ さらに、新築される件数が極めて多く、一般消費者が建築主となることが多い小規模建築 物について将来義務化する際には、資格者の関与による手続きの合理化等、供給側・規制 制度執行側の負担軽減方策や建築主の特性に応じた規制のあり方に関しても検討していく 必要がある。
10【建築主の特性に応じた規制のあり方】について
和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)
建売りと注文住宅とを分けて考えるべき
人の暮らし方は様々です。特に住宅建設において、国が基準を設けて規制をする場合は出来る限り「建築主の特性に応じた」規制であるべきという姿勢は最もだと思います。 「誰が住むかわからない」建売住宅(分譲マンション含む)の場合には「最大公約数的」「平均的」な規制があっても良いと思いますが、個人が特定される注文住宅においては、行き過ぎた規制は国民の豊かな暮らしを阻害しかねません。外壁や窓の断熱性能が低い住宅で「全館冷暖房」をするのはエネルギーの無駄遣いですが、消費エネルギーを抑えた暮らしを選択する自由もあるべきではないでしょうか。例えば、炬燵や扇風機で採暖採涼、家電や照明も最低限という方法での省エネ生活を望む建築主にとっては、法によって、望む暮らしが有無をいわさず阻止されてしまいます。 具体的には、「高気密・高断熱+全館冷暖房」のみを是とせず、採暖・採涼も認めながら、丁寧な規制を望みます。単身世帯では、局所冷暖房・採暖採涼の方が省エネでは?
また、これから増えるであろう単身世帯や二人世帯も考慮すべきではないでしょうか。少人数の場合、特に温暖地では「高気密・高断熱+全館冷暖房」より、局所冷暖房や、炬燵・扇風機等による採暖・採涼の方が、はるかに省エネルギーに貢献すると思います。高額な費用を掛けて外皮性能を高くし、誰も居ない部屋まで冷暖房するのは費用もエネルギーも無駄使いです。高橋 俊和 都幾川木建(埼玉県)
各地の風土と歴史に培われた伝統的木造住宅を建て、そこで生活する権利と可能性を奪わないで下さい
設計士兼大工として設計事務所と工務店を営む立場から意見を述べさせていただきます。 例えば、私が実際に経験した例ですが、ある禅僧から修行の場(居宅を兼ねる)として建物を建てるにあたって、外部の自然環境とかけ離れないようにしてほしいと要望されたことがありました。当然エアコンは不要とのことでした。シェルターとしてではなく、自然の一部として造って欲しいというわけです。 これは極端な例かもしれませんが、それは思想、良心と信教上の理由から発せられた切実な要望であり、誰も無視する権利を持っていないでしょう。 それは日本国憲法のみならず世界的に認められた、至極当たり前の基本的人権だと思います。このような事例に対して、義務化している他国では一体どのように対処しているのでしょうか。そういう資料はないのでしょうか。 たとえ少数者であっても、これに類するような人たちの立場を顧みることのできない一律の義務化はそれ自体、憲法上の問題があると思います。したがって仮に義務化が避けられない場合でも、どこかに特例か除外規定を設ける必要があると考えます。 伝統的な木造住宅はその対象の筆頭になると思います。元来伝統の民家や町屋は日本人が日本人として生きてきた証でしょう。各地の風土と歴史に培われた伝統的木造住宅を建て、そこで生活する権利と可能性を奪わないで下さい。 また、視野を広げれば伝統的木造住宅以外にも、その対象となりうる事案は他にいろいろと考えられるかもしれません。 衣食住はその国の文化・文明の根幹です。今回の第一次報告書骨子案はまさに〈住〉に関する法に直結するものであり、その影響の大きさを考えると〈大計〉に類するものだと考えます。義務化すべきか否か。また特例や除外すべき少数例にどのようなものがあり得るか。実務者はもちろんのこと、もっと幅広い視点も加えての慎重な検討を要望します。 省エネに対する様々な価値観や努力を軽視して、総動員的に義務化しようとする動きは、今後の動向次第によって、国全体が持つバランス感覚の健全性をより損なうことになるかもしれないと危惧します。 日本の住環境にとって、これ以上偏ることのない未来を残すために悔いのない十分な検討をお願いいたします。そのためにも、パブリックコメントの期間延長と、実際に家を建てる主体である消費者へのより広い周知が必要ではないかと思います。林 美樹 ストゥディオ・プラナ(東京都)
注文住宅においては、建築主が暮らし方を選択できるようにすべき
暮らしは多様です。満員電車で通勤し、都会のビルで深夜まで働く人もいれば、田舎で日中は外で仕事をしている人も居ます。子どもからお年寄りまで、それぞれの身体的な代謝も違うので、全てが同じ室内環境を必要としているとはいえません。住まい手がわからない供給型住宅はともかくも、住まい手が特定できる注文住宅の場合は、その建築主にあった暮らし方や作り方が選択できるべきです。極論をいえば、住宅の性能について表記する義務化はあっても、基準値に合わせる義務化はすべきでないと考えます。なぜ、車の燃費性能は義務化されないのでしょう?車には燃費以外の価値を認めるのに、住宅は燃費ありきというのはおかしくないでしょうか?江口 高広合資会社 江口材木店(愛知県)
土壁を選択する建築主は省エネや環境意識が高い
ご検討のとおり伝統的建築物、特に各地方で地場工務店等で造られている土壁付木造住宅の多様性は守っていただきたいです。土壁付木造住宅を建てる建築主は、省エネや環境に対してとても前向きな方々です。土壁付木造住宅はLCCMについても建設段階では他の建築手法より地球温暖化防止に寄与すると思います。造り方、住まい方の多様性に対応できる、適用の除外条項の拡充での法整備を望みます。建築主や供給者に応じた規制を
一般消費者が建築主となることが多い小規模建築物についてご検討のとおり、建築主の特性に応じた規制のあり方を十分に検討していただきたいです。建築主により、高性能な住宅を建てても使い方次第では、エネルギー消費の増大につながりますので、一律規制、一律同性能だけでなく、建築主や供給者の判断にゆだねることも必要と思います。綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)
注文住宅においては、建て主の望む温熱環境をつくり手との相互合意で作っていっていいようにしてしかるべき
寒い季節に寒くなり、暑い季節に暑くなる、これが自然の営みです。それを受け入れ最小限の工夫で回避し、簡素に生きることの価値を見いだしてきたのが、日本的暮らし方の原点であると考えています。暖房を入れたら少しでは満足出来ない。暑い時でも中途半端な涼しさでは満足出来ない。そんな暮らしにならぬ様、簡素につくり簡素に暮らす。この暮らし方をもとめる建築主の特性を認め、最小限の素材を用い低エネルギーに建設し、低エネルギーに暮らし、低エネルギーに自然に還すことが選択可能な多様性が必要ではないでしょうか。 建築主が特定出来る注文住宅であるならば、設計段階で事例に応じた温熱環境のクライテリアを決め、相互合意の上で納得して家づくりを進める事ができるようになることを望みます。蓮実 和典 蓮見工務店・はすみ一工務店級建築士事務所(埼玉県)
外部の自然環境を遮断しない暮らしを、断熱性能の義務化で奪うことのないようにしてほしい
本州を中心とした地域は、比較的温暖な気候であり建物の高い断熱性能がなくとも、外部の樹木や間取りなど工夫することで暑さ寒さを凌げる家づくりが日本では古くからされてきました。外部の自然環境を断絶しない日本の家での暮らしを望む人もおります。また、太陽光発電と蓄電池の利用でエネルギーを自給することも可能になってきています。 そのような暮らしを望む人には、コストアップに繋がる断熱性能の高性能化は必ずしも必要ないのではないでしょうか。断熱性能の義務化をすることにより、建築主が自由な選択ができなくなることは大きな問題です。また、真壁、土壁などの伝統的な構法やその他建築の多様性を、断熱性能の義務化によって奪うことの無いようにしていただきたいです。持留 和也”モチドメデザイン事務所(山梨県)
省エネを実現する方法としての高気密高断熱の義務化はおかしい。日本のライフスタイルの良さを指向する選択ができるようにしてほしい
省エネルギーを目標に掲げることに異論はありませんが、それを実現する方法として、高気密・高断熱を義務化することには疑問を感じます。断熱性能が劣っている家に住んでいながら、エネルギーをあまり使わずに暮らしている人は、現実にたくさんいます。むしろ、家にスペックを求めるような人が、普段の暮らしの様々な場面で家電製品を数多く使い、短距離の移動にも自家用車を利用することで、エネルギーを無駄遣いしているようなことは、あちこちで見られるのではないでしょうか。 近所に住む友人で、古いディーゼル車を改造してバイオディーゼル化し、まわりの人からもらった廃てんぷら油を使って、車を走らせている人がいます。「リッター何キロ」という燃費性能からすると、うんと悪い数字しか出ていないでしょうが、燃料費ほぼゼロの省エネなカーライフをおくっています。そして、彼はとても楽しそうです。 建築時と廃棄時に大きなエネルギーを必要とせず、部分的な採暖・採涼をすることで、最小限のエネルギー消費で最大の効果を得る暮らし方。屋内にある程度の温度差があることで、身体の適応能力が衰えることを防ぎ、健康に暮らせる期間をできるだけ長く維持する。日本人のこれまでのライフスタイルは十分に素晴らしく、世界でも有数の長寿命を実現していることが、それを証明しています。その良さを伸ばす方向性に、生き方を発展させられないというのは、間違っているのではないでしょうか。 それでも、世の中の大多数は、高気密・高断熱の家、燃費性能の良い車を選択していくと思います。それはそれでかまいません。しかし、別の選択を、あえてしたい人の前に壁をつくる必要はないと思います。多様性は社会を豊かにし、マイノリティーを大切にする社会は、全員にとっても幸福な社会だと思います。省エネを実現するための手段の多様性を、ぜひ認めていただきたいと思います。2 新築時の高度な省エネルギー対応、建築ストックの省エネ性能向上、エネルギー使用の合理化 を誘導する方策のあり方関連
(1)新築時の高度な省エネルギー対応を誘導する方策関連
(2)建築ストックの省エネ性能向上及びエネルギー使用の合理化を誘導する方策関連
(3)その他(都市の低炭素化等に向けた取組みの推進