東京大会、総会の全プログラムが終了したあとの安田邸へのオプショナルツアーでの集合写真。
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木の家ネット第五期総会・東京大会報告


未来へとつながる道理として 伝統構法をとらえる。

第二部:私たちの道理(つづき)

歴史的建造物の修復から学ぶことを語る風基建設の渡邉隆さん(左)、千尋建築事務所の奥隅俊男さん(右)。

「私たちの道理」二つめの発表は、歴史的建造物の修復に携わる渡邉隆さん、奥隅俊男さん。「古い建物と対話していく中から修復の糸口を見つけ、道理を見極めた修復を行っている」という事例を、スライドをまじえて紹介した。。

現行法の中で「古い道理」をどのようにに実践しているかを語る木住研の宮越喜彦さん

最後は宮越喜彦さん。現行法に合わせながら、構造・防災・室内環境面で「古い道理」をどう実践できるかを大きく概観した。告示改正により、準防火地域でも土壁+板張りの家づくりが出来るなど「古い道理」が通る部分も増え、「古い道理」の家を再評価する方向の実験も行われているなど、具体的な説明が続き、会員間の情報共有という面で大きな収穫があった。「堂々と伝統的構法に取り組む時代になった」という前向きな発言に、参加者からの反応も大きかった。。

第三部:わたしの考える「道理」

わたしの考える「道理」と題した講演をしてくださった増田建築構造事務所の増田一眞先生。

初日最後の発表プログラムの締めくくりとして、木構造研究の第一人者であり、歴史から学んだ構法を新伝統木構法として、現代に活かす 努力を続けてきたことで多くの人の心を伝統構法の見直しへと向かわせる牽引力ともなった増田一眞先生による「わたしのの考える『道理』」と題した講演が行われた。「日本の建築はずっと職人がつくってきたし、これからもそうあるべき」という発言が印象的だった。

ひとりひとりの顔が見える懇親会

東京大会、総会を通して書記をつとめた、けやき建築設計の畔上順平さん。今回の報告の元原稿も執筆(おつかれさまでした!)。

夜は引き続き、同じ会場で懇親会となった。パネル展示エリアでの立食形式のパーティー。展示を眺めながら、今日の発表の話に花を咲かせる場面が多く見られた。全国から地酒の差し入れも多く、楽しく賑やかなひと時を過ごせた。恒例の自己紹介も委員長の赤堀さんが名司会で取り仕切り、新規会員まで含めて一通り紹介された。番外編として、11月11日に実大振動実験施設 Eディフェンスで行われた京町家実大震動台実験を見学してきた鈴木有先生が、公式サイトで公開されている映像をモニターに映し出しながら見聞を語る場面もあり、大いにもりあがった。次の総会が三重で行われることが決まり、長い一日がお開きとなった。

二日目:総会とオプショナルツアー

モニターを前に京町家実大振動台実験での見聞を語る鈴木有先生。タイムリーな話題に、会員たちも引き込まれるように聞き入っていた。

総会は翌朝、宿泊場所の「みやこ荘」会議室で行われた。報告事項に引き続き「職人がつくる木の家についての発信」「会員みずからの発信」「会員同士の交流」という木の家ネットの性格を確認した上で、今後の木の家ネットのあり方について語り合い、無事幕を閉じた。

二日目の朝に行われた総会。今後の木の家ネットのあり方などが話し合われた。

総会で会計報告をする衣袋設計室の衣袋和子さん。木の家ネット設立時からずっと会計役を務めてくれています。

その後、渡邉隆さんのコーディネートにより、財団法人日本ナショナルトラストに寄贈された旧 安田楠雄邸の修復工事現場の見学を行った。都内とは思えない大きな雁行型の平面を持った住宅で、和洋を上手く使い分けた、モダンな建物であった。随所に大正時代らしい新しい生活スタイルへの工夫が見られ、コンクリートやゴムタイル、絨毯といった当時としては新しい材料の使われ方に特徴があった。栂普請による木材へのこだわりや、内樋やトップライトなどの粋なデザインが全体としてシャープな印象を与えていた。その後、建築家武田五一の展覧会を見学した後、来年の総会の成功を祈りつつ、各々解散となった。


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幹事のアレンジのおかげで、開催当地のすぐれた建物を見学できるのも、総会の魅力の一つ。 今回は大正時代に文京区に建てられた安田邸を訪れた。