会員報告や発表は5時間に及んだ。
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木の家ネット第五期総会・東京大会報告


地域での取り組みや 新潟県中越地震調査の報告。

第一部:会員報告(つづき)

木造耐力壁ジャパンカップ決勝トーナメントに出展する壁について話す、なるこーむ建築士事務所の永井成二郎さん(左)と、施工を担当した風基建設の若手社員。

続いて、永井成二郎さんより次週に「木造耐力壁ジャパンカップ決勝トーナメント戦」の出場ひかえた壁についての発表。木造耐力壁ジャパンカップとは、工夫を凝らした壁に力を加え、耐力を比較する対戦競技だが、施工性、デザイン性、環境性、コストパフォーマンスも評価の対象になる。永井さんは結合金物や筋違い、ホールダウン金物を使わず、杉の性質を生かした粘り強い壁を2体、決勝トーナメントに進出させた。かたく変形しないようにつくる壁が主流である中で、変形はしても粘り強い壁が決勝にまで進んだ快挙が、会員の注目を浴びた。(その後決勝戦で永井さんは総合優勝、デザイン部門賞、加工・施工部門賞受賞という輝かしい結果をおさめた。

熊本での活動を報告する、すまい塾古川設計室(有)の古川保さん

ほかに、地域での取り組みとして、熊本の古川保さん、宮城の佐々木文彦さんの報告があった。古川さんは地域の職人さんと「川尻六工匠」というネットワークを組み、地域材、伝統構法での家づくりを進めている。地元にアピールする手始めとして木の郵便受けを近所に配るところから始めたという話が興味深かった。佐々木さんも家づくりをする仲間たちと「杜の家づくりネットワーク」をつくり、住まい手向けのイベントを開催している。現場見学会だけでなく、森林、製材所の見学会なども行い、地域の山とのつながりを意識してもらうようにしているのも特徴だ。

宮城での活動を報告する有限会社ササキ設計の佐々木文彦さん

また、東京の木を使った家づくりに優遇措置がはかられるという東京都の「とうきょうの森のいえ」プロジェクトについて、山田貴弘さんから簡単な説明があった。施行はこれからだが、木の家ネット会員も数人がこのプロジェクトメンバーとなっており、東京の山の復興につながっていくことが期待される。

第二部:私たちの道理

「とうきょうの森のいえ」プロジェクトについて報告するビオフォルム環境デザイン室の山田貴弘さん

今回の総会の焦点は「古い道理に学び、これからの道理を考える」ことにある。環境との共生、持続可能性、街並みなど、新しい道理が置き去りにしてきたさまざまな価値が、古い道理にはある。それを未来につながるものとして継いで行くのが「私たちの道理」だ、という観点から、三つの会員発表があった。。

新潟中越地震のボランティア調査に関わってきた吉田晃建築研究所の吉田晃さん

新潟中越地震ボランティア調査を呼びかけた、木のすまい工房の鈴木有先生。調査から学んだことを解説。

まずは、吉田晃さん、鈴木有先生による、新潟県中越地震の調査報告(詳細は過去の特集記事参照)。あらためて、特に古い家を補修するにあたって「古い道理」をわきまえる必要性を痛感した。また、離村を決めかけていた山古志村のある集落で、木の家ネットにつながる仲間たちの応援で集落の神社再建をしたこと、そのことで住民が元の場所での集落再建の希望をもちはじめたことも報告された。 木の家ネットも情報発信やカンパを通して関わったが (詳しくはニュース欄にて )、それを鈴木先生が「現代の結(ゆい)」と表現したのが印象的だった。地縁でつながる「結」から、思想でつながる「結」へ。それが「古い道理」復活の糸口になるかもしれない。。


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新入会員5名のうち、4名が東京大会に出席。左から、東京の都倉孝治さん、熊本、(有)建築工房 悠山想の宮本繁雄さん、千葉、(有)竹脇住宅建設の竹脇千治さん、埼玉、久道工務店の久道利光さん