国は、火災や地震があるたびに、計測可能な数値や前例をもとに建築基準法を改変し、安全性を確保してきました。法律をつくるのは、棟梁ではなく役人であり、それは数値の許容範囲や標準的な仕様として示されています。棟梁の経験値で「安全だ」と言っても、説得力をもたないことは、往々にしてあります。家をつくるには、そして特に住宅金融公庫融資を受ける場合には、一定の基準をクリアしていなければなりませんが、伝統的構法の家は、その基準を満たしていることの説明が容易な「標準的施工例」の仕様にはあたっていません。融資が受けられない、建てられない、というのではなく、つくり手が安全性について役所にきちんと個別に説明することができればそれでいいのです。そのためには、木の家のつくり手はそれなりの説得力や自信をもっていなければなりませんし、今後、法律的にも伝統的な木の家を正当に評価してもらうために、私たちのようなグループが協力し合い、国に対して、実験結果やデータを積極的に提示していくことも必要です。個別の事例への対応はもちろんですが、全体として木の家をつくりやすい世の中をつくっていくための努力を、私たちはしていきます。
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秋田県立大学・木材高度加工研究所では、木造住宅の実験を行い、データを集積しています。
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