木の家
   
Photo.1 「木の家」といっても・・・
一口に「木の家」といっても、昔ながらの民家からログハウスや輸入住宅までいろいろです。住宅メーカーのカタログには「木の香り」「木のぬくもり」という宣伝文句が氾濫していますが、その実態たるや、木をうすくはいだ「ベニヤ」を化学糊で固めた合板や、板を接着剤で貼り合わせた集成材など、素材が木であるというだけの「木質系」材料、人間の都合で木を原料に工業的につくりだした、ひらたくいえば「ハリモノの木」ばかりでできている家が「木の家」と称されている例も多いのです。
 

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木をうすくかつらむきし、糊で貼り合わせてつくる合板ベニヤ  
 
Photo.2  
太い木からは様々な種類の材が採れます。  



Photo.3 木の家は、実感するもの
私たちがお勧めするのは、見た目が「木に見える」木目調ではなく、文字通り本物の「木」の家つまり、近くの山の木を伐って製材した、自然なままの木を材料とした家です。人工的につくられた新建材がいかに扱いやすく、安価に、均一な材を提供するとしても、住み心地は木の家には及びません。住み心地とは、やわらかさ、あたたかみ、見た目の美しさ、香り、安らぎなど、数値になりにくい「気持ちよさ」が複合したものです。それが木のもつ調温調湿機能からくるのだとか、昔からずっと使ってきているものだからとか、いろいろな説明が可能ですが、木の家に足を踏み入れてほっとする感覚は、とにかく実感してみてこそ分かるものです。
 


 
国産材を使いたい
日本は森林面積が国土の70%近くもあるのに、戦後は海外からの木材輸入が増加し、今では木材自給率がわずか20%前後というおかしな国になってしまいました。木がないのではないのです。むしろ、戦後復興の乱伐の後の拡大造林で植えられた人工林は、まさにこれから伐期を迎えようとしてるのに、山は見捨てられ、どんどん荒れています。

たとえば、伐採後、植林せずに放っておかれるままの山、間伐が適切に行われていないため地面に日光が入らず、下草が生えない山が増えています。このような山で雨が降ると土がどんどん流出してしまい、立ち枯れや山崩れが心配されます。また、材の値段があまりに安く、伐り出すほど赤字が膨らんで経営意欲を失った山林所有者や、普段地元にいない不在所有者が、代々守ってきた山を廃棄物処分場建設などに売ってしまうケースも出てきています。

解決しなければならない問題は山積みですが、まずは住む人・つくる人が積極的に国産材を求め、健全な需給のバランスを回復していくことで、解決の糸口は見えてくるはずです。国産材で家を建てることは、日本の山を守り、生活環境の安定や改善にもつながるのです。

Photo.4  
秋田の人工杉。拡大造林で植林された杉や檜は、蓄積量が豊富で、10年以内に伐期を迎える。  

Photo.5  
下落する立木価格と対照的に伐採経費は上昇しており、長年育ててきた木を伐ることで赤字になってしまう。山を放置せざるをえない情況がある。  


Photo.6 木は均一でない
木は生き物なので、一本一本に個性やクセがあり、なかなか品質が揃いません。私たちが紹介する木の家は、曲がったり歪んだり、乾燥して割れたり、均一でない木とつきあいながら建てる家です。大工は扱いにくさを含めた木の性質をよく知っていて、それぞれに応じた使い方や、あとで狂いが生じることまで考えに入れた建て方をします。木の性質をある数値の範囲内に矯正することでカタログ商品化しよう、という工業製品的考えが住宅メーカーと行政との間で進行中で、集成材や木質系パネルの隆盛もそのあらわれですが、私たちは「均一でないのが自然な木、それを適材適所で扱うのが職人の知恵と技」という姿勢で臨んでいます。
 
 
Fig.1  
背割りをいれたところ  
Fig.2  
木が収縮して、
割れ目が広がりました
 
Fig.3  
大工が木の狂いを見定め、反ったり、曲がったりした分を切り落とします。  



  「木組み」による「軸組構造」
 
  木の家といっても、構法はさまざまです。家の構造を壁や床といった「面」でもたせる「枠組構造」もありますが、これはプレハブ住宅やパネル住宅、2×4など、外国の住宅産業から入ってきたものです。昔ながらの日本の家は、柱や梁を水平方向に通した「貫(ヌキ)」と呼ばれる板で鳥かごのように組んでいくことで得られる「木組み」の全体が家を支える「軸組構造」でできていました。

Photo.7 パネル住宅
プレハブ住宅
など
面でもたせる「枠組構造」
Photo.8 日本の家は
柱・梁など
架構でもたせる
フレームでもたせる「軸組構造」
   

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様々な「木組み」によって家はできています  


  「在来構法」の登場
日本本来の「木組みの構法」は、技術を要し大工の手間がかかるため、戦後復興から高度成長期にかけての住宅建設ラッシュの中で、「住宅産業」が興き、手間よりも経済効率を優先するようになったために、「筋違い(スジカイ)構法」が出てきました。これは、複雑な木組みはせずに、金物で接合部を固めたり斜めに補強材を入れたりすることで工程を省く、といういうものです。外国の住宅メーカー経由で新しく「枠組構造」が入ってきはじめた頃には、木組みを簡略化した「筋違い構法」が大半を占めるに至っていたため、それが「在来構法」とよばれるようになってしまったのです。そこで、本来の日本の家のつくり方であった「木組みの構法」をあえて「伝統的構法」とよぶようになりました。
 
 
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木組みを使った伝統的構法(木組みの構法)
柱と柱の間を「貫(ヌキ)」という横板が通り、柱との交差部分は、木組み。桁と梁も、交差して組み上げている。
 
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在来構法
木組みを簡略化。金物を使って木と木を固定し、さらに斜めのつっかい棒である「筋違い」を入れて補強してある。
 


Photo.9 「真壁」と「大壁」
私たちが主に実践しているのは「伝統的構法」、つまり「木組み構法」の家です。古い民家そのものではなく、現代の生活や法律に沿った形で住まい手とともに話を進めながらつくっていきます。構造を木で組んだ上で、壁は土や板でつくるのですが、柱や梁を積極的に見せ、柱間に土壁や板壁をつくる昔ながらの「真壁(しんかべ)」と、柱や梁を新建材などで簡単に覆ってしまう「大壁(おおかべ)」とがあります。最近の家は「大壁」がほとんどですが、私たちは「真壁」の家も多くつくっています。木を覆わずに露わにすることで、木が呼吸でき、調温調湿効果が最大限に発揮されます。また、修理や補修なども用意にします。
 
 
Photo.10  
柱や梁などの構造材が表に見える「真壁」づくり。  
Photo.11  

真壁
貫板に竹木舞をかき、土を塗る。柱は表に見えている左官仕上げの例。他に、柱間に厚い板を落とし込んだ真壁もある。

 
Photo.12  
大壁
ボードを上から打ち付けてしまうので、柱は隠れてしまう。
 

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