最近の家は「快適」を一義としていますが、実はそれは消費によってなりたっています。「設備」と、電気・ガス・水道をはじめ「外のサービス」とがあってはじめて成り立つ「消費する家」なのです。お金を払って、快適さを得る、そのお金を稼ぐために働くのが今の経済のしくみです。でも、もともと家とは「働く家」でした。家は「快適に休む」場だけでなく、自前で食料をつくり、井戸で水をくみ、薪を割って火をおこし、生ゴミを肥料にし・・現金を払うことなく、家庭を運営するための「生産をする」場でもあったのです。産業構造自体が違うのですから、不便な過去にそのまま戻ることはなかなかできませんが、地球環境を考えれば「消費型」から「循環型」に変わっていかないと持続できないといわれています。せめてその第一歩を家庭から、ということで、現代版「働く家」を考えてもいいのではないでしょうか。
家をつくることが環境に負担をかけていないか。「地球迷惑度」という視点をもって、家づくりを考えてみるといいのではないでしょうか。家をつくるのにかかるエネルギー量が小さいことも重要です。柱や板を製材したり、壁土を調達するのにかかるエネルギーは、アルミやビニール、プラスチックなどを加工して新建材をつくりだすエネルギーと比べて、格段に低いのです。また、二酸化炭素放出量の増加による地球温暖化が問題となっています。成長過程にある若々しい木は、旺盛に二酸化炭素を固定し、酸素をつくりだしますが、老齢化して腐ったりすれば、逆に二酸化炭素を放出するようになってしまいます。十分に成長した木を家や家具にすることは、その分の二酸化炭素を放出させることなく封じ込め、固定化する役目を果たしてことになります。120平米の2階建て木造住宅は、約5トンの炭素を保存しているといいます。
日本における二酸化炭素排出量: 人間の生産活動は二酸化炭素を増やす一方だが、森林は光合成によって二酸化炭素を封じ込めてくれる