木の家ネット事務局 八ヶ岳便り

2017年11月5日

山梨での省エネ計算&気候風土住宅勉強会

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2017年の11月4日、山梨県小淵沢の生涯学習センターで、省エネ計算と気候風土適応住宅について学ぶ勉強会がありました。主宰は、木の家ネットの山梨の会員の横山潤一さんが代表をつとめる「八ヶ岳らしい家づくりを勉強する会」

勉強会をするきっかけになったのは、2017年4月、木の家ネット・埼玉が主宰する気候風土適応住宅の勉強会に横山さんが参加したこと。

冒頭で挨拶をする潤建築の横山潤一さん

「まずは計算をするところからやってみましょうよ」と、勉強会で省エネ計算のやり方のお話をした綾部工務店の綾部孝司さんに強く勧められ、岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝先生が開発した「環境デザインサポートツール」を使って、横山さんは過去の作例の計算をしてみました。横山さんが北杜市内のつくり手に声をかけて、その発表を作業場でしたのが9月の始め月夜の晩。そこに来た参加者に呼びかけて「11月に勉強会をしよう」と企画したのが、始まりです。

綾部工務店の綾部孝司さん

集まったメンバーは、木の家ネットからは鈴木工務店の嫁で設計士の鈴木百江さん、ほか、八ヶ岳の気候風土の中で、お施主さんのライフスタイルをかなえる家づくりに取り組む設計者や大工、計10人。メンバーが住み、仕事をしている北杜市は、気候区分が3地域、4地域のところがメインというかなりの寒冷地なので「冬、寒くない」家づくりは、最重要課題。とはいえ、断熱材でくるんで、窓を小さくすることで断熱性能をクリアするような四角い家はつくりたくない!景観に開いた眺望、家庭菜園や庭とのつながるライフスタイル、かなり高い割合での薪ストーブ利用など、八ヶ岳の気候風土や景観に合った家づくりを考えているメンバーばかりです。

岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝先生

勉強会は「まずは省エネ計算をしてみる」ための辻充孝先生の「環境デザインサポートツール」配布特典付き講義と八ヶ岳メンバーによる計算結果を発表する第一部と、「気候風土適応住宅」を東京建築士会で気候風土適応住宅WGを立ち上げ、認定基準を提案するために動いている、「東京で土壁の家づくり」の高橋昌巳さんの講義との二部構成としました。

シティ環境建築設計の高橋昌巳さん

第一部で「企画メンバーが自作を計算した結果を発表する」ために毎週一回集まって、省エネ講習会のテキストと首っ引きでああでもない、こうでもない・・と。困ると綾部さんに電話で指南をお願いしたりしながら、結局、11/4の勉強会で発表するための事例の計算が「合っていないと困るよね?」ということで、メンバー相乗りで岐阜の森林文化アカデミーまで辻先生の教えを乞いに。

勉強会の準備のために、集まってみんなで計算をしていく中で気がつくことがたくさんありました「数値合わせのためでなく、住まい手が望む温熱環境を設計的に実現するために計算をするのだ!」ということを実感できたのが、何より!でした。

そこで、せめて「仕様規定や簡易計算、断熱材やサッシメーカーから提案に流れるのでなく、設計者自信が納得できる温熱環境設計をするために、性能規定でがんばろう」ということを伝えることが、勉強会の目標としました。

当日は北杜市内だけでなく、山梨県建築士会からの情報発信を通じて山梨県内、木の家ネットで勉強会を知った岐阜、神奈川、東京からの参加者を含め、90人近い人が集まり、大盛況。「環境デザインサポートツール」の配布にともなって、使い方を説明する連続勉強会を開催することも決まり、今後も「八ヶ岳らしい家づくりを考える会」の活動は続いていきます。

「計算をしてみる」から「その場所の気候風土に合った住まいづくり」を実践するための学び合いや情報交換へ。「省エネ基準義務化」という外圧がきっかけで、かえって、気候風土を同じくするさまざまなつくり手同士がつながるというのは、まさにひょうたんから駒?というか・・いやいや「ピンチがチャンス」ということかもしれません。

私自身も、同じ北杜市内ということで、勉強会の企画運営に深くたずさわってみて、全国ネットで顔の見える関係のある木の家ネットとまた別に、リアルに近くでつながるネットワークがあるのは、とても良いことだなと実感しています。

みなさんも、それぞれの地元で「勉強会」はじめてみてはいかがですか?きっと得るものがあると思いますよ!

山梨での勉強会初期の様子。気がつけば日付がかわっていたことも何度もありました。