木の家ネット事務局 八ヶ岳便り

2018年1月13日

新春企画ランキング!を読み解く

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「木の家ネットらしさって何?」を
新春コンテンツから発見!

お正月に公開した新春コンテンツには、なんと33もの!ベストショットが寄せられました。それらを分析してみると・・木の家ネットって、どんな感じのつくり手が集まっている会なのか、よ〜く分かります!

事務局から「2017年にベストショット」を呼びかけた時に想像してたのは、竣工物件の「建物の外観写真」でした。
・・・ところが蓋をあけてみたら???

それぞれの投稿を傾向別に分類してみました。

※写真をクリックすると、特集本編のその記事にジャンプしますよ!


「家づくりはプロセスを楽しまなきゃ!」建て主さんと結い作業系 9票
「子どもたちに伝えたい!」次世代継承系 8票
「むずかしいこと言われると燃えます」手仕事追求系 7票
「納得の仕事ができました」自慢の施工事例系 5票
「自慢は良い仲間!」人とのつながりが幸せ系 2票
「作業場つくってます!」シゴト環境整備系 2票

「家づくりはプロセスを楽しまなきゃ!」

建て主さんと結い作業系 9票

建て主さんと作業している!シーンの写真が圧倒的に多かったですね。よいとまけ、竹伐り、小舞かき、土壁塗り、柿渋塗り、焼杉板づくり・・・工業製品の壁だったら、コンクリートの基礎だったら、関わる余地はないですよね。けれど、身近にある素材で手仕事でするパートも多い「職人がつくる木の家」なら、建て主さん家族やまわりの人が関われる工程がいろいろある!のです。家づくりのゴールは、建物としての家。けれど、家づくりはそれだけではない。できあがるまでのプロセスを楽しめる、楽しんだ分、できあがる家に愛着がわく、というのも、家づくりの大事な要素なのです。

綾部 孝司さん:コンクリート基礎を打たない石場建ての現場で、建て主さんと「よいとまけ」。
橋詰 飛香さん:同じく石場建ての現場で、よいとまけではなく「版築(はんちく)」的な基礎がためを建て主さんと。

日高 保さん:土壁を塗る下地の竹小舞をつくるために、建て主さんと竹伐り隊。
村上 幸成さん:外壁に使う杉板をつくるのに、建て主さんと古式の三角焼き。これが簡単で早い!

岡崎 定勝さん:山に入って、大黒柱にする木を建て主さんと選ぶ。木のいのちをいただいて家になるのです。
東原 達也さん:写っているのは竣工した建物ですが、ここまでの普請のプロセスがまさにフルコース!

伊藤 淳さん:みんなで土壁塗りが楽しすぎて、終わるのがさびしい!という建て主さん。
北山 一幸さん:建て主さんと土壁塗りする現場の下支えするのが、練り土供給班。

持留 和也・ヨハナ:初めての人にも伝わりますね!この原始的な体験のワクワク。

「子どもたちに伝えたい!」

次世代継承系 8票

次点で多かったのが、家づくりやまちづくり、職人技術の継承などを通じて、次世代や海外の人に何かよいものを「伝えたい!」という思いがあらわれたベストショット。体験を通して伝わることは、ただ教わることと違って、身に付き、いつかきっと芽を出す。そう信じて「種まき」をしているのですね。

大江 忍さん:家族が自然とコミュニケーションできる家。こんな階段や梯子も、いい中間的な場になりそう!
鈴木 直彦さん:大江さんと同じ発想!そのネズの木の皮むき現場の一枚です。

川村 克己さん:ことばを発しない、森の気持ちを紙芝居で伝えます。
長谷川 順一さん:伐採と製材と木ごしらえは、本来ひとつのこと。杣(そま)からはじまる家づくりを伝えます。

林 美樹さん:海外の人にも日本の「職人がつくる木の家」のよさを伝えたい!
中村 武司さん:母校の目の前のお堂づくりに関われた子どもたち。一生の思い出に残りますね。

和田 洋子さん:なんだかアイドルかなんかのコンサートみたい!ああ、餅まいてるからか!
北山 めぐみさん:中学生がお掃除している土間は、じつは赤煉瓦敷きなのです!

「むずかしいこと言われると燃えます」

手仕事追求系 7票

効率のよさだけを追い求める世界とは逆なのが「ものづくり」の世界。やれそうにないような注文を「挑戦」ととらえ、工夫を重ねてやりきる。その喜びはひとしおです。

宮内 寿和さん:あんなことやってのけた宮内さんなら、きっとやってくれる。そんな出会いが面白い!
山崎 四雄さん:放射状の木組みが二重になっているのも、まるで広げた傘の真裏にいるみたいです!

沖野 誠一さん:松本勉さんのものすごい鏝絵!沖野さんが惚れ込んだ土佐漆喰の左官さんです。
高橋 俊和さん:本居宣長が12歳から亡くなるまで住んでいた鈴屋の奥座敷を再現!という難題。

劍持 大輔さん:家の一部を建物の軸線から45度ずらす。それを実現したら七方差しになった!
小山 武志さん:戦前の家の軒裏を直しました。大工の技術の見せ場です。

「納得の仕事ができました」

自慢の施工事例系 5票

それぞれの得意分野が光っています。どの事例にも、とことんまで気を抜かないものづくり魂が感じられますね。

小澤 啓一さん:ほかの要素との取り合いの中で、水平垂直を出すのは用意ではない!きっちり屋のタイル屋さんの仕事。
中川 幸嗣さん:「むくり」とは「反り」の反対。わずかにふっくらとした仕上りのこと。波の連なりのようにも見えます。

吉田 晃さん:腐って落ちていた天井をぶち抜いて屋上にあがる階段を取り付けた? 逆転ホームランですね。
寺川 千佳子さん:こんなお家だったら、ますます家に居るのが楽しくなりそう。母の愛が感じられます。

佐々木 文彦さん:県産材をたっぷりと使った家に、建て主さんご家族も大満足。

「自慢は良い仲間!」

人とのつながりが幸せ系 2票

丹羽 明人さん:これだけ多くの人が家づくりに関わっているんですね!
高橋 一浩さん:かっこいい!このままブルースバンドのジャケットになりそうです。

「作業場つくってます!」

シゴト環境整備系 2票

手刻みをする大工には、長尺材や丸太材をそのまま持ち込める作業場が必須。いい材に出会った時にはつい買ってしまうから、ストック場所も。といっても、最初から理想の作業場があるわけではありません。となったら、一世一代の作業場づくり!今年のコンテンツとして取り上げたいテーマのひとつです。

横山 潤一さん:はるばる旅をしてきた、明治時代の小学校の材と、各地から馳せ参じた仲間達とでできた悲願の作業場。
中川 孟さん:静岡から石川へ。拠点が変われば、まずは作業場からつくらねば!

まとめると・・・

木の家ネットのつくり手は、結果としての「家」を供給するだけでなく、建て主さんと家づくりの「プロセス」を楽しむことを大事にしている。そして、子どもたちに、職人の手仕事や無垢の木、自然素材、自分たちで家づくりに関わることの価値を伝えようとしています。

仕事の手を抜くという発想はなく、むしろ、こだわりすぎて狭い所に入り込まない事の方が要注意。それでも、難しいような注文が来ると「やってやろうじゃないか」と燃えるつくり手は多いもの。そのように追求して、納得できる仕事になった時の喜びが、次のものづくりへの意欲となるのです。

仕事をしていく上で大切なのが場です。目に見えない場は、人とのつながり。目に見える場は、手刻みをする大工にとって欠かせないのは作業場です。場が発する気が、家づくりそのものに大きく影響します。

今年も、全国のつくり手が、建て主さんとともに造る家づくりを通して、家が長く愛され、愛着をもって社会的な資本として受け継がれていく社会を築いていく一端を担っていくことができますように!事務局として、そのように願っています。