【終了】日本建築学会への意見書に賛同する方の名前を集めています


※署名集めは、終了しました。
※この件についての特設サイトをつくりました*
http://kinoie-action.seesaa.net/

職人がつくる木の家ネットでは、金物に頼らない木組み・土壁・基礎と上屋を緊結しない石場建てなど、これまで建築基準法に位置づけのなかった要素に特徴ふけられる伝統的な木造住宅を合法的に建てることができるよう、建築基準法内に伝統的構法に特化した告示が施行されることを設立当初から求めてまいりました。

2007年の改正基準法施行による建築基準法運用の厳格化により、伝統的構法の中でも特に、上屋と基礎とを緊結しない「石場建て」の建物は、多大な費用と時間のかかる確認審査機関で行う「構造適合性判定」を通さないと着工できなくなり、事実上、かなり建てにくい状況となりました。

こうした状況を打開するために「伝統的構法の設計法構築および性能検証実験検討委員会」で、石場建てを含む伝統的構法に特化した設計法を2012年度いっぱいと目処に完成させるべく作成中で、木の家ネットでも、この動きに期待と注目を寄せています。

ところが、この設計法とは異なる、『伝統的木造建築物構造設計指針・同解説』という別の指針が、設計法が世に出る直前の2013年2月に、日本建築学会から刊行される予定がこのほど分かりました。

「建築学会から出る指針」は、確認審査の場面で、判断の依拠となる、影響力の大きいものです。伝統構法に特化した設計法ができる目前にこのようなものが出ることは、ダブルスタンダードとなるおそれがあり、伝統的構法の実務の現場で混乱を招くことが危惧されます。

因って、11/28(水)に、このことを問題視する建築学会の会員から日本建築学会の会長宛に「発刊の中止または、検討委員会で構築中の設計法が告示化するまで発刊の延期」を申し入れる意見書を日本建築学会会長および構造本委員会委員長に提出し、12/3(月)を期限として、回答を求めました。

12/4(火)となりましたが、まだ回答はいただけていません。したがって、12/3(月)までということで集めていた賛同者のお名前とご意見は、引き続き募集し続けることといたしました。

次のアクションとしては、実務者、建築学会、検討委員会の3者での話し合いを求める要望書を、12/20(木)に提出予定です。詳しくは特設サイトにてご確認ください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このことに意見書に賛同する個人の方のお名前を集めています。
下記フォームへの書き込み(建築学会員であってもなくても、書き込みできます)と、情報の拡散をお願いいたします。
団体として賛同したい方は、下記問い合せ先までご連絡ください。

意見書全文(案)のダウンロード

こちらからダウンロードできます。

※2012/11/28に建築学会に提出した意見書です。
※ここでは意見書の提出人となった建築学会員のお名前は伏せてありますが、実際には17名の建築学会員が氏名、会員番号、支部名を載せました。
※このページの文末に、全文を貼付けてあります。

問合せ先
職人がつくる木の家ネット 事務局
jimukyoku@kino-ie.net

意見書に同意される方のためのフォーム

意見書全文
平成24年11月28日

       意 見 書

一般社団法人 日本建築学会
 会   長    和田   章 殿
構造本委員会委員長 中島  正愛 殿

一般社団法人日本建築学会が2013年2月に発刊を予定している『伝統的木造建築物構造設計指針・同解説』について、この文書の末尾に名を連ねた日本建築学会会員の有志より、下記のとおり意見を提出させていただきます。

         記

 伝統的木造建築物には、金物に頼らない木組みや基礎と上屋を緊結しない石場建てなどの要素があります。こうした地域の気候や風土に適応し伝承されてきた伝統的木造建築物の諸要素は、建築基準法の木造に関する仕様規定を満たさないため、法律的に建てにくい状況に置かれてきました。しかし、2000年の建築基準法改正により、仕様規定に則らない建築物でも、限界耐力計算で安全性を証明できれば建築できる道筋がつき、伝統的木造建築物も合法的に建てることが可能となりました。ところが、一連の耐震偽装事件をきっかけに厳格化された2007年の建築基準法改正以降、構造安全性の検証に限界耐力計算を用いる建物は、4号建築物相当の住宅であっても多大な費用や時間がかかる構造計算適合性判定を経ないと着工できなくなり、そのことにより、伝統的木造建築物の着工数は激減しました。それに加え、現時点では実務者が構造計算を行う際や、確認審査機関や構造計算適合性判定機関が審査を行う際に参照できる、安全性の検討に必要な全ての項目を網羅した設計法がないため、実務者のみならず、確認審査機関、構造計算適合性判定機関においても混乱が続いています。

 こうした伝統的木造建築物がおかれている危機的状況を打開し、実務者が使いやすく、石場建てを含む伝統的木造建築の設計法をつくるために「伝統的構法の設計法作成および性能検証実験検討委員会」(以下、検討委員会)が発足し、研究、解析、要素実験、実大震動台実験などを重ねてきており、2012年度末を目処に、その成果を伝統的構法に特化した設計法として、まとめようとしているところです。最終的には、作成した設計法を国土交通省に提出し、建築基準法における告示化することで、伝統的構法を実践する実務者が使えるものにすることを目指すものです。
 この伝統的構法のための設計法がまさに仕上げの段階に入る2013年2月というタイミングで、『伝統的木造建築物構造設計指針・同解説』(以下、指針)を日本建築学会の刊行物として発刊する予定があることを知りました。

建築学会から発刊される指針と、検討委員会から提案される設計法とが同時期に世に出ることは、建築実務者や審査機関にとっては「ダブルスタンダード」となり、改正基準法施行以来、ただでさえ伝統木造建築物の確認審査が滞り、困難になっている状況にあって、さらに混迷をきわめる元となるのではないかと感じています。

実務者が建築学会の指針と検討委員会の設計法とが、どのような意味合いで「ダブルスタンダード」となるように感じているか、その一番大きな危惧について説明させていただきます。検討委員会がとりまとめている設計法では、石場建てを含む伝統的構法の建築を可能とすることをめざしていますが、その一方で、指針の冒頭では「柱脚の滑りを許容する仕様は適用の範囲に含まない」とあります。石場建てを適用範囲外とする指針が、設計法が世に出る直前に学術的権威を持つ日本建築学会から発刊され、ひとたび全国の確認申請窓口となる行政や審査機関に配布されれば、その影響は多大なものとなることは明らかです。最悪の場合、石場建ては行政や確認審査機関での運用上も「適用範囲外」として扱われ、建築不能な状態になりかねないのではないかと懸念しています。

 私たちは、伝統的構法を実践する者であり、それを未来につなげていくことを、切に願っています。新しくできる、石場建てを含む伝統的構法の設計法の完成を目前にしたこの時期に、確認審査のプロセスにおいて混乱を招くおそれのあるこの指針が日本建築学会から発刊されることの影響の大きさを危惧し、この意見書を提出するに至りました。

 建築学会会長、構造本委員会委員長におかれましては、上記の件につきまして、日本建築学会の権威と建築実務者、構造設計者、確認審査機関などに対する社会的な影響力について熟慮していただいた上で、本来、伝統的構法に携わる実務者のために作られるはずの指針が、かえって伝統的構法をますます実現しづらいものになることのないよう、発刊の中止、または、発刊の時期をせめて検討委員会が作成している設計法が告示化されるまで、延期していただくことをご検討願います。

 日本建築学会として図書を刊行することは、われわれ会員の会費をもってなされる事業のひとつです。よって、以下に記した建築学会会員の連名にて、この意見書についてのご回答を求めます。ご多忙中恐縮ですが、12/3(月)中に、下記メールアドレスまでお送りくださるよう、お願い申し上げます。

建築学会会員
(17名の会員番号、氏名、支部名を列挙しました)

なお、この件に関する連絡は下記までお願いいたします。

連絡担当 和田洋子 (建築学会員番号 1036672 中国支部)
電話:090−2094―5006 
電子メール:wada@bajane.com


最近の特集記事