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「職人がつくる木の家」づくりを未来につなげるアンケート


住まい手の回答

この「住まい手の声」は、2008年7月12日のこれ木連フォーラムに先立って、職人がつくる木の家ネットのつくり手の施主によびかけた「住まい手アンケート」の中から「建築基準法で伝統構法が建てにくくなっている現状についてどう思いますか?」という問いに対する回答をまとめたものです。

実際に建ててみて、壁にあたったことがありました

  • 家づくりを経験することになり、初めて伝統構法が建築基準法によりいろいろな規制を受けていることを知りました。日本の家は多様化し過ぎているのでしょうね。
  • 銀行に融資を申し込みに行った時の窓口対応などから、「(手馴れた)ハウスメーカーの営業がやるのが一般的なんだな」と感じる場面がいくつかありました。レアケースを受け入れる幅のない社会は住みにくいだろうと思います。
  • 本当に!! 資金調達の際は世間から迫害を受けているような感覚さえありました。腹立たしいです。
  • シックハウスがらみで換気が強制されているようですが(間違っていたらごめんなさい)、無垢材と漆喰壁の家では換気ゼロでも問題ないと思います。

日本の伝統文化、町並みを守り、受け継ぐ制度や教育であってほしい

  • 伝統構法は永年に渡り、日本の気候・風土に適するように考えられて来た知恵の集積であろうから、時代は変わっても今の気候・風土にも適合するはず。せっかく積み重ねて来た先人の知恵は、次の世代に引き継いで貰わないと困る。
  • 伝統は受け継いでこそ伝統だと思います、そして伝統は価値があるから受け継がれていくのだと思います。
  • 耐震性やさまざまな規制やマンパワーの関係でどうしようもない問題なのかもしれませんが、伝統溝法は伝授されてこそ伝統だと思いますし、もっと住まい手・つくり手が復活して欲しいものです。
  • 長く続いてきた伝統的な技術には、どのような分野においても、歴史の中で培われてきた大事なものがありこれからも引き継がれるべき卓越した技があると思います。それらは日本の宝物ではないでしょうか。
  • 伝統構法の良さ、技術が法律のせいで次世代に残せなくなるとしたら、とても残念
  • 制度により伝統が壊され、職人も育たず、悪循環にあると思います。
  • 制度の見直しを希望します。
  • 私も家を建てるまでは伝統構法について殆ど知りませんでした。家づくりの需要と供給の実態や制度について、学校教育の中にももっと登場すべきだと思います。
  • 日本の文化を守るという視点を大切にしてほしい。ヨーロッパの家並みを日本の住宅にとりいれた分譲地域は、陳腐なテーマパークのように見えてしまい残念です。日本の気候風土にあった家を町作りの基本と考え、統一感のある町並みを造ることができたら、日本の地方がどれほど魅力的になるかわかりません。日本の山を守り、日本の職人を守るという視点で行政をおこなうのなら、むしろ日本建築を取り入れた町並みを推奨し、補助金や規制等で有利にしていくのが、政治家のやるべきコトではないかとおもいます。
  • 「街づくり」の理念・合意を地域から作り直すこと。住宅専用地域などの地域指定を増やすこと。
  • 先祖伝来の技術を政府が阻害する国は、世界にも珍しい。万が一法隆寺が倒壊したら、次の再建はコンクリートつくりになるのだろうか。または洋風建築の法隆寺にでもなるのだろうか?

伝統木造の性能がもっと評価されていいのでは?

  • 今後、伝統構法の家の検証が更に進むことを期待する。そうすれば制度の中に位置づけられるチャンスも来ると思う。
  • 防火や基礎(緊結)の問題については、木造であっても、構造計算などでももっと実証的な研究とその成果の設計への適用などが大切だと思います。(素人の「感じ」です。)
  • 経験を軽視し、数値だけで強度等の性能評価することは、一言で言えば浅はかと考えます。数値化できないところに真の技能があることを、法隆寺という歴史建築物が示していることにもっと謙虚になるべきと思います。何を持って性能評価とするか、その根拠は何か、利害関係が潜んでないかを公明正大に議論されるべきと思います。一方で伝統的構法の妥当性のデータ収集や技能検定のような仕組みも必要と思います。
  • 本当に伝統工法に問題が多いのか、昨今の工法や輸入材の多用などにも実は別の大きな問題がないのか、もっと本格的に検証した上で結論を出すべきである。
  • 法律で縛るのならば、構造や耐震強度などを誤魔化さないようにするべきで、「このやり方でないと許可できない」といった形にはするべきではないと思います。安全面などで住み手に情報が公開されるように変えてほしいです。
  • 東京の真ん中で木造住宅をまともに想像することは不可能です。今回の建築基準法の改正はモルタル空間の中で空想された産物で、伝統的な建築は完全に無視されました。しかし、よく考えると、伝統的工法とはどのようなものなのか、まともな構造材とはどのようなもので強度をどの程度前提に設計すればいいのか、といった基本的な点で作り手の間でもコンセンサスが得られていないような状況ではないかと想像します。間違った前提に立った法律は変えてゆくものです。今後は、伝統工法のプラットフォーム、無垢の木の強度など、異なった背景をもった方でも理解できるような資料を提供してあげることが必要となってくるのではないでしょうか。

現代工法とは違う伝統構法なりの耐震性がきっとあるはず

  • 耐震構造は大切なことですが、伝統構法の家でしっかり建てたものは何百年と大震災にも耐えた建築もあるので、伝統構法を排除しないで欲しいと思います。逆に数値ばかりを頼りにして、改ざんができてしまうようなものこそ取り締まるべきではないでしょうか?
  • 古い寺や神社、古民家が長く保存されているのを見ると、耐震性等は、ただ剛性だけでは測れないのではないかと想像されます。このあたりのデーターを出して、役人に示せればと思います。
  • 現在の制度下では、伝統的な日本建築は衰退してしまうのではないかと心配です。筋交いや金物で補強すれば簡単に地震に強い構造になるかもしれませんが、違った目線(他の方法)で、伝統的な匠の技を使用して地震に強い伝統構法の家が出来るのか検討しても良いのではないでしょうか。そのためにも、机の上のデータではなく、より多くの現場の意見・声を聞くことが大事だと思います。
  • 耐火・耐震性に優れた方法(材料・工法)の研究、それに伴う詳細なデータの収集と地道な周知活動を、これからもしていただきたいと思います。
  • 耐震や防火等の制度については、改正されるよう、データを出す、世論に訴える等々、ぜひとも専門家の方々の努力をお願いしたい。
  • 強度、耐震性、防火の面で誤解され、悪くみられているからだと思います。本来なら、制度的に優遇されてもいいのではないかと思います。
  • 伝統構法の家の方が、長い目で見ると丈夫だと思う。
  • これだけ地震が増えてきますと、やはり「昔の方々に学んで、日本の気候に合ったやり方を学んでいかなければならない」というメッセージを、もっと世間に送るべきだと思います。
  • 伝統構法のよさが数値として証明される機会でもあるのかと思いますのでなんとかがんばってほしいです。

伝統構法の方が耐用年数が長いと思う

  • よくは解らないのですが、耐震性なども工夫する事で、クリアできるのではないでしょうか。コンクリートのビルが沢山建てられていますが、セメントを作るのに多大なエネルギーを使い、C02を排出しているとききます。そして耐用年数は30年とか(まちがっていたらごめんなさい)木材のほうがずっと長持ちするのではないでしょうか。
  • 家の解体をしている人から次の話をきいたことがあります。「現在一般的に建てられている梁や金物で固定する家を解体するのは簡単です。ユンボで引っ張れば、金具はさびているし、固定されている部分も緩くなっているのが多いので、すぐにボロボロと崩れてしまいます。」中の断熱材が水分を吸って重さでずり落ちカビだらけ。 伝統工法の家は、ユンボで引っ張ってもジワーっとたわみ、なかなか崩れない。本当は解いたが良いけど、崩す場合は大変だよ。」と聞きました。どちらが丈夫な家なのか?簡単に分かることですが、制度を作った人に両方を解体させてみたらどうでしょう? 丈夫な家が制度上作りにくいのはおかしいと思います。

なぜ、伝統構法は基準法から置き去りにされてきたのだろう?

  • 法律とは、本来常識以前のものを取り締まることが、目的にあって最低限ラインをひくものであったと認識していますが、どうも、近頃の法改正をみていると、何だか、役人の責任逃れのためにラインをあげている指向が見受けられます。法が変わるたびに翻弄させられる、かといって、法が絶対的いうものではないのに、いろいろな方向性を認めないのは如何なものかと思われます。以前、テレビで地震に遭った家が出ていましたが、百年経っていて、もちろん、基礎はありません。礎石の上に土台が回って足固めでできていました。外から見ると余り傾いている様子もないのに、アナウンサー方が「現代のように基礎もないし危ないので、リフォームもできないので、建て替えのようですね。」と言っていましたが、現代のような壁構造しか認めない風潮はおかしいし、また、全く画面では、免震構造で、多少ずれているのかもしれないと思われましたが、どうも、基礎ありきが浸透している風潮というか、一つしか認めない、他を排除する傾向に合点がいきません。家造りにどれが正しいという解答があるのでしょうか。現代のような金物だらけの家造りに辟易してしまう昨今です。木が嘆いているようで何とかしてあげたい気持ちにもなります。木が自らの命をうまく生かしてくれた大工に出会えたときには、きっと、嬉しく思っていることでしょう。木心のわかる、わかろうとする職人が増えることを願っています。
  • 故意に自分の利益を優先するために、安全性を無視して建築したり、不注意や未熟な技術から危険な建築物を建てることは法律で取り締まらなければならないことだが、現在一般的な在来工法と違うからという理由で、在来工法の枠にあてはまらないものを画一的に違法とするのは在来工法の問題点を見直す上 でも、問題だと思う。規制をしなくても、伝統構法の技術は失われつつあり、日本の気候風土に適して、国内の環境にも木材輸出国の環境保全にもよい伝統構法は規制ではなく、保護していく必要があると思う。
  • 伝統工法に問題があるのではなく、現在の流れと違う家に対して受け入れられないだけで、世界一のタワーなどでも最期は法隆寺の作り方や昔の技術に戻る。新しいものが正しいと思う人の心がずれていると思う。良いモノは良い。
  • 一番の問題はやはり予算の点と職人さんの良し悪し(技術)がもろに出る伝統工法は、制度的に汎用性が難しく誰が建ててもバラつきのない現代の工法が制度として統一しやすいのかなと思う。
  • 役所(国交省)は、管理のしやすさを最重要にしています。技量や材料による品質の不安定したものを嫌うようです。要は、工業製品化したいのでしょう。これではだめです。伝統構法が継続出来るよう、頑張ってください。

なにか利害がからんでいるのだろうか?

  • 欧米の輸入住宅をもてはやし、大手ハウスメーカーのなんだか難しい工業技術を駆使したなんとか工法を擁護する政府は、利権が絡んでいるのだろうか。伝統工法が建てにくい理由のひとつは、中小の工務店が中心だから、ではないだろうか。大手ハウスメーカーや住宅輸入業者は、政府にとっても相当な利益団体になっていると思われる。もしそうでなければ、愚かとしか思えない。エコ住宅という偽善の根本的問題を、考えて欲しい。
  • 制度を考える人たちが、建設会社や工務店などと(癒着?)あまり近くなって要望を受け入れているのではないですか。大学で学んだエリートの方々の知識が、職人さんの知恵よりえらいし確かだと思いこんでいるのでは。大学教授は棟梁よりかしこい、えらいとか。
  • 勉強不足。それとも圧力?ですか。
  • 住宅メーカーと結びついているのでしょうか。よくあることです。

顔の見える関係の中で、つくり手と住まい手の自己責任による家づくりを

  • 大手ハウスメーカならともかく、施主と綿密なやりとりをする設計・施工業者については、国土交通省のうるさい規制は不要と思う。施主の自己責任で構わない(例外があるとすれば防火のみ)。規制によって自分が保護されているとはまったく感じない。規制のせいで希望が通らなかったり、余分な金銭的負担をさせられたりするとだけ感じる。
  • 一部の不良業者のために国が規制を強化するのはおかしい。罰則を強化&情報を逐次開示するだけでもいいと思う
  • 施主が建てたいと思って建てる家なのに『自己責任において建築します』と一筆書いて建てさせてくれないですかな。建築基準法も役所が管理しやすいものだけをOKとする。『日本は過保護と責任逃れの国』です。この件については、『木の家ネット』には大いに頑張ってもらいたいですね。

制度をつくっている人たちに、もっと分かってもらいたい

  • 制度を作っている人に、もっと伝統構法のよさ・強さを分かってもらう研修会・PRが必要なのでは?
  • 本当の事を申し上げると、伝統構法の家が建てにくくなっている制度的な現状を知りませんでした。残念な事です。私たちは家族はこの家に住んでいる者として、この家のここち良さを伝えたくて、親族や友人、知人に、我が家を体感してもらっていました。何軒かが同じ様な伝統構法の家を建てられました。その現状が続いてくれることがうれしくてしかたのない家族です。
  • お役所の人にはもっと勉強して欲しいですね。そのためにも伝統構法の家に関するデータが必要なのでしょうね。
  • とても悲しいことだと思っています。何か政治と絡みがあるのかは分かりませんが、自分たちの利益のためばかりを考えてほしくないです。家は、商品でないことを分かっていただきたいです。
  • 法律や制度を考えて決める部分が間違っている。現場の声や、長期的ビジョンを持つ見識有る人たちの声が届いていないのではないか。はやく改善しないと、伝統的な技が消えてしまうのではと心配。
  • 制度の問題であれば、変更すべきだと思う。外国の工法であった2×4工法は、そんな問題はないはずだと思う。アメリカからの圧力だとすぐに法改正するぐらいだから。
  • 制度本来の目的と消費者の利益が相反していると思います。もともと家を建てるのに時間がかかるのに、さらに申請・認可で時間がかかるのは建てる側としてもどうかと思います。なんとかよいおとしどころがないものでしょうか。
  • 幾つかの要因が絡み合って厄介な問題と思います。大資本系の住宅販売会社を利するためという、汚い政治の要素もありますし、消防当局の、熱心ではあっても科学的思考に欠けるという傾向も大きな要因だと思います。また、伝統構法の価値を理解して不合理な法制度に対して異を唱える市民勢力があまりにも小さいということも考えていかなければならないでしょう。ただ、どの要因も、考えることを厭い知恵と技を蔑ろにする社会の気風が土壌となっているのであって、ここを改善することなしには状態は良くならないでしょう。
  • 安全重視もわかりますが、住む人の意見も聞いてはどうかと思います。
アンケートにご協力ください

その他

  • 建築士制度の中でも一級建築士はコンクリート造の建物の建築技術を担保している。木造は二級で担保されているが、伝統工法は民間でも良いから、その資格制度を確立し、品質の柱として位置付けることが不可欠だと思う。

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