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木の家ネット第七期総会・徳島大会レポート


100年生きて来た木が倒れる音を体で感じる

前夜は日没後の到着で、あたりの様子が全く分かりませんでしたが、窓の外には澄んだ空気に黄色や赤に色づいた紅葉に、寝不足の目も一気に覚め、総会二日目は気分も爽快に始まりました。

午前中は、宿泊した四季美谷温泉の社長も務めておられる、林業家でTSウッドハウス協同組合の組合員でもある亀井さんの山を見学しました。林業をしながら、旧・木沢村の人たちに請われて四季美谷温泉の社長として従業員と同じ仕事もし村の人たちに非常に頼られている亀井さんはTSウッドハウス協同組合にとっても、旧・木沢村にとっても、なくてはならない人です。

まずは、和田さんが「大工たちに木の倒れる音を聞かせたいんや」と徳島での総会を決意された気持ちの原点ともなった伐倒作業の見学です。また。木にチェーンソー入れた瞬間に吹き出る樹液に「確かに今、100年以上も生きてきた木の命を奪うのだ」と実感。そして梢の混み合う杉の木立の中、思う方向に倒す技術にも皆、感嘆しました。木が倒れ始める時のメリメリメリという軋み、そして倒れた時の地響きのようなドシーンという音は、まさにその場にいなければ味わえないものでした。

総会後の会員MLでも「一世紀もの間ゆっくり育ってきた大木の倒れる雄姿に感動(大工/中村建築・中村武司)」「和田さんたちの山、こだわりがよくわかりました。山の悲鳴も聞こえた気がします。つくり手として、山から木を頂くということは、命を頂く事、と再認識できました(大工/古民家工房・高橋義智)」「徳島の山を初めて見させていただき、あらためて和田さんの今までの努力に敬意を表したいと感じ入りました(工務店/風基建設・渡邊隆)」など、多くの人からの感想が流れました。

台風で崩落した現場に立つ

その後、台風のために崩壊した現場を見学、その原因はほかならぬ低迷している林業そのものにある、それも家づくりに山の木が使われなくなったからだと知り、少なからぬ衝撃を受けました。(詳しくは和田さんのインタビューをご覧ください)

また、高い山からワイヤーで木を運び出す集材作業を見学。(木を出す高い山まではもちろん歩いて登るのです)山に行くたびに新しいことを知り、生半可の知識での知ったかぶりを恥じた次第です。

モデルハウスと製材所の見学

山をおりて亀井さんが経営するうどん屋(ありよせ)で山菜うどんと山菜ちらしずしの昼食をいただき、那賀川町のTSのモデルハウスへと急ぎました。山での見学が沢山あり、予定より遅れての到着でしたが、ここで10日から徳島入りした人たちと合流。モデルハウスで和田さんの説明を聞き、アザラシのナカちゃんが居た那賀川の土手からT.Sの佐々木材木店を見学がてら、昨日立ち寄った三枝林業に帰還しました。

佐々木材木店

高機能な製材機器、工場のどこへ行ってもきちんと桟積みされた製材品をじっくりと見学し、皆、感心することしきり。川上から川下までトータルに配慮した努力の成果には、多くを学ばせて頂きました。ここでも、FFTアナライザーでヤング係数を測定しましたが、すべて、E90という好成績でした。

充実した内容の勉強会

その後、徳島市内の総会会場、ホテル偕楽園へと急ぎました。休む間もなく、林材ジャーナリスト・赤堀楠雄さんの「JAS製材の基準法での位置づけ」、古民家工房・高橋義智さんから前夜の「大工サミットの報告」、すまい塾古川設計室・古川保さんによる「基準法改正について9/14に国交省と行ったセミナーとその後の問題点の整理」、ナチュラルパートナーズ・大江忍さんによる「瑕疵保障制度」についての解説、そしてトリは山から製材所、モデルハウスまでご案内くださったTSウッドハウス協同組合・和田善行さんの講演会「山を守るのは伝統構法」と濃い内容の話がびっしりと繰り広げられました。

TSウッドハウス協同組合の和田善行さん

総会の醍醐味は、熱い語らいにあり!

上から古川さん部屋、和田さん部屋、岩波さん部屋、大江さん部屋

夜もふけはじめた頃から、交流会。ひとりひとりが熱くメッセージを語った自己紹介が一巡する頃には1時間半という時間があっという間に過ぎていました。そして、大きなあわびにびっくり!徳島でもめったに食べられないものでした。惜しむらくは、すだち醤油であっさり食べたかったかな・・。そのあと、普通なら就寝するような時刻から4グループに分かれての分科会。古川さん、和田さん、岩波さん、大江さんが座長となる各部屋に分かれ、各部屋とも日付が変わるまで続くほどに熱心な討論が続きました。

私のいた古川さん部屋では「伝統工法とは」とのテーマで、基礎と緊結し、筋交いを入れた「かたい家」、石場立ての柱建ち、貫を入れた「やわらかい家」のどちらもも認め、かつどちらも潰れてはいけないということが話し合われました。

ほか、和田さん部屋では「手づくり」とは何だろう?、岩波さん部屋では「建築基準法の改正とこれからの伝統工法」、大江さん部屋では「職人がつくる木の家づくり、顔の見える関係での家づくり」を世間に知らせ、世論をつくっていくことの大切さといったテーマが話し合われたとの報告が、翌朝の総会でありました。

上から古川さん部屋、和田さん部屋、岩波さん部屋、大江さん部屋


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