講演会の後、木曽川をみおろす最上階の天然温泉で汗を流した参加者は、座敷に移り、懇親会を楽しみました。60名以上の参加者の自己紹介が一巡するのに、約1時間半。ふだんインターネットでしかつながっていない同士が、「顔の見える関係」を満喫しました。
そして翌朝の朝食後には、熱い総会の第二ラウンドが行われました。会員規約の検討、会の運営や活動のあり方について議論されました。総会の感想とこれからにむけての抱負ということで、全員が一言ずつ思いを込めて発言。それを「犬山宣言」としてまとめましたので、ここにご紹介します。
犬山宣言
全国から世代を超えて、さまざまな職種の木の家ネットメンバーの半数以上が、犬山の地に集まり、熱い討論ができた。そこで私たちは次のことを確認した。
一、 私たちは、これからも、それぞれの地で、地元の木や土を大切に使い、受け継がれてきた技術で、住まい手に安心して住んでもらうことのできる木の家づくりに励む。
一、 私たちは、先人から受け渡された伝統構法というタスキを、実践の活動の中で、持続可能な仕組みとして未来へとつなげることによって、日本文化の新たな創造を目指す。
一、 木の家ネットへの参加は、木の家ネットを会員相互の共有の場として、それぞれの会員は責任を持って自発的に活用、発信する権利をもつということである。
一、 木の家ネットの仲間同士のゆるやかなつながり、そして作り手と住まい手との、「顔の見える関係」を、これからも大切にしていきたい。
一、 次は、滋賀で会いましょう!そして、がんばろう!
[如庵見学]
無事に総会が終わり、お昼前からは、名鉄ホテルの敷地内にある、国宝茶室「如庵」のある「有楽苑」を、岡崎製材所の岡崎さんの案内で見学しました。障子の貼り方や、雨樋が地面へとつながる竪樋など、どの細部をとっても、美しさを究める心や配慮が行き届いていて、感心することしきり。木の家ネットメンバーはそれぞれに目をつけるところがちがうようで、石端立てになっている柱の足元をしきりに見ている人、土壁をさかんにさわっている人(大橋先生がそうでした!)、雨戸や障子など建具の収まりを確認する人、など思い思いに楽しんでいました。
[犬山城]
昼食は三々五々犬山城前の茶店で摂り、犬山城の天守閣に登ったメンバーも多くありました。濃尾平野を一望できるこの城は、尾張の国の守りとして、木曽川を隔てた美濃の国から敵が攻めてこないか、つねに目を光らせていた軍事上の要所でした。昭和10年から国宝に指定されているこのお城が、戦国の世から十二代にわたって、成瀬家という個人の財産だったということを聞き、とてもおどろきました。相続の関係もあり、今年の4月に設立される財団「犬山城白帝文庫」(仮称)に所有権が移管されるそうです。木の家ネットのメンバーで地元愛知の左官の岡田明廣さんは、昭和40年の改修時に、お城の白壁を塗ったそうです。
[空色勾玉(そらいろまがたま)]
その後、地元名古屋の大工・中村武司さんの案内で、千種駅に程近い自然食レストラン「空色勾玉」(中区新栄3丁目)で茶話会があり、30数名が参加、尽きない話に花を咲かせました。空色勾玉は、明治半ばに穀物倉庫として建てられた蔵を昭和30年ごろ移築した建物で、一年前にお店をオープンする際に改修、天井がとても高いのが特徴です。中村さんのコーディネートと、岡田さんのところの若い左官職人さんの指導のもとで、お店のお客さんたちが集まって、「壁塗りワークショップ」で漆喰壁を仕上げたそうです。きれいな色の石(ガラス製:勾玉)が埋め込まれていて、「素人にしかできない手の跡」が感じられる、温もりのある壁が印象的でした。