青々とした田んぼの中に佇む鈴木邸。家の周囲に軒を張り出した、木と白壁の家です。
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工務店・小田貴之さん(オダ工務店):木の家づくりのプロデューサー


外観

小田 総二階にしないで、玄関の入り口、物干し場など、まわりに下屋を出したつくりにしています。

玄関

小田 西側に長い軒を出し、その一部を玄関口にしています。うちのモデルハウスと同じつくりですね。

玄関収納

玄関扉を、あけると、大きな靴箱のある玄関。収納するための靴箱というだけでなく、木の目の流れの美しさ、つややかさを感じさせてくれます。木目の白身と赤身で、水の波紋を描いた、一幅の絵のようです。

小田 こういう木の色や柄の合わせ方は、図面では表現できないところで、「木をよく見せずにいられない」大工の仕事のこだわりがでるところです。この色味の美しさや木肌のツヤも葉枯らし乾燥で時間をかけて水分をある程度抜いてから製材し、じっくり自然乾燥してこそのものです。

畳の間

玄関を入った正面が、新しいイグサの香りのする畳の間。将来的には、鈴木さん夫妻のご両親が泊まりに来られる時に使うことも考えて作った畳の間ですが、今では、親子三人、ここで川の字で寝ているそうです。

小田 「畳の間」といっても、「和室」ですから、大工が材料選びに凝るところです。床柱は?床框は?鴨居は?天井板は?と、木目の美しさや細やかさ、その取り合わせなど、木の見せ方に心を配り、手をかけますね。ざっくりとした大らかな板の間とはまた違った趣向をこらすのは、今の人には分からなくても、こだわる心意気です。

大黒柱

この大黒柱が、玄関、畳の間、吹き抜けの真ん中にあって、2階の小屋裏までずーっと通っています。

小田 かんながけを丁寧にしてあって、きれいでしょう? 時間が経つとともに、年々落ち着いた色になってくるのも楽しみですよ。

リビング

置いてあるのは、大きなテレビと薪ストーブだけ。吹き抜け空間を広々と使ったリビングです。

小田 薪ストーブを置かれたからには、うちの工場の残材をお届けするおつきあいが、ずっと続きそうです!

鈴木功一さん このリビングに合うちゃぶ台を、小田さんのところで作ってもらうのもいいかなあ、と思っています。

ダイニング、キッチン

吹き抜けのリビングと真っ白い漆喰の仕切り壁を隔てて、ダイニングと対面キッチンがあります。キッチンカウンターも、テーブルも、台所の引き出しも、オダ工務店で造り付けたものです。

小田 この家に合わせて、一枚の厚板で食卓を作りました。じっくり派の鈴木さん、この食卓に合わせて椅子をどうするか、まだ悩み中のようです。

鈴木功一さん 材を選ぶのは、親方にお任せなんですが「こうしようと思うんけど、見に来て!」とその度に呼んでくれるのも嬉しかったですね。テーブルにはこの木、カウンターにはこれ、キッチンの引き出しは、と木の表情を取り合わせて・・と、ぼくら家族のために、心を込めて選んで作ってくれたからこそ、いいものになりました。

木組み

2階にあがると、まず目に入るのは、どっしりとした、力強い太い三本の丸太の梁。

小田 棟の下に通した三本の丸太梁を支えに合掌づくりのよう組んで、屋根を支えるという組み方をしています。この三本の梁の上に床を張ることで、ロフト空間を作っています。

2階

2階には、階段を上がりきったところに、鈴木さんが書斎コーナーとして使えるつくりつけのテーブルが。向って左に夫婦寝室、右に将来子ども部屋として使う予定の3室あります。

鈴木功一さん 今のところ、一階だけで生活が完結しているのでほとんど活用していませんが、子どもの成長とともに、使っていくのが楽しみです。


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鈴木さん御家族と小田貴之さん