鈴木さんご家族
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工務店・小田貴之さん(オダ工務店):木の家づくりのプロデューサー


鈴木さんご一家は、オダ工務店で家を新築されたばかり。ご夫婦と2歳の男の子の3人家族。小田さんとはじめて出会ったのは、お子さんが生まれる前。じっくりと長い時間をかけて実現した家づくりです。

鈴木さん夫妻が小田さんに出会うまでストーリー

鈴木功一さん 鈴木功一さん(夫):結婚して家づくりを考えた時に、まずは見てみようか、ということで、妻とハウスメーカーの展示場にでかけました。家としての性能や、設備面での機能性、耐震性などを、営業の人が、きっちりと数字で説明してくれました。家は製品、っていう感じでしたね。

鈴木裕子さん(妻) :鈴木裕子さん(妻):「吹き抜けがあって、まわり階段で2階に行ける」というのに前から憧れがあったので「そういうのって、できますか?」と訊くと、「基本プランにありませんが、プラス○万円でできます」と言われます。ほかにも「こんな風には?」と希望を言うと、どんどんオプションとして加算されていって、結局自分達が望んでいるものを得ようとすると、どんどん高い金額になっていく仕組みになっているんですね。

鈴木功一さん 僕は僕で「工業製品としての信頼性」は理解できるんだけれど、自分がここに住んで本当に心地よいのだろうか?ということが、いまひとつ、ピンとこなくて、煮え切れないでいました。

鈴木裕子さん(妻) そうしている間にも、ハウスメーカーの営業さんは、どんどん契約に持って行こうと畳み込んでくるんです。そのスピード感がすごくて・・主人はじっくり考える方なので、そこについていけなかったですね。

鈴木功一さん 親父が大工でしたし、自分が育ったのも、あたりまえの木と土壁の家だったので、やっぱり新建材で建てられていることに違和感があるのかな、と思って「土壁にはできないですか?」と訊いてみたら、あっさり「それはオプションにありません」と。せめて「木の梁が見えるようにはできないか」と訊くと「できますよ!」というのですが、「木が見える家」のモデルハウスの梁は、防虫剤に浸かって、緑色になったような集成材で。

展示場に並んでいるのは、工場で量産加工された部材を組み立てる工業製品としての家。本物の木や土を使った家づくりは、大工が手で作るしかないんだ、というあたりまえのことが、よく分かりました。

じゃあ、近場の工務店で建てたら、どうなのか? というと、ハウスメーカーの建て方と変わりないような気もするし、木や瓦を使った昔ながらの和風の家だったら、それはそれで、重たくて自分たちのライフスタイルに合わないような気がして・・。

鈴木裕子さん(妻) そこからです。主人が本腰を入れて、いろいろ本を読んで勉強したり、ネットで検索したりしだしたのは。

鈴木功一さん キーワードは「無垢の木」「大工手刻み」「土壁」。それで、地域でしぼりこんでいってオダ工務店さんに行き着きました。

手刻み、木組みということをきちんと説明してあったし、いわゆる「和風」というのではない、スッキリとした感じのデザインもよさそうに思えたので、まずは、見学会に出てみました。

木組みがかっこいい! と思えたし、大工の手仕事がしっかりされているし、何より気持ちがいい。当初予定していた予算よりは坪10万ぐらいのアップにはなったのですが、木組みの家は長寿命だということも分かったので、僕の世代でがんばって新築して子どもの世代でリフォームで済むなら、それもありだな、と思い切ってお願いしました。

鈴木さん、この家で、いちばん気に入っているところを教えてください!

木組みと漆喰壁の吹き抜け空間が
とにかく気持ちいい!

鈴木功一さん この吹き抜けのある、板の間に漆喰壁の空間が、いちばん気に入っています。会社から戻ると、無垢の木が素足の裏にあたるやわらかさ、あたたかみをまず感じて、思わずゴロンとしてしまいます。漆喰の白壁の明るさも気に入っています。帰るのが楽しみになる家ですね。

鈴木裕子さん(妻) どうしてもほしかった吹き抜けが、こんな風に、木組みが見える素敵な形でできたのは、想像以上でした。とっても嬉しいです。広々としていて、気持ちがいいです。

鈴木功一さん 家って、それを形作る素材そのものが、空気を作っているわけですよね? この家では、無垢の木や土や漆喰といった自然素材が、清らかな空気を醸し出している。それが、人の身体や心をほっとさせるのでしょうね。あたりまえすぎるようなことですが!

ハウスメーカーの展示場で感じたような、クロス貼りの家の室内や、ぼくの苦手な「新車の匂い」とまったく違う空気感です。

あと、当初の予定になかった薪ストーブを入れたい!というワガママを、小田さんがかなえてくれたことにも感謝しています。

鈴木裕子さん(妻) ハウスメーカーのオプションだったら「あり得ない」ですよね?!

鈴木功一さん オーダーメイドのクッキングストーブが、可愛くてどうしても欲しくなってしまって・・。

小田 吹き抜けの階段の取り合いもほんとに大変でした。高熱を発する薪ストーブのまわりをどうやって囲うか、苦労しましたが、職人たちのアイデアと工夫で、漆喰を圧縮したタイルを貼った壁を作りました。これは大正解でしたね。

薪ストーブのすぐ横にある壁。タイルを使った繊細な仕上げ

鈴木功一さん ほんとに私たちのこの家のために、惜しみなく考え、知恵を出し合い、手間をかけてくれている、ということがひしひしと伝わってきて、嬉しかったです。

小田 大工たちは一旦は「え〜〜っ、面倒だなあ・・」と文句を言うような反応をするんですけれど、次の瞬間からは「じゃあ、どうやってやろうか」となる。適当に済ませることができず、最良の策を求めて努力する。そのあたりが、大工のものづくり魂、一棟一棟、丁寧に作っていく家づくりのあり方なのではないかなと思います。だからこそ、時間もかかってしまうんですけれどね!

鈴木功一さん 燃料になる端材は、小田さんが持って来てくれるというので、あてにしています。クッキングストーブも兼ねて居るので、ピザを焼いたりするのが楽しみです。

次ページでは小田さんの案内で、鈴木さんの家をひとめぐりしてみましょう。


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左側の窓の中で薪を燃やし、右側の扉の内側で料理ができる