5月20日(金)
液状化相談2
住民が流失していく
昨日の報告に記した液状化の帯は幅100m4キロに修正する。液状化の2次被害は住民流失だ。知り合いの一人の家は、位置指定道路に面している。路面だけでなく、20㎝ずれて側溝や上水道や下水道はズタズタに切れている。周辺全体を測量し直さないと敷き地境界線さえ不明だ。建物復旧だけでなく、道路やインフラ整備まで負担になる。更に、一人去り、二人去れば、残りの人に負担は大きくのしかかる。高森洋さんの相談内容でも、家を修復して住み続けたい人は少なかったとのこと。再開発並みの事業が必要かもしれない。
5月19日(木)
液状化相談1
150年以上前の土地利用が、今に影響を与える
2005年の福岡西方沖地震以来、液状化に関心が深まってはいた。熊本でも、液状化マップを作成され、海の近くは起こりやすいと警告していた。しかし、今回の地震による液状化はその赤の場所ではない。川尻から熊本駅付近まで幅50mで5キロの線上に帯上に続いている場所だ。福大の村上教授が液状化の帯を地図に落としたら150年前の運河の位置と一致した。当時、川尻は細川藩の米の集積場で、米を熊本城まで運ぶための運河があったみたいだ。時代の変化で運河は不要となり、埋めて道路にした。その道路が皮肉にも液状化ロードになってしまった。その地域の住人は液状化など聞いてないと声を揃えて嘆く。
液状化の研究はあまり進んでいないので、対策を間違えると2次被害が起きると大阪のWASC基礎地盤研究所の高森洋さんが、南高江地区で「液状化で傾いた建物の無料相談会」を2日間、開いた。11組の相談があり、計測調査などを行ない盛況だった。一人でも救済できればと自費で大阪から来られた。報道にも載らず、みんなが知らない援助はたくさんある。
5月18日(水)
修復実験1
動いた家を戻す
石の家に柱が載っているだけの家を石場建てというが、ただ乗っかっているだけではない。
柱と柱を足固めという材料でつないでいる。そのつなぎ材が重要だ。柱は基礎に筋結していないので、強震を2回受ければ柱は動く。柱が動いてもその足固め材が家の転倒をふせぐ。その防ぎ方は次回に廻すとして、柱が基礎からずれた場合の直し方を研究していなかった。
まずは、軽微な被害である80mmずれた家から試験し、徐々に被害が大きい家の修復に手をかけ、最後は730㎜ずれの家に挑戦する計画だ。家を戻すことは初めての経験なので、思うようにうまくいなかい。11人でかかっても1日で終わらなかった。しかし、いろんな知識を得た。
本日集まったのは、木の家ネットのメンバー11名。東京、名古屋、静岡、京都、三重、岡山、福岡からだった。伝統構法愛好家の剛腕メンバーなのでアイデア続出で、かなりの成果を得た。報告は後程。
5月17日(火)
地震波分析
今回の揺れを、過去の大地震と比べてみると
実物の建物を振動台に乗せ、実際揺らしてみる実験に何回か参加した。計算した建物が壊れないかの検証実験なので壊れない。最後に、壊れ方を見たいという要望があり、試験体を壊す地震波が阪神大震災のとき被害が大きかった「JR鷹取波」だ。地震にはいろんな種類がある。
震源地に近いから被害が大きいというわけではない。距離、地盤の種類に、地震の波形の種類で大きく異なる。地震の揺れる周期が1秒を越えるくらいのものを「キラーパルス」と言われ、非常に危険視される。逆に周期が短く0.5秒以下だと地震が大きくても(ガル・加速度)木造の被害は少ない。 地震の大きさと周期との関係を境先生が分析した。
- 黒色 恐怖のJR鷹取
- 灰色 中越地震
- 空色 三陸南地震:短周期なので地震は大きいが被害は少ない
- 緑色 太平洋沖地震:超巨大だが木造には被害はでない
- 藍色 熊本地震 西原村:普通の大きな地震
- 赤色 熊本地震 宮園:「恐怖のJR鷹取」の2割増し
なんと、宮園の地震計は「JR鷹取波」の2割増しを示していた。少々の強度アップで対抗できるものではないと思った。耐震・免震より退震の方が良いような気がする。
5月16日(月)
ボランティア
人手が足らないなら、効率的な活用を
被害が大きかった益城町や西原村は熊本の東に位置している。Hさんは熊本市内の東地区に住んでいる。震災のボランティアを申し出たら、熊本市中央区の花畑公園に一度集まれとのことだそうだ。東から中央のセンターに集まり、指示を受けて東に行くのは時間の無駄だから、直接応援したいと川尻に来られた。私が設計した家の施主でもある。
熊本市は大都市である。そのために、東区、西区、南区、北区、中央区の5つの区に分けたのに、中央区1か所でコントロールするのは管理がしやすいからだろう。被害は東区・南区に集中しているのに、集合場所は中央区である。東区と南区にもボランティアセンターを置くべきだったのではと思う。Hさんは魚釣りに行こうか、ボランティアに行こうかと迷ったが、電話が通じたので川尻に来たとのこと。すごいノリである。(5月8日の話)
5月15日(日)
省エネを考える
一番エネルギーを使っているのは何?
私は10日間風呂には入らなかった。今まで毎日、風呂にはいっていたので、ある意味で給湯エネルギー消費量は激減した。
省エネルギー対策で、住宅の断熱気密化の政策が多く、建築の省エネ重層化を国民に強いている。確かに暖房エネルギー消費量が多い寒冷地では有効だと思う。しかしだ。全国平均値を別表で見て欲しい。暖房エネルギー消費量は全国では4万円だが、熊本では平均2万円ぐらい。他のエネルギー消費量は、冷房1万円、給湯6万円、照明1万円、家電7万円だ。そうすると、給湯が一番多い。一番多い物から対策を打つのが世の常識である。どうして暖房エネルギー消費量に特化するのだろうか。省エネ機器販売に力を入れさせるのは疑問である。汗をかく人たちは毎日の入浴が必要だが、普通の人は2日に1回の入浴でよいではないか(日本人が崇める米人だって毎日風呂には入らない)。1980年代ごろはみんなそうしていた。そうすると給湯費用6万円が3万円になる。暖房エネルギー消費量削減政策より効果的だ。大判振る舞いのEZH補助金を止めて2日に1回の入浴の人にポイント券100(10円相当)を差し上げよう。
5月14日(土)
川尻西連寺
被災した文化財をどうするか
川尻町にはお寺が17件ある。大慈禅寺の次に大きいのが西連寺で、瑞鷹酒造に隣接している。その寺が被害を受けた。340年まえの築造で、屋根や壁は部分補修があるものの、瓦が落ち、虹梁が落ち、内装の漆喰が剥がれ、床が10cm程度沈下していた。周囲の工務店から解体の意見が多く、昨日弊社に相談に来られた。
タイミングよく本日、安藤邦廣先生が川尻に来られたので、西連寺に同行してもらった。安藤邦廣先生が壊せというはずがない。虎の威を借る行動だった。住職の顔は昨日以上の笑みだった。
5月13日(金)
高森洋の液状化相談
適切でない工事を防ぐための無料相談です
液状化の発生は極めて小さいと言われた場所に液状化が起った。昔、緑川から白川に人工的造られた川があったという。それが現在、道になった。川尻旧道である。幅50m長さ5Kに渡って液状化が起こった。バス通りが液状化ロードだ。
液状化の専門家が大阪から川尻にやってくる。熊本の方、拡散をお願いする。
【内容】
- 液状化した建物の無料相談(地盤調査結果をお持ちの方は持参のこと)
- 工事をするのではなく、不良工事、内容が伴わない高額工事を防ぐため
- 建物の測量は無料 (近見、日吉、南高江、八幡、川尻)
- 地盤調査は実費(スウェーデン式、水位測定、砂を採取で約3万円。この作業は他の会社に依頼しますので)
- 開催日時
5月18日、13時〜16時
5月19日、10時〜16時 - その後の予定:5月19日に決めます
- 担当者:WASC基礎地盤研究所 高森洋、高森剛
- 場所:杉本不動産前
- 予約は少々:古川設計室までメールをください。
- 18日の夜は「高森洋の液状化セミナー」を開催します。参加費は酒1本